探偵はウーロン茶を片手にハードボイルドを語る

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第26話 おしまい、おしまい

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 オレだ。

 ん?

 オレだよ、オレ。

 え? 違うって! オレオレ詐欺じゃないって! 今時そんな……

 オレだよ!

 ハードボイルド探偵、早乙女瞳だよ!

 あれから、3ヶ月が経った……

 オレは今BAR『ヨリミチ』の前にいる。

 店のドアには
『休業中』のプレートが掛けてある。
 そうか……いるわけないか……
 そうなぜならマスターは……

 ハネムーン中

 え? 死んだかと思ったって?
 死んでないよ! 死んでないぜ? マスターは。
 今頃は空港から花嫁とハワイに向ってる途中のハズだ。
 あん? 誰とだって?
 泣きボクロに決まってるだろう。
 そう、あの惨劇を実は店の外から見守っていた泣きボクロ。
 それを見て泣きボクロはこう思った。

「わ、私の為に!?」

 そこから話しはトントン拍子に進んでいく……そう、怖いくらいに。
 入院中のマスターの見舞いに毎日通い……
 退院と同時に交際スタート。
 そして、交際1週間……
 無謀とも思えるマスターのプロポーズが大当たり!
 そして、今二人でハワイに……

 ふ……

 う、うらやましぃーー!!!!!
 落ちろ!! 飛行機落ちろ!!
 もしくは沈め!! ハワイ沈め!!

 きぃーーーー!!!

 く!! まあいい……

 こうしてオレが娯楽の殿堂へ行けるのも、借金を肩代わりしてくれたマスターのおかげだしな。

 祈らなきゃ……二人の幸せを……けっ!!

 ん?

 ああ、そうだ。オレは今パチンコ屋に向かっている、拓が金貸してくれたから。
 あれから拓はマスターに重症を負わせた負い目からか大人しくしている。
 今日だってマスターのケガの話しを思い出したように話したら2万円ほどこころよく貸してくれたし。

 お

 着いたぞ。パチンコ『ハードボイルド』オレの行きつけの店だ。

 さて、今日も……

 ん?

 店に入ろうかというその時、とあるポスターが視界に入ってきた。

 それを見て……ピーンときてしまった。
 マスターもピーンときたって言ってたもんな……。

 ……。

 どうりで……トントン拍子で話しが進むと思ったよね。

 なんだ……そういうことか……

 マスター……オッパイくらい触らせてもらえたのかな……
 そのポスターは指名手配犯のポスター。
 見知った顔写真と共にこう言葉が添えられていた。

 この女! 結婚詐欺師!!

 特徴 泣きボクロ



 完
 
 

─────────────


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