転生悪役召喚士見習いのΩくんと4人の最強の番

寿団子

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特異体質のΩ

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さすがに変な体質の事は想像で当たるようなものではない。
だとしたら知っているという事は本当の話?

ラルフの言葉に驚いて、ちゃんとラルフを見た。
さっきまでふざけている顔ではなくて、冗談を言っているようには見えない。
黄色く光る瞳が俺を映して、ゆっくりと口を開いて聞かせてくれた。

遥か昔にいた、Ωの獣人の話を…

ヒートを周りにばら撒いてαの獣人を無意識に誘っているΩの獣人がいた。
しかし、ラルフのような強いαの場合は誘発される事はなかった。

それ以外の周りのα達は次々とΩの獣人を襲っていた。
その獣人は不思議な事に、首を噛んでも番の印は出ず中にあった体液も消えていた。

そのΩは獣人の体液の魔力を全て吸収する体質だった。
強いヒートが起こるのは魔力を吸収するために身体がそういう体質になっているから。

いろんな獣人に噛まれて、印はないが番となった。
魔力を吸収するのは番の獣人だけで、番の数だけ魔力が必要になる。

ヒートの時に必要な魔力を吸収しなければ、Ωは衰弱して死んでしまう。

「…これは、本当?」

「さぁな、でも身に覚えでもあるんじゃないのか?」

「……それは」

「アルトくんお待たせ……どうかした?」

ロキさんが地下に戻ってきて、俺とラルフの張り詰めた雰囲気に不安そうな顔をしていた。

バケツを床に置いて、俺のところにやって来てラルフから離れた。

ロキさんに事情を聞かれて、ラルフから聞いた話をすると考えていた。
そしてラルフを見て「僕はそんな話を聞いた事がない」と言った。

あらゆる本を読んで、獣人の事も知っているのに知らないのは可笑しいとラルフを疑いの眼差しで見ていた。

でも、ヒートが起こる事と体液がなくなった事はラルフは知らない。
俺の中でイってはいないから、確認のしようがない。

こればかりは本当なのかもと思っていた、ラルフの言葉を聞くまでは。

「嘘だからな」

「…え?」

「アルトくんを惑わして何が目的だ!」

「そんな獣人は知らないが、俺は確かに魔力が奪われた感じがした…だからムカついたんだよ、俺の力を手で打ち消したお前が」

ラルフは平気で嘘を付いているから、なにが本当か分からない。
ロキさんを見ると、さっきまでラルフを疑っていたのに下を向いて考えている様子だった。

え…さっきの獣人の話は嘘で、この話は本物?

ロキさんに話しかけると、我に返ったような驚いた顔をしていた。

ラルフは「お前のような弱い召喚士になんで俺の力が負けるんだ」とボソッと口にした。

その言葉は俺を襲った時に似たような事を言っていた。
あれは、俺がラルフの力を打ち消したからイライラしていたのか?

俺の力…?魔法なんて使った事はないのにそんな力があるとは思えない。

「アルトくん、僕も気になってたんだ…この魔物に名前を付ける時に魔法を消したのは僕も見た」

「えっ、だってあれは鎖のおかげかロキさんがやったんじゃ…」

「恥ずかしい事に、僕にはそんな余裕はなかったんだ…鎖にもそんな力はないよ」

「俺、そんな凄い力なんてないよ」

「魔力を消すだけだと、攻撃されないと分からねぇよ」

ラルフはそう言っていて、さっきの作り話に自分が重なって感じた。

体液を吸収するのも魔力を吸収しているからか。
ヒートも魔力を身体が求めているからあんなに起こるのか。

うなじの印も、魔力が込められていたから吸収した?

それが本当か嘘かは分からない。
前例がないなら尚更誰にも分からない。

確かな事は、俺がラルフの魔力を吸収したという事だ。

ロキさんは俺とした時に違和感がなかったみたいだけどあの時はそれどころじゃなかったと恥ずかしそうにしていた。
ラルフの言っている嘘は、全てではないのかもしれない。

「もしかしたら俺を魔界に帰すと番の数だけ魔力が必要になった時に困るだろ?」

「それも嘘?」

「じゃあ試してみるか?」

ラルフは笑みを浮かべていて、俺はなにが本当か分からなかった。
でも、ラルフを魔界に帰さないとどうなるんだ?

魔法は無意識だったけど、消し飛ぶ事は出来る。
ただ、普通に物理攻撃は俺もロキさんも勝てる気がしない。

ロキさんは「惑わされたらダメだよ、魔物はずる賢いから!」と言っていた。

ラルフは今度は余裕そうに俺だけを見ていた。

そもそもラルフが番になったのかどうかは俺には分からない。
番の数は、ラルフが他の人の分まで魔力が必要だと知る事はなさそうだから嘘っぽい。

でも、番は一生分のもの。
俺が二人に繋がっているのか分からないが、魔界に帰って名前を忘れても番の縁まで切れるのかな。

「なにが目的なんだ、番だから一緒にいたいという理由じゃなさそうだけど」

「そうだなぁ…お前、俺と契約しろ」

「…えっ」

「なっ、何言って!」

「外野がうるせぇな…俺と契約すれば守ってもやれるぞ、身体の相性も悪くなかったし」

ロキさんは怒っていたが、俺は肩を掴んで止めた。
特級ランクがどんなに凄いのかは分からないけど、確かに用心棒にはなる。

ラルフはそこまでして魔界には帰りたくないのかな。
俺と契約してもラルフは自由にはならないと思う。
俺といるラルフのメリットっていったいなんなんだ?

でもラルフは知らない、これから大切な子と出会う事を…
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