転生悪役召喚士見習いのΩくんと4人の最強の番

寿団子

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修行

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国を守る兵士の修行は、バース検診を受けていない俺も参加する事になった。

俺も国のためになにか出来るなら嬉しいけど、ろくに武器を持った事がない俺がはたして出来るのか。

兄弟が庭に並べられ、王妃が紙を持っていた。
修行のルールは兄弟それぞれ別の場所に行き、特定のものを持ち帰る。
早ければ1日で終わるが、時間が経てば経つほど帰りも遅くなる。

目的を達成しなければ家に帰ってくる事は出来ない。

ゲームではリアーナの視点で物語が進むから兵士の修行は分からない。
そもそも兄弟はいたが、深くは物語に関わらないから俺の未来は分からない。

ただ一つだけ言えるのは、この家は決していい人達ではないという事だ。
リアーナをΩというだけで酷い扱いをしているからそれだけで分かるが、他にも理由がある。

それは鉱石に関係する事だ。

鉱石で利益を手にした国王と王妃は独り占めを考えた。
珍しいといってもこの国でしか鉱石が取れないわけではない。

国王と王妃は共に国を築いた兵士達に命令して、長い年月を掛けて他の国で取れる鉱石を探し出した。
そして根こそぎ鉱石を奪い、そこの洞窟を破壊して回った。

今ではここの洞窟にしか鉱石はなく、奪った鉱石も売り払った。
その努力を他に使えば良いのに、悪知恵に全振りしていた。

今でも新しい鉱石の洞窟を見つけては、破壊を繰り返している。
あんな派手な事をして、よく今まで捕まらなかったのか不思議だ。
洞窟を守っていても、監視役を気絶させて洞窟の中に入る。

そして、監視役が起きた時には洞窟がなくなっていた。

帝国の近くの洞窟も狙っていたが、リアーナ達が捕まえて国王と王妃にたどり着いた。
最終的に2人は捕まり、この国は新しい国王と王妃が継いだ。
兄弟も全員関わった事で両親と共に捕まった。

あれ?俺も捕まるんじゃ…いや、いやいやいや…俺は何もしてないから捕まらないはずだ。

王妃が説明を終えて、一人一人に地図を渡した。
ここでなにかを探し当てて、国に持ち帰る。

いくら母とはいえ、母と呼ばず王妃様と呼ぶように言われている。
家族であっても、生まれた後からずっと距離が離れている。

「アルト」

「はい、王妃様」

名前を呼ばれて、王妃の前に出ると地図を渡された。
顔を見上げると、王妃は俺を見下ろしていた。
その顔は表情が抜け落ちた無の表情で、慌てて頭を下げて後ろに早足で向かった。

全員に地図を渡して、王妃は家に向かって歩いていった。

他の兄弟達は行き先を見るために地図を開いていて、俺も地図を見た。

ここからそう離れていない森の奥底にあるルビーを探す事だった。
森の中にルビーって、宝石だよな…そんなところあるのか?
もしかして洞窟だったりしないよな、俺は悪い事なんてしない。

そう思っても、とりあえず森に行くだけ行くか。

家に帰って出かける準備をして向かう事にした。

「お前、王妃様を怒らせたんだって?」

「エッジ、リッジ」

「リアーナに声を掛けたんだろ?αの自覚ないのかよ」

同じ顔の双子の兄のエッジとリッジは俺が持っていた地図を横取りした。
双子は特別に2人で修行をするから余裕そうな顔をしていた。

返してほしくて腕を伸ばすが、エッジは背が高いから全く届かない。

エッジの言葉にリッジが笑いながら「コイツまだバース検診受けてないひよっこだから!もしかしたらΩかもな」と言っていた。
その言葉にエッジも笑い、俺の頭に貼り付けるように地図を押し付けた。

他の兄弟の中で1番の問題児で、俺もいろいろと馬鹿にされていた。
背が高い事は全然羨ましくはない!俺だって同じ血が流れているんだから、いつか必ず追い越してやる。

双子はリアーナの事も見下している、妹はあの時から妹は1人としか思っていないのか。

「この森って、凶悪な魔物の巣がある場所じゃん!」

「逆らう奴は息子でもいらねぇって意味じゃね?」

「俺は妹と話しただけだから」

「Ωを妹とか、もしかしてお前もΩだったりしてな」

「……」

実際自分が何なのか分からないから、そこだけ答える事は出来なかった。
俺がΩだったらなんなんだ、リアーナと同じ扱いを受ける…それだけだろう。

リアーナを知っている身からしたら、悪い事は何もないのに…

家に向かう時も、後ろにいる双子に笑われていた。

家に帰ると、武器庫に兄達が集まっていた。

俺は兄達と違い、先に厨房に向かい1日分の食料と布袋を手にした。
必要なものを詰め込んで、地図を頼りに森に向かった。







ーーー

森に到着して、少し歩いてから荷物を置いた。

「失敗したかもしれない」

誰の気配もない森の中で、独り言を呟いた。

食料は地図に載っていた川で魚を釣ればいいと思って、調理用の包丁を持ってきた。
初日は手に入らないかと思い、日持ちする食料の缶詰と怪我をした時用の救急セット。

それだけで布袋はいっぱいになり、小さな身体ではこのくらいが限界だった。

舐めているつもりはなかったが、さすがにダメか。
包丁で戦えるほど強くないけど、武器の扱いを知らない俺が使いこなせるか分からなかった。

それよりも荷物を軽くするのを優先して、必要最低限のものだけを持ってきた。
双子のように、俺にも誰かが付いて来てくれたらな。
使い物にならないと兄達に思われている俺を連れて歩く人はいないか。

とりあえず、凶悪じゃなくても魔物に出会わない事を祈って歩いた。

先に川の場所を把握したかったが、川に到着する前に腹が減った。
朝早くから庭に集まっていたから、食事をする時間がなかった。

ここで腹ごしらえをしないと、いつ食べれるか分からない。

周りを見渡して、切り株を見つけて腰を下ろした。

布袋から適当な缶詰を選んで、缶を開けた。
なにかのスープか、好き嫌いはないから口にする。

お腹にスープが溜まり、喉も同時に潤った。

まずは日が暮れる前に川を探さなくてはいけない。
魔物は暗がりを好む、夜に出歩くわけにはいかない。

空の缶詰を布袋にゆっくりと入れて、他の物が汚れないようにする。

変わり映えしない道をただひたすら歩き続けた。

歩いて歩いて、どのくらい歩いたのか分からない。

俺の体力は、夕陽に照らされた森の中で限界を迎えた。
幸いな事に、魔物は遭遇する事なく無事に一日が終わりそうだ。

なるべく魔物が来ても身を隠せるように、木が沢山ある場所の影で野宿する事になった。

寝袋なんて持ってきていなくて、背中が痛くなるだろうと寝転んで分かった。
それでも寝ないと、寝不足で魔物に出会ったら逃げる事が出来ない。

食料確保をしてからルビーを探そうと目蓋を閉じた。
夢を見る事なく、全身の痛みに耐えながら眠りについた。
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