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分からない転生
アルト・コンラッド、ルーン国という小さな王国の王子として生まれた。
しかし、決して何不自由なく裕福の生活をしているわけではない。
小さな国だが、この国には多くの珍しい鉱石が取れる場所が数多くある。
一つの国を築き上げるほどの価値がある鉱石、今まで小さすぎて全く気付かれずひっそりと暮らしていた。
そのせいか、国を守る兵士もだらけていて守りに隙が出来ていた。
他国に見つかったら、この国は今すぐにでも消し飛ぶだろう。
今から兵士を強化したところで、やる気のない兵士の力はたかが知れている。
そこで考えた国王と王妃は幼い子供達と城の人間達を集めた。
「この国の現状は皆も分かっているな」
「兵士だけでは国を守る事は出来ない、そこでα一族である我々の息子達をこれから兵士として鍛える」
国王と王妃は5人の息子を見て、そう宣言した。
城の中が熱気に包まれて、今年1番の盛り上がりを見せた。
15歳の長男、13歳の次男、10歳の双子の三男と四男…そして5歳の末っ子アルト。
アルト以外は皆理解しているのか、子供らしからぬ凛々しい顔をしていた。
アルトだけが置いてきぼりで、家族と城の人達を眺める。
分からない、αってなんだ?そんな話、ゲームであっただろうか。
俺はこの世界の事を子供ながらに理解していた。
むしろ、未だに前世の記憶を残している俺にしか分からない。
この国に生まれて、兄妹全員の名前が一致。
それに、結びつける決定的なものがあった。
王妃は2人の妹のうち、茶髪のロングヘアーの少女を手招きした。
少女は嬉しそうに歩いていき、王妃と手を繋いだ。
「彼女は神ラードニクスの加護を受け、ルーベルト帝国の女王にする」
今年1番の盛り上がりだと思っていたが、それを軽く超える盛り上がりを見せた。
1歳しか違わないのに、妹の方がずっと大人っぽい。
もう1人の黒髪ロングヘアーの妹は下を向いてしまった。
茶髪の妹の双子で同じお姫様なのに、何故王妃は格差を付けるのか。
それは、彼女がバース検診でΩだと言われたからだ。
それまで王妃は、2人とも変わらず愛していたはずだ。
検診の結果が出て、明らかに態度が変わっていった。
俺の一族は代々αという家系だったのに、初めてΩが生まれたと大臣達が話しているのを聞いた事があった。
まるで出来損ないのような扱いだ、周りの大人達の目もその日から変わった。
詳しくどう変わったのか分からないが、いつも兄妹全員で食事をしていたのに黒髪の妹だけがいなかった。
誰に聞いても答えてはくれず、他の話題には優しく話してくれるのにその話題の時だけ冷たかった。
αやΩとかは全然分からないが、良くないものなんだという事くらい分かる。
俺は後半年でバース検診を行う、周りは俺をαだと確信しているが分からない。
妹がΩになるなら、俺だってΩにならないとは限らない。
そもそもなんなんだバースって、皆当たり前に受け入れて知らない俺は可笑しいように見られる。
城の中の書庫で調べようとしても、勉強していない文字が並んでいて分からない。
大きくなったら俺も自然と分かるのかもしれないが、その頃には俺のバース検診は終わっている。
知るには遅すぎる気がするが、誰も教えてくれないなら仕方ない。
話し合いは終わり、ぞろぞろと部屋から出ていった。
俺も部屋を出ようとしたら、黒髪の妹がずっと立ったままだった。
どうしたのかと近付こうとしたら、部屋に残っていた王妃と国王が妹の肩を押した。
強さは分からないが、小さな身体はすぐに傾いて倒れた。
「リアーナ!」
妹のリアーナに駆け寄って、起こそうと手を差し伸ばす。
その手を掴む前に、王妃は俺の腕を掴んだ。
「αが格下のΩにそんな事するもんじゃないわ」と強めの口調でそう言われ、俺の腕を引っ張って部屋から追い出された。
格下とかそんなの関係ない、同じ血が流れている兄妹なのに…
リアーナはこの世界で様々な困難が待っている。
女王の資格がない落ちこぼれ、国王が愛人に産ませた子やらいろいろ酷い事を言われても強く逞しく生きてきた。
その努力が報われて、リアーナは幸せを掴んだ。
幸せになれると分かっているが、それでもリアーナを見て見ぬふりは出来ない。
それが、たとえ決められた物語だとしても。
部屋のドアの前で立っていたら、リアーナが部屋から出てきた。
その目には涙が浮かんでいて、両親に酷い事を言われたのだろうとすぐに分かった。
「リアーナ…」
「ひっ…」
気の利いた慰めの言葉は思いつかないが、大丈夫だと言いたかった。
その言葉を伝える前に、リアーナは俺の顔を見るなり顔を青ざめて走っていってしまった。
周りから酷い扱いを受けていると、そうなるよな。
誰も信用なんて出来ないのは当たり前だ、俺の信頼なんて何の役にも立たないのは自分でも分かっている。
俺もこの世界の事を気付くのがもう少し早ければ良かった。
αだΩだという話のせいで、どうしても結び付かなかった。
名前が似ていても偶然かもしれない、その時はリアーナも普通のお姫様として扱われていた。
リアーナがΩと分かり、周りの目が変わり帝国の女王の話を聞いてやっと結びついた。
その時からリアーナを城で見かけなくなり、やっと今日会う事が出来た。
結果、怖がられて逃げられてしまったけど……
窓に映る自分の顔を眺めながら、頬を引っ張る。
可もなく不可もない何とも言えない顔がそこにあった。
怖かったのか、どんな表情が怖くないのかな。
笑った顔?穏やかな顔?穏やかってどうするんだ?
窓の前で表情の練習をしていたら、庭を歩いていた庭師のおじさんと目が合った。
気まずい雰囲気が流れて、部屋に戻る事にした。
この世界は、生前やっていたゲームの世界だ。
何を言っているのかと今でも思うが、こうして多くの共通点があり現実に存在しているから間違いない。
女王の祭典は数年に一度ルーベルト帝国で行われてる。
各国のお姫様と従者が神の加護を受けたルーベルト帝国で女王を決める戦いをするために向かう。
お姫様なら誰でもなれるわけではなく、手紙が届いたお姫様のみ参加券がある。
そして、誰か必ず神の加護を受けるお姫様が選ばれるわけではない。
数十年もの間、女王は誕生していない…戦いに勝ったとしても神が加護を与えるかを決める。
なれるか分からなくても、なれる可能性はある。
毎回多くのお姫様がやって来る、そして今年は妹に手紙が届いた。
手紙が届けばいつ参加しても構わない、まだ妹は幼いから次の女王の祭典に参加する。
そしてゲームではリアーナが世界最強クラスの従者を仲間に引き連れて優勝する。
本来なら女王になる戦いの資格はないが、そこはいろいろと仲間の助けがあって参加する事が出来る。
最後は愛しい人と共に幸せになってエンディングを迎える。
全員と結婚するエンディングもあったけど、さすがに現実世界じゃ無理だろ。
幸せは約束されている…でも一つだけ、引っ掛かる事がある。
それはやはりバースというものだ、そのせいで物語が歪まないかそれだけが心配だ。
なんで、キャラクターも物語も合っているのに分からない設定が入ってくるのか。
俺が望むのは、このままゲーム通りを迎える事だけだ。
しかし、決して何不自由なく裕福の生活をしているわけではない。
小さな国だが、この国には多くの珍しい鉱石が取れる場所が数多くある。
一つの国を築き上げるほどの価値がある鉱石、今まで小さすぎて全く気付かれずひっそりと暮らしていた。
そのせいか、国を守る兵士もだらけていて守りに隙が出来ていた。
他国に見つかったら、この国は今すぐにでも消し飛ぶだろう。
今から兵士を強化したところで、やる気のない兵士の力はたかが知れている。
そこで考えた国王と王妃は幼い子供達と城の人間達を集めた。
「この国の現状は皆も分かっているな」
「兵士だけでは国を守る事は出来ない、そこでα一族である我々の息子達をこれから兵士として鍛える」
国王と王妃は5人の息子を見て、そう宣言した。
城の中が熱気に包まれて、今年1番の盛り上がりを見せた。
15歳の長男、13歳の次男、10歳の双子の三男と四男…そして5歳の末っ子アルト。
アルト以外は皆理解しているのか、子供らしからぬ凛々しい顔をしていた。
アルトだけが置いてきぼりで、家族と城の人達を眺める。
分からない、αってなんだ?そんな話、ゲームであっただろうか。
俺はこの世界の事を子供ながらに理解していた。
むしろ、未だに前世の記憶を残している俺にしか分からない。
この国に生まれて、兄妹全員の名前が一致。
それに、結びつける決定的なものがあった。
王妃は2人の妹のうち、茶髪のロングヘアーの少女を手招きした。
少女は嬉しそうに歩いていき、王妃と手を繋いだ。
「彼女は神ラードニクスの加護を受け、ルーベルト帝国の女王にする」
今年1番の盛り上がりだと思っていたが、それを軽く超える盛り上がりを見せた。
1歳しか違わないのに、妹の方がずっと大人っぽい。
もう1人の黒髪ロングヘアーの妹は下を向いてしまった。
茶髪の妹の双子で同じお姫様なのに、何故王妃は格差を付けるのか。
それは、彼女がバース検診でΩだと言われたからだ。
それまで王妃は、2人とも変わらず愛していたはずだ。
検診の結果が出て、明らかに態度が変わっていった。
俺の一族は代々αという家系だったのに、初めてΩが生まれたと大臣達が話しているのを聞いた事があった。
まるで出来損ないのような扱いだ、周りの大人達の目もその日から変わった。
詳しくどう変わったのか分からないが、いつも兄妹全員で食事をしていたのに黒髪の妹だけがいなかった。
誰に聞いても答えてはくれず、他の話題には優しく話してくれるのにその話題の時だけ冷たかった。
αやΩとかは全然分からないが、良くないものなんだという事くらい分かる。
俺は後半年でバース検診を行う、周りは俺をαだと確信しているが分からない。
妹がΩになるなら、俺だってΩにならないとは限らない。
そもそもなんなんだバースって、皆当たり前に受け入れて知らない俺は可笑しいように見られる。
城の中の書庫で調べようとしても、勉強していない文字が並んでいて分からない。
大きくなったら俺も自然と分かるのかもしれないが、その頃には俺のバース検診は終わっている。
知るには遅すぎる気がするが、誰も教えてくれないなら仕方ない。
話し合いは終わり、ぞろぞろと部屋から出ていった。
俺も部屋を出ようとしたら、黒髪の妹がずっと立ったままだった。
どうしたのかと近付こうとしたら、部屋に残っていた王妃と国王が妹の肩を押した。
強さは分からないが、小さな身体はすぐに傾いて倒れた。
「リアーナ!」
妹のリアーナに駆け寄って、起こそうと手を差し伸ばす。
その手を掴む前に、王妃は俺の腕を掴んだ。
「αが格下のΩにそんな事するもんじゃないわ」と強めの口調でそう言われ、俺の腕を引っ張って部屋から追い出された。
格下とかそんなの関係ない、同じ血が流れている兄妹なのに…
リアーナはこの世界で様々な困難が待っている。
女王の資格がない落ちこぼれ、国王が愛人に産ませた子やらいろいろ酷い事を言われても強く逞しく生きてきた。
その努力が報われて、リアーナは幸せを掴んだ。
幸せになれると分かっているが、それでもリアーナを見て見ぬふりは出来ない。
それが、たとえ決められた物語だとしても。
部屋のドアの前で立っていたら、リアーナが部屋から出てきた。
その目には涙が浮かんでいて、両親に酷い事を言われたのだろうとすぐに分かった。
「リアーナ…」
「ひっ…」
気の利いた慰めの言葉は思いつかないが、大丈夫だと言いたかった。
その言葉を伝える前に、リアーナは俺の顔を見るなり顔を青ざめて走っていってしまった。
周りから酷い扱いを受けていると、そうなるよな。
誰も信用なんて出来ないのは当たり前だ、俺の信頼なんて何の役にも立たないのは自分でも分かっている。
俺もこの世界の事を気付くのがもう少し早ければ良かった。
αだΩだという話のせいで、どうしても結び付かなかった。
名前が似ていても偶然かもしれない、その時はリアーナも普通のお姫様として扱われていた。
リアーナがΩと分かり、周りの目が変わり帝国の女王の話を聞いてやっと結びついた。
その時からリアーナを城で見かけなくなり、やっと今日会う事が出来た。
結果、怖がられて逃げられてしまったけど……
窓に映る自分の顔を眺めながら、頬を引っ張る。
可もなく不可もない何とも言えない顔がそこにあった。
怖かったのか、どんな表情が怖くないのかな。
笑った顔?穏やかな顔?穏やかってどうするんだ?
窓の前で表情の練習をしていたら、庭を歩いていた庭師のおじさんと目が合った。
気まずい雰囲気が流れて、部屋に戻る事にした。
この世界は、生前やっていたゲームの世界だ。
何を言っているのかと今でも思うが、こうして多くの共通点があり現実に存在しているから間違いない。
女王の祭典は数年に一度ルーベルト帝国で行われてる。
各国のお姫様と従者が神の加護を受けたルーベルト帝国で女王を決める戦いをするために向かう。
お姫様なら誰でもなれるわけではなく、手紙が届いたお姫様のみ参加券がある。
そして、誰か必ず神の加護を受けるお姫様が選ばれるわけではない。
数十年もの間、女王は誕生していない…戦いに勝ったとしても神が加護を与えるかを決める。
なれるか分からなくても、なれる可能性はある。
毎回多くのお姫様がやって来る、そして今年は妹に手紙が届いた。
手紙が届けばいつ参加しても構わない、まだ妹は幼いから次の女王の祭典に参加する。
そしてゲームではリアーナが世界最強クラスの従者を仲間に引き連れて優勝する。
本来なら女王になる戦いの資格はないが、そこはいろいろと仲間の助けがあって参加する事が出来る。
最後は愛しい人と共に幸せになってエンディングを迎える。
全員と結婚するエンディングもあったけど、さすがに現実世界じゃ無理だろ。
幸せは約束されている…でも一つだけ、引っ掛かる事がある。
それはやはりバースというものだ、そのせいで物語が歪まないかそれだけが心配だ。
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