クラスで異世界に転移するまではいい、でも175㎝の俺が踊り子って誰得だよ!

荒瀬竜巻

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船上でのすったもんだ

シーフードやろがい

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あの後流石の晴雄もこりゃ堪らんと席を外した。少し悪い事をしたと考えはしたが、そもそも誘ってきたのは向こうだと己を正当化して虚勢を張った。何もないように服を着て風呂場を出て、今日はいろんなことがありすぎだと思いながら最長の1日を終えた。次の日大変だなぁなんて事を頭の片隅に置いといて。



次の日、E班だった俺は初日にして早速休暇だった。といっても最長の1日を終えた後の休暇はものすごくありがたかった。予想通り起きた腰痛も、休んでいれば次期に治るだろう。今日という今日はゆっくり休んで英気を養いたい。そんでもって今俺は、食事どころで皆に頭を下げている。

「すっげぇ……」

「逆レイプか、健吾いいなー」

俺は真剣そのものだった、隣で頭を下げてくれてる晴雄はもちろん、この空間で誰よりも頭を下にして謝った。健吾は恥ずかしがってたけどここぐらいまでしないと俺の気が済まない。すまん、もう暫くだけ頭を下げさせてくれ。逆レイプを羨ましがる気狂いが晴雄以外にもいたのは驚いたが、ドMで有名な蒼樹大輔だったからまあいっかと考え直した。

「あのね梓、もういいよ。僕大丈夫だから」

朝っぱらから顔を真っ赤にしている健吾、もうそろそろやめないと違った意味で可哀想だから、顔を上げさせてもらった。隣で仁が子供なら泣き出してしまうほど睨んでいたが今はそんなの知らない、お仕置きなら後で受けさせてもらう。

ようやく重い頭を上げた俺を見て、健吾もようやく安心したようだ。それを見計らってか、それともただの偶然か、ちょうど奏を初めとした今日の食事係であるA班がキッチンから出てきた。

「ほらほら腹減ったろ。そんなん後にして飯食おうぜ」

8人で作っただろう朝食は、テーブルに次々に並べられていくのは見ていて楽しい。少し遠慮気味に全員が座る大きなテーブルに近づく。どんなのだろう、せっかく船の上なんだしシーフードだろうか。いやでも朝に食べるシーフードってなんかあるか……?

「ほら食え、鮭のホイル焼きだ!」

「「「和食!」」」

「何言ってんだシーフードだろうが」

いや確かにシーフードではあるけども。それでも思ってたのと違う。堂々とした顔でまさかのホイル焼きを出してきたのは枝元祐一。ぶっ飛んだ奴が多いこのクラスでも、かなりの常識人もといツッコミ体質だ。

俺みたいに陰キャというか、悪い意味で常識人じゃないのはちょっと特別な感じがする。なんかスクールカーストの枠外のような性質だ。といってもこのクラスではスクールカーストなんてあるようでないものだったけど。ただ不良と優等生が同じぐらいいるよなみたいな、軽いものだ。俺が知らないだけかもだけど。

「とにかく食おうぜ、腹減った」

胃袋が限界になっていた一部の人間によってすっかり空気は朝食ムードだ。鮭はともかくとして、異世界にも米や味噌があるようだ。確かに俺たちが食べ慣れた日本のそれとは雰囲気が違ったが、ご飯と味噌汁が並べられた、卵焼きもあって足りない黄色を補っていてバランスがいい。1週間も経ってないはずなのに懐かしいったらありゃしなかった。

「異世界でも和食ってあるんだな」

俺が言わなかった疑問を声に出す仁、しかし肝心の反応は俺と同じく久しぶりの和食にワクワクしているようだった。それに応えるように、横から奏が話に入ってきた。陽キャならではの自然な話の入り方は見習いたい。

「実はコグエの南端の方に、なんか和の国っていうのがあるみたいなんだ。目的地のコグダムはそっから更に北に、寒い方にあるらしいぜ、喜助から聞いたから詳しくは知らんけど」

和の国。日本人としては好奇心をくすぐる魅惑の国だな。もっと聞けば先ずはコグエに着いたら和の国に支援を仰ぐ予定らしい、俄然気合が入ってきた。

「喜助は物知りなんだな」

「ん? 喜助もベルトルトさんから聞いたらしいけど」

なるほど。いかに頼りになるとはいえ異世界はいたのは同じタイミングだ、人に聞くのは悪い事じゃない。それにしても本当にベルトルトさんは俺たちの支援に抜かりがないな。感謝してもしきれないとはまさにこの事。ところで喜助はこの船のことはもちろん、異世界についても知識が豊富だ。元々真面目だから俺が発情して馬鹿やってる間に勉強してんのかとは考えたが、流石に1人での仕事量が多すぎる。一体どこで情報を集めているというのだろう。

少しだけ、正にふと浮かんだと表現するのにふさわしい疑問の湧き方だった。しかしこういうタイプの疑問はすぐに外部の刺激で消え失せてしまうものだ。実際俺も考えてみて約10秒で空腹に抗えず、皆でご飯を食べ始めてしまった。

「「「いただきます!!!」」」

ふっくらと仕上がった柔らかい鮭と、食べ慣れたそれとは風味が違うがそれでも美味しい味噌汁、そして我らが母お米。正に最強の布陣だ。どれだけも美味しいものを食べても最後にはこれに戻るな、そう思いながら久しぶりの和食を楽しんだ。
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