日常の何かが狂ってる

電動シェーバー

二人の男子高校生は家でゲームをしていた。一度休憩し始めたかと思うと、一人がこんなことを言い出す。

「なあ、四日前に俺電動のシェーバー買ったって言っただろ。」

「うん。カミソリ負けするからって高いやつ買ってたね。」

「そう。それがさ、何か調子が悪いみたいで、すぐに止まっちゃうんだよな。」

「不良品なんじゃない？」

「そんなことないと思う。俺は中に何か詰まってるんじゃないかって思ってるんだ。」

そう言ってその人は電動シェーバーを取り出した。

「わざわざ持ってきたの？」

「何か入ってるって思うと一人で開けるのが怖くてさ。ちょっと見ててくれない？」

「嫌だよ。気持ち悪い。」

「じゃあ、見なくていいからそこに黙って座っててくれ。」

青年がティッシュを下に敷いた状態でシェーバーを分解し始める。気持ち悪がっていたもう一人も横目でちらちらと様子を伺っていた。

「うわ、やべえ。」

中からは大量の毛が出てきた。それを横目に見ていた青年はため息をついた。

「結局自分のせいじゃん。中に何か入ってるかもしれないって言って、自分の毛で詰まってただけなんて面白すぎでしょ。」

「確かにな。悪いな。」

二人は笑ってこの件の話を終えようとしたのだが、シェーバーの持ち主は急に笑いを止めた。

「なあ。確かに。俺は掃除してなかったけどさ。普通四日で詰まるか？」

彼らは出てきた毛を見て何かに気づいたようだ。

「この毛、長すぎないか？」

「僕もそう思った。一センチくらいの長さになるわけないもんね。」

「ちょっと試したいことがあるんだけど。」

と言うとシェーバーを持った男は分解された状態のまま電源を入れた。

すると中から虫が出てくるようにぞろぞろと毛が出てくる。それらはまるで長い髪の毛の様で止まることなくあふれ出てくる。そしてその髪の毛に徐々に赤色が混ざっていく。

「痛い。」

一人の青年が叫び声をあげる。

赤色が鮮やかになって、声は消えた。