転生悪役召喚士見習いのΩくんと4人の最強の番

寿団子

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約束.

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「なにがあったんだ、まさかゴーレムとの戦いの被害がここまで」

「ここって何処なんですか?」

「ルビーの瞳を祀っていた神殿だ」

瓦礫に近付いてしゃがんでいて、俺もラインハルトの隣に座る。
瓦礫に触れると濡れていて、ここまで力の影響が出たのかと驚いた。

ラインハルトは瓦礫を持ち上げて、なにかを探していた。

きっとルビーの瞳だろう、俺も瓦礫を持ち上げてみたら重すぎて5秒しか持たなかった。
軽々と持ち上げるラインハルトの真似をしてみたが無駄だった。

どのくらいの大きさなんだろう、小粒サイズだったら見つけるのは大変だ。

どのくらい探しただろうか、顔の汗を拭い瓦礫を持ち上げる。
ラインハルトは奥で瓦礫を動かしていたが、立ち止まっていた。

「アルト」

「ふぅ…ん?どうしたんですか?」

「見つけた」

ラインハルトの言葉に慌てて向かった。

手のひらに乗せて見せてくれたのは小さく輝く赤い宝石だった。
瓦礫の中で見つけるのは奇跡に近いほど集中しないと見つからない。

見つかって良かったと俺は喜んでいたが、ラインハルトはあまり喜んでいなかった。
あれ?探してたはずじゃないのか…それとも、もっと他のルビーの瞳があるのか?

ラインハルトは手のひらでルビーを転がして考えていた。

もしかして偽物?といろいろ考えていたが、ラインハルトが俺の手を掴んだ。
手のひらを両手で包み込んで、その手はすぐに離された。

俺の手のひらにはラインハルトが持っていたルビーがあった。

「これ…」

「やはり、君も家に帰りたいだろ…これさえあれば帰れる」

「でも俺は盗人になりたくないです」

「この宝石の所有者は私の家だ、私が話せば盗人にはならない」

ラインハルトはそう言って、寂しそうな顔をしていた。
ルビーを手離すのが寂しいのかな…神殿に祀っているという事はそれだけ大切なものだ。

ラインハルトの家が所有者って事は、王族の家宝かもしれない。
そんな大切なものをいくら家に帰るためとはいえもらえない。

ルビーで帰れるという事は、ラインハルトとお別れする事になる。
もし、リアーナと結ばれたら身内になるかもしれない。
でもそれは絶対ではない、リアーナだって選ぶ攻略キャラクターは1人ではない。

もう二度と会う事はないのかもしれない、本来はリアーナがいないと再会する事もない関係なんだ。

返すと言っても、ラインハルトは受け取ろうとしなかった。

「大切なものを貰えません」

「アルトと過ごして私は救われた、そのお礼だ」

「お礼は借りるだけでいいです、いつか返しに行っていいですか?」

ルビーを利用して再会しようとして気持ち悪いかもしれない。
でも、救われたのは俺の方もだ…もっと大きくなったらルビーと共に他のお礼で返せる。

もっともっと先になるかもしれない、その時忘れられてもルビーだけは絶対に返す。

ラインハルトの優しい瞳で見つめられて「約束しよう、ルビーと共に君をもらいにいく」とキラキラ王子様オーラが眩しい。
まだ婚姻を結ぶ事を言ってるのかな、それも大人っぽくても子供の言葉だから真に受ける方が変だよな。

もう一度会う事を約束して、俺はラインハルトと別れた。

布袋とルビーを持ち国に帰ると、既に兄達は帰ってきていた。
「遅い」とか「ノロマ」とか言われても、無視した。

城の自分の部屋にいた王妃にルビーを見せたらすぐに手が出てきた。

とっさにルビーを強く握って、手を後ろに隠した。

「どういうつもり?」

「借り物だから、ダメです」

「手に入れていないなら帰ってくる資格はないわ」

王妃に何を言われても渡す気はなかったが、俺の身体はなにかにぶつかった。

身体が傾いて床に倒れていると、視界にエッジが王妃にルビーを渡しているのが見えた。
急いで起き上がろうとしたらリッジが俺の上に乗っていた。

「家に居られるんだ、俺達に感謝しろよ!」と言われた。
ルビーは本当にダメなのに、王妃はルビーを持って何処かに行ってしまった。

これだとラインハルトに会ってもルビーが返せない。
それじゃあ意味がない、ルビーはただ借りているだけなんだから。

リッジとエッジは俺から離れて、笑い者にしながら部屋から出ていった。

神殿から盗むのは嫌だったけど、俺が借りたものを奪ったのは王妃だ。
借り物がダメだと言うなら、また森の中に帰るだけだ。

王妃からルビーを返してもらうだけだ、盗人ではない。

俺はそれを決意して、部屋を出てルビーを王妃から返してもらおうと頑張った。
王妃の秘蔵の場所がそもそも何処か分からなかった。

そして、ルビーが返されないまま一年後…俺のバース検診の日がやってきた。

結果が書かれた紙を握りしめて、王妃の冷めた瞳を向けられた。
王妃だけじゃなく、今まではバカにするだけの兄達も同じ瞳を向けていた。

俺はまだ分からないまま、バースはΩだと診断された。

そしてこの日から、俺はこの家にいらない人間となった。

リアーナは国民までには知らされていなかったが、俺がΩだと何処からか漏れていた。
やった奴は何となく分かっている、エッジとリッジだろう。

あの二人は他の兄よりも俺が気に入らないのだろう。
国王と王妃がΩを蔑んでいるから、国民達も自然とαだらけになっている。

ずっと気にしていなかったが、俺を見る目が怖いものに変わり外に出る事が出来なかった。

食事もおかず1品だけで、それ以外は井戸の水を飲んで腹を満たした。
部屋も今まで住んでいた部屋ではなく、地下の牢獄のような場所に放り込まれた。

トイレと洗面台があり、食事と風呂以外で外に出る事が出来ない。

俺は、ずっとこの暗くて冷たい場所で過ごす事になった。

俺に話しかけるのはエッジとリッジだけで、出てくる言葉は酷いものだ。
今日も暇潰しに二人はコンクリートの床を棒で叩きながら地下にやって来た。

耳に響いて痛くなるからそういうのはやめてくれ。

「ようΩ、おめでとう」

「やぁΩ、おめでたいね」

「…用がないなら帰れ」

俺を名前ではなくΩと呼んでいて、ずっとおめでとうと言っていた。
なにがおめでたいんだ、お前らの頭か?と言いたい言葉を飲み込んだ。
余計な火種は避けるのが、長生きに繋がるとゴーレムで学んだ。

エッジとリッジはあまり俺が反応しなくてつまんなさそうだ。
最初の頃は耳を塞いでいたが、もうそんな元気はない。

双子はお互いの顔を見て、ニヤッと嫌な笑みをしている。

『ねぇ、妊娠する身体ってどんな感じ?』と笑いながら俺に聞いてきた。

そして、俺はこの日初めてΩという存在の意味を知った。
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