彷徨うペンギン

武術の構え

　結局、ペンギンはキリンに料理を教えることを諦めた。
　
　キリンは何かを言っていたが、成長の見込みがなさすぎる。

　ペンギンはキリンの家の玄関をくぐり、外に出た。

　「あんた誰だ？」

　外には、キリンの家を取り囲むようにたくさんの動物たちが武器を持って立ちふさがっていた。

　「俺はしがないペンギンだ。見逃してくれ」

　ペンギンはそういうと、手を上げた。

　「そうはいかないね。キリンの家から出てきたんだ。何かしらの関係者だろう？」

　どうやら、逃れる事は出来なそうだ。
　今のペンギンは、武器と呼べるようなものを一切持っていない。
　それに比べて、相手は鉄の棒のようなものを持っているし、何より数が多い。
　逃げ切れる見込みはゼロだった。

　「さて、あんたはどうする？ここでボコボコにされるか、キリンと一緒にボコボコにされるか？」

　選択肢が無さ過ぎるが、四の五の言っている場合ではない。
　ペンギンは腹を決め、構えを取った。

　それは、動物界には無い構え方。

　かつて存在した、人間が扱う武術の構えだった。