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第三話 魔力による便利な世界。
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アーシェ少年は朝早く目を覚まし、母の寝床からこっそり抜け出してそっとドアを開けた。だが母は、彼が起きて出て行こうとするのを、しっかりと気づいていた。
自分の部屋に戻って、窓を開けてから机に向かって座り、いつもの物語を読む。これがアーシェにとって日課になっている。
こうして、年齢よりも難しい言葉を覚え知識に加えられる。同時に彼の語彙もまた増えていく。こうして、十歳という年齢には少々不相応な、大人っぽい言葉使いをするようになったのである。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
『グランダーグ見聞録より~』
聖女ユカリコは、基本的には『自分が必要になったもの』を作りました。
ですがそれは、けっして『人々によいであろうもの』が優先ではありません。
人に求められて作ったものはあるでしょう。
それでも、自分が必要だと思ったもの以外は後回しにしたのです。
聖女ユカリコ様は、ある意味周りに流されない自分を持っていたのでした。
聖女ユカリコ様が『必要だ』と思って作ったもののひとつで、現在も広く使われているものがあります。
それは、鉱山で採れる魔石という希少鉱物を利用した『魔石でんち』でした。
魔石は魔力に反応し、魔力を増幅したり、ものによっては魔力を蓄積できるものもありました。
その性質を利用して聖女ユカリコ様は、魔力を蓄積させる『魔石でんち』開発したのです。
『魔石でんち』に充填された魔力を『魔力えんじん』に接続し、魔力を供給することで中にある回転体が回ります。
その原理を利用して魔法や魔法陣に頼らない動力を生み出しました。
それが『魔力でんき』なのです。
『魔力えんじん』から、銅を細く加工した線を撚って作られた『でんせん』で『魔力でんき』を供給すると、光を灯すように加工された『魔石らんぷ』に繋げます。
そこで『魔力えんじん』を動かすことで、明かりを得ることが可能になったのです。
すべて、特性の違う魔石を利用し、魔法陣をひとつも使わずに開発された、安全で単純な機構を持つものばかりです。
だから知識に乏しい人でも、簡単な取り扱い方法を覚えるだけで利用することができていたのです。
これまでは、薪や油などを使うかがり火やランプが一般的でした。
一時的に明かりを灯す場合ならば、もしくは加護による魔法や魔法陣による火で対処できるでしょう。
ですが『魔力えんじん』により、危険性の少ない継続的に利用できる明かりを手に入ることができたのです。
これらの技術および『魔力えんじん』などは、ユカリコ教より安価で提供されています。
そのおかげで王家や貴族家、一般家庭に至るまでどの家も明るく灯してくれているのです。
おそらく異界の地から来た聖女ユカリコ様が、『単純に夜更かしがしたいため、夜、安全に活動するための明かりが欲しかった』という理由から作られたのでしょうという、心暖かな話が残されていました。
ユカリコ教内部、神官や巫女の中にも手先の器用な技術者がいることから、聖女ユカリコが天命を終えられた今でも、人々の生活を支えてくれています。
今も聖女ユカリコが書き残したとされている、便利な道具が試作されては試験を繰り返し、安全と認定されたなら使用試験を経て新商品となり、人々の生活をまた支えてくれるのです。
万能と思われる『魔力えんじん』は永久機関ではなく、魔力が欠乏すると動きを止めてしまいます。
そのため、街灯などには使われていないのです。
それでも店舗などでは、店先に明かりを灯していることが多く見られるようになってきました。
『魔力えんじん』も『魔石でんち』も、『れすとらん』の隣にある店舗でいつでも購入可能です。
『魔力えんじん』は一般家庭で使う小さなものから、大きな屋敷で使うことを想定されたものまで用意されています。
もちろん、懐に優しい価格設定です。
家や屋敷に魔力の総量の多い人がいる場合は、寝る前に昏倒しない程度の充電が可能です。
『魔石でんち』は、新しいものを購入することがなく、そのまま再利用ができる簡単設計になっています。
魔力の少ない人の家庭は、使い切り型の『魔石でんち』を購入し、利用しています。
使い終わった『魔石でんち』を下取りに出すことで、新しいものに安価で交換してもらえるというわけです。
そのため、魔力を充填するのを副業とする人も少なくはありません。
魔力を充填することを生業としている人もいたりするのですが、それはまた後の話にと思います。
このように、人々の生活を豊かにしてくれるユカリコ教は、どの国でも愛され受け入れられているのです。
魔法には様々な属性があります。
例をあげると地属性、水属性、風属性、火属性、光属性、闇属性、聖属性、そして無属性です。
洗礼時に判明するの人の持つ属性は、加護を受ける際に初めて判明します。
魔力の総量や出力できる強さによって効果に違いは現れますが、基本的な使い方はユカリコ教でも教えてもらえるのです。
もちろん。書物などで独学することも可能です。
この世界の人族や、人族以外の種族には、魔力の総量は違えど多かれ少なかれ魔力を持って生まれてきます。
それはユカリコ教によって長年伝えられてきました。
どの国も王家や貴族には、強い魔力を持ち、魔力の総量の多い子が生まれることがあります。
それは血統などにより魔力の強さ、魔力の総量は遺伝するとも言われていたのです。
聖女ユカリコ様がそうであったように、『魔力の資質が高いものは、人々を助けてあげましょう。そうしたなら皆、幸せに暮らせるのです。その力は、そのために授かったものなのです』、そう、ユカリコ教でも教えられてきました。
一般の人もそうですが、王族や貴族の子女もまた、十歳で洗礼を受けることになります。
洗礼を受け、魔法の属性がはっきりしたあと、王族や貴族では『お披露目』として子供たちを紹介する習慣がありました。
一般の子供と違って、『お披露目』を終えていない子女は『いないもの』として扱われてきたのです。
だからこそ、洗礼を受けていない王族や貴族の子供たちは、屋敷の外へ出ることが許されていなかったのです――
△ △ △ △ △
「ふぅっ」
アーシェは背伸びをして深呼吸をする。今朝はいつもよりか早く起きることができたからか、昨日の朝よりも多く読むことができたと思う。
自分の部屋に戻って、窓を開けてから机に向かって座り、いつもの物語を読む。これがアーシェにとって日課になっている。
こうして、年齢よりも難しい言葉を覚え知識に加えられる。同時に彼の語彙もまた増えていく。こうして、十歳という年齢には少々不相応な、大人っぽい言葉使いをするようになったのである。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
『グランダーグ見聞録より~』
聖女ユカリコは、基本的には『自分が必要になったもの』を作りました。
ですがそれは、けっして『人々によいであろうもの』が優先ではありません。
人に求められて作ったものはあるでしょう。
それでも、自分が必要だと思ったもの以外は後回しにしたのです。
聖女ユカリコ様は、ある意味周りに流されない自分を持っていたのでした。
聖女ユカリコ様が『必要だ』と思って作ったもののひとつで、現在も広く使われているものがあります。
それは、鉱山で採れる魔石という希少鉱物を利用した『魔石でんち』でした。
魔石は魔力に反応し、魔力を増幅したり、ものによっては魔力を蓄積できるものもありました。
その性質を利用して聖女ユカリコ様は、魔力を蓄積させる『魔石でんち』開発したのです。
『魔石でんち』に充填された魔力を『魔力えんじん』に接続し、魔力を供給することで中にある回転体が回ります。
その原理を利用して魔法や魔法陣に頼らない動力を生み出しました。
それが『魔力でんき』なのです。
『魔力えんじん』から、銅を細く加工した線を撚って作られた『でんせん』で『魔力でんき』を供給すると、光を灯すように加工された『魔石らんぷ』に繋げます。
そこで『魔力えんじん』を動かすことで、明かりを得ることが可能になったのです。
すべて、特性の違う魔石を利用し、魔法陣をひとつも使わずに開発された、安全で単純な機構を持つものばかりです。
だから知識に乏しい人でも、簡単な取り扱い方法を覚えるだけで利用することができていたのです。
これまでは、薪や油などを使うかがり火やランプが一般的でした。
一時的に明かりを灯す場合ならば、もしくは加護による魔法や魔法陣による火で対処できるでしょう。
ですが『魔力えんじん』により、危険性の少ない継続的に利用できる明かりを手に入ることができたのです。
これらの技術および『魔力えんじん』などは、ユカリコ教より安価で提供されています。
そのおかげで王家や貴族家、一般家庭に至るまでどの家も明るく灯してくれているのです。
おそらく異界の地から来た聖女ユカリコ様が、『単純に夜更かしがしたいため、夜、安全に活動するための明かりが欲しかった』という理由から作られたのでしょうという、心暖かな話が残されていました。
ユカリコ教内部、神官や巫女の中にも手先の器用な技術者がいることから、聖女ユカリコが天命を終えられた今でも、人々の生活を支えてくれています。
今も聖女ユカリコが書き残したとされている、便利な道具が試作されては試験を繰り返し、安全と認定されたなら使用試験を経て新商品となり、人々の生活をまた支えてくれるのです。
万能と思われる『魔力えんじん』は永久機関ではなく、魔力が欠乏すると動きを止めてしまいます。
そのため、街灯などには使われていないのです。
それでも店舗などでは、店先に明かりを灯していることが多く見られるようになってきました。
『魔力えんじん』も『魔石でんち』も、『れすとらん』の隣にある店舗でいつでも購入可能です。
『魔力えんじん』は一般家庭で使う小さなものから、大きな屋敷で使うことを想定されたものまで用意されています。
もちろん、懐に優しい価格設定です。
家や屋敷に魔力の総量の多い人がいる場合は、寝る前に昏倒しない程度の充電が可能です。
『魔石でんち』は、新しいものを購入することがなく、そのまま再利用ができる簡単設計になっています。
魔力の少ない人の家庭は、使い切り型の『魔石でんち』を購入し、利用しています。
使い終わった『魔石でんち』を下取りに出すことで、新しいものに安価で交換してもらえるというわけです。
そのため、魔力を充填するのを副業とする人も少なくはありません。
魔力を充填することを生業としている人もいたりするのですが、それはまた後の話にと思います。
このように、人々の生活を豊かにしてくれるユカリコ教は、どの国でも愛され受け入れられているのです。
魔法には様々な属性があります。
例をあげると地属性、水属性、風属性、火属性、光属性、闇属性、聖属性、そして無属性です。
洗礼時に判明するの人の持つ属性は、加護を受ける際に初めて判明します。
魔力の総量や出力できる強さによって効果に違いは現れますが、基本的な使い方はユカリコ教でも教えてもらえるのです。
もちろん。書物などで独学することも可能です。
この世界の人族や、人族以外の種族には、魔力の総量は違えど多かれ少なかれ魔力を持って生まれてきます。
それはユカリコ教によって長年伝えられてきました。
どの国も王家や貴族には、強い魔力を持ち、魔力の総量の多い子が生まれることがあります。
それは血統などにより魔力の強さ、魔力の総量は遺伝するとも言われていたのです。
聖女ユカリコ様がそうであったように、『魔力の資質が高いものは、人々を助けてあげましょう。そうしたなら皆、幸せに暮らせるのです。その力は、そのために授かったものなのです』、そう、ユカリコ教でも教えられてきました。
一般の人もそうですが、王族や貴族の子女もまた、十歳で洗礼を受けることになります。
洗礼を受け、魔法の属性がはっきりしたあと、王族や貴族では『お披露目』として子供たちを紹介する習慣がありました。
一般の子供と違って、『お披露目』を終えていない子女は『いないもの』として扱われてきたのです。
だからこそ、洗礼を受けていない王族や貴族の子供たちは、屋敷の外へ出ることが許されていなかったのです――
△ △ △ △ △
「ふぅっ」
アーシェは背伸びをして深呼吸をする。今朝はいつもよりか早く起きることができたからか、昨日の朝よりも多く読むことができたと思う。
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