転生悪役召喚士見習いのΩくんと4人の最強の番

寿団子

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Ωの鬼ごっこ

17歳となり、俺は地獄の日々を過ごしていた。

まだ何も知らない子供のままでいた方が良かった。
知ってしまったら、もう後戻りは出来なくなっていた。

走っても走っても、それは俺に付きまとい追いかけてくる。

後ろから下品な笑い声が聞こえて、走る足を緩めるわけにはいかないと緊張が走る。
足が棒になっても、だんだん地に足が付く感覚もなくなる。

小さな国とはいえ街の中を走るには十分の広さだ。

1ミリもそう思っていないのに、俺を応援する耳障りな声が聞こえる。

息を切らして、心臓が痛くなっても満足するまで止まれない。
少しでも気を緩めたら、俺の人生は終わってしまう。

人が増えたのか、足音が多くなっている…最悪だ。
誰も助けてはくれないどころか、参加する奴がいる。
この街にいる人達は皆、Ωである俺を変な目で見ている。

「ほらほら逃げろー、捕まったら孕まされるぞー」

「番にした方が面白いんじゃない?知らないおっさんの」

エッジとリッジの笑い声が響いているが、構っていられない。
どうせ2人が一緒だといつも最低な言葉しか出ない。

毎日、αである街の人達に追いかけ回されている。
エッジとリッジのような、人を遊び道具としか見ていない顔だ。

エッジとリッジの言葉で、何となくΩという存在を知った。
詳しく説明するほどあの2人が親切なわけがなく、自分で理解するしかない。

どうやらΩは男でも関係なく妊娠する事が出来るらしい。
最初は俺をバカにするために言っているだけだと思っていた。

バース検診の結果が分かってからも身体の変化はなかった。

でも、この2人の暇潰しの鬼ごっこで国民達も理解していた。
俺が妊娠するのが当たり前だと思っているような態度だった。

2人の回し者なら俺が妊娠するなんて言うかもしれない。

他の家族は俺と会話する人はいないから、確信はない。
書庫の立ち入りも禁止されているから、調べる事も出来ない。

真偽は分からないが、知らない事は用心した方がいい。

これだけは分かる、捕まったら俺は追いかけている奴らに…

双子は日が暮れると仕事に出かける、それまで走り続ける。

「エッジ、もうそろそろ…」

「あーつまんね、また逃げきったよ…解散解散」

エッジとリッジはつまらなさそうに追いかける奴らに言っていた。

俺が酷い目に合うのが見たいから2人が見ていないところではやらない。
元凶はこの2人で最悪だが、それだけは唯一助かったと思える。

足を止めて、倒れそうになる身体を何とか踏ん張った。

この国を今すぐ出たいが、遊びが終わると俺の腕を掴んで城に戻される。
抵抗しても全然びくともせずに、地下の部屋に押し込められる。

追いかけられている隙を狙って逃げようとしても、この国の門番が俺を通さないように言われていて無理だ。
この国にいる奴らのほとんどがエッジとリッジの仲間だと思っていい。

俺は、もしかしてめちゃくちゃになるまでこんな日を続けなければいけないのか?

「なんか面白くねぇんだよな、さっさと諦めてくれない?」

「……じゃあ、もうこんな事やめっ」

「あ、そうだリッジ…俺面白いもん手に入れたんだよ」

エッジはリッジの耳に近付いて内緒の話をしていた。
それを聞いたエッジはニヤリと笑って「明日楽しみだな」と意味ありげな言葉を口にした。

それが何なのか分からないが、いい話ではない事ぐらい分かる。

2人はいなくなり、俺1人が地下に残された。
この時間だけが俺にとっての安らぎの時間だ。

疲れた身体を休めるために、布が敷かれただけの床に寝転がる。

リアーナは家の中で見かけないが大丈夫だろうか。
俺のような事をされていなければ良いが、ゲームを信じよう。

リッジもエッジも俺をおもちゃにするが、リアーナには話しかけているところを見た事がない。
国民にはリアーナもΩだとは気付かれていないから、あんな事は出来ないはずだ。

周りに知られている俺だけが狙われている。

小さく息を吐いて、明日が二度と来なければ良いのにと思いながら目蓋を閉じた。
何もかもが怖い、αだと言う奴らが…身体の震えが止まらない。
俺を追いかける男達の血走った顔には鳥肌が立つ。

子供の頃に出会った彼の顔を思い出すと、心が穏やかになる。
直接は聞いていないが、彼は多分αなのかな。
いや、αが怖い存在ならきっと彼はΩやαではない別のものなのかなと思い始めてきた。

あの時が一番楽しかったのに、ルビーは未だに王妃が持っている。
あれがないと返しにいけない、会う理由がないと気軽に会いに行けない人だから。

夕飯食べないと力が出ないのに、目蓋が重くなる。
いつからだっただろうか、夢を見なくなったのは…

明るい明日はもう来ないと思っているからなのか。
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