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前を向いて歩こう
俺たちみんな迷惑人
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「七海が真田を梓のところに使わせたって聞いたけど、こんな所にいたんだな。どうだ湯加減は、うちの源泉掛け流しとはいかないけど、特製の薬湯は効果あるぞ。でも4人とも入ってないな」
どうやら脱衣所や浴室の掃除ついでにふじやんと暁彦の様子を見にきたようで、俺たちが入ってるのは想定外だったようだ。それでも俺と仁が一緒にいると言うのは早くも広まっている情報だったようで、思ったよりも普通に対応してくれた。そうだそうだ、このタイミングを逃す手はないな。その薬湯何が入ってるんだ? 何か異世界だけの薬草とか薬を入れたのか?
「あれ、ひょっとして梓入ってくれたのか。どうだいい湯だったでしょ、めちゃめちゃ熱いけど」
「うん。でも直ぐに身体が冷えてこうして普通の風呂で話しながらあったまってんだよ。あとさ……潜ったときにめっちゃ目が痛かったけどどうしたん?」
「あれ? ひょっとして目に入ったのか?」
「目に入ったと言うより俺が入った」
目に入るとやばいものは間違っても湯船に入れてはいけないと思うけど。ごもっともだと笑いながら言われた後、未来は少し悩んでいるような、困っているようなうーんと言った唸り声をあげて、俺との話を再開した。
「ねえそれってなんか偶然に出来たの知ってる?」
「仁から聞いた。風呂場で起こった偶然ってんのはちょっと予想つかなかったけど……ひょっとして事故とかそんな類?」
「事故とかそんな類」
「おい」
そんな辛い感じに言わないでくれ。それでも未来は俺が起こっているのが面白いみたいで、懲りずに会話を続ける。昨日俺が気を失って、仁や薫たちが漏れなく謹慎になった後にこの薬湯は作られたようだ。全員で入浴すると一緒に、でこれからの薫と俺のあり方をクラス中が話し合ってくれていたようだ。こればっかりは仁は勿論ふじやんや暁彦も知らなかったみたいで、一瞬驚いた顔になっていた。直ぐに戻ったとはいえ俺の目は誤魔化せないからな。
俺を守るため、薫とのいざこざが自然に治るまで仁やふじやんの力も借りて遠ざける「梓護衛派」。そしてそれと相反する、これから仲間として共に魔王倒すのだから、多少無理をしてでも仲直りさせる派の「仲直り強行派」で真っ二つに別れたようだ。そんな話1ミリも聞かんかった。なんで今まであった奏や大河なんかは話してくれなかったんだ。
「ほら、七海は乱暴者にしてはことなかれ主義なとこある上に奏は馬鹿でしょ?」
「めっちゃ奏ディスるやん」
「で、ここからが本題なんだけど……」
「本題あったんかい」
その討論がいろんな意味で白熱して、話し合いで分かり合える目処が立たない、つまりは実力行使しか残っていないと馬鹿達が判断したらしい。石鹸を投げたりシャワーを顔面に浴びせたりして、一時期大乱闘状態だったようだ。これはいい俺のために争うのは辞めてくれのいい使用例だろうか、いやニュアンスがちょっとだけ違うな。なんて呑気なことを言っている場合ではない。
それで大乱闘のルールはどんどん破壊されて、風呂場にあるもの以外を使うものが現れた。具体的には風呂場の隣にある食料倉庫から缶に詰められている一味唐辛子を湯船にぶちまけたり、よくわからない用法も知らないような魔法薬や魔法水を湯船に投入したりしたらしい。ちょいと待てや、ここからはあくまで俺の予想だがつまりそれって……
「最初は全員やっちまったって思ったけどさ、入ってみたやつがすごい熱いけどいい風呂だって言い出したんだよ」
やはりか。一味唐辛子までならこの際許してもいい、テレビで唐辛子入った風呂を見たことがあるし地方によってはよくある事なんだろう。だが魔法薬、テメーはダメだ。もっと言うと魔法水もダメだ。そんなもの間違っても放置するんじゃあない、全員漏れなく使い方も知らん道具だろうが。しかもそんなのによく入ろうと思えた奴がいたな、誰だよそいつどんだけ湯船に入りたかったんだ。
「だれって、岸峰と柿原と、あと蒼樹とかも入ってったな」
「意外と多いな……」
あまりの自殺志望者いや失敬勇敢な人間の多さに暁彦も言葉を失っていた。気が狂ってるとしか形容のしようがないとはいえ、確かに納得のいくメンツではある。性に関すること以外で怖いものがない健吾と、クラスの自己紹介の時虐めてくれる友達探してると言ってた自覚のあるドM大輔、そして人智を超えた思考を持って生まれた稀代の電波男岸峰界人なら平気でやらかしそうだ。
「まあ3人のおかげで結構いい薬湯ができたことがわかったし結果オーライだな。でも目に入れたら痛いのは盲点だった」
「本当に死ぬかと思った。目が溶けてないのが奇跡なぐらいの激痛だった」
「悔しいけどヒーラーの中で1番即効性があるのは大河の白魔術だ、腰痛治すのと一緒に治してもらったら?」
「目潰しされそうだからいい」
俺たち4人がここまで揃って困惑する事態が起こっている。なんかあれだな、俺のせいで仁や薫、ふじやんとかが変になってるんだと思ってたけど、案外そうでもないんかもしれない。みんな最初からそれなあり変で、そんな奴らが俺に恋をしてるだけなんじゃないのかと思い始めてきた。
あーなんかもう色々とぐだぐだ考えてたことがアホらしい感じてきた。俺の周りには平気で風呂に一味唐辛子や魔法薬をいれる奴がいて、しかも薬湯だからって普通に放置されているんだ。なんか俺だけ色々考えるのはやめにしよう、頭が重くなってしまう。きっと俺も今回みたいにまた迷惑をかけるかもしれないけど、それに関してはクラスの奴らも負けてはいないな。
持ちつ持たれつ、今後もそんな感じでやっていこう、前を向いたもん勝ちだな。
どうやら脱衣所や浴室の掃除ついでにふじやんと暁彦の様子を見にきたようで、俺たちが入ってるのは想定外だったようだ。それでも俺と仁が一緒にいると言うのは早くも広まっている情報だったようで、思ったよりも普通に対応してくれた。そうだそうだ、このタイミングを逃す手はないな。その薬湯何が入ってるんだ? 何か異世界だけの薬草とか薬を入れたのか?
「あれ、ひょっとして梓入ってくれたのか。どうだいい湯だったでしょ、めちゃめちゃ熱いけど」
「うん。でも直ぐに身体が冷えてこうして普通の風呂で話しながらあったまってんだよ。あとさ……潜ったときにめっちゃ目が痛かったけどどうしたん?」
「あれ? ひょっとして目に入ったのか?」
「目に入ったと言うより俺が入った」
目に入るとやばいものは間違っても湯船に入れてはいけないと思うけど。ごもっともだと笑いながら言われた後、未来は少し悩んでいるような、困っているようなうーんと言った唸り声をあげて、俺との話を再開した。
「ねえそれってなんか偶然に出来たの知ってる?」
「仁から聞いた。風呂場で起こった偶然ってんのはちょっと予想つかなかったけど……ひょっとして事故とかそんな類?」
「事故とかそんな類」
「おい」
そんな辛い感じに言わないでくれ。それでも未来は俺が起こっているのが面白いみたいで、懲りずに会話を続ける。昨日俺が気を失って、仁や薫たちが漏れなく謹慎になった後にこの薬湯は作られたようだ。全員で入浴すると一緒に、でこれからの薫と俺のあり方をクラス中が話し合ってくれていたようだ。こればっかりは仁は勿論ふじやんや暁彦も知らなかったみたいで、一瞬驚いた顔になっていた。直ぐに戻ったとはいえ俺の目は誤魔化せないからな。
俺を守るため、薫とのいざこざが自然に治るまで仁やふじやんの力も借りて遠ざける「梓護衛派」。そしてそれと相反する、これから仲間として共に魔王倒すのだから、多少無理をしてでも仲直りさせる派の「仲直り強行派」で真っ二つに別れたようだ。そんな話1ミリも聞かんかった。なんで今まであった奏や大河なんかは話してくれなかったんだ。
「ほら、七海は乱暴者にしてはことなかれ主義なとこある上に奏は馬鹿でしょ?」
「めっちゃ奏ディスるやん」
「で、ここからが本題なんだけど……」
「本題あったんかい」
その討論がいろんな意味で白熱して、話し合いで分かり合える目処が立たない、つまりは実力行使しか残っていないと馬鹿達が判断したらしい。石鹸を投げたりシャワーを顔面に浴びせたりして、一時期大乱闘状態だったようだ。これはいい俺のために争うのは辞めてくれのいい使用例だろうか、いやニュアンスがちょっとだけ違うな。なんて呑気なことを言っている場合ではない。
それで大乱闘のルールはどんどん破壊されて、風呂場にあるもの以外を使うものが現れた。具体的には風呂場の隣にある食料倉庫から缶に詰められている一味唐辛子を湯船にぶちまけたり、よくわからない用法も知らないような魔法薬や魔法水を湯船に投入したりしたらしい。ちょいと待てや、ここからはあくまで俺の予想だがつまりそれって……
「最初は全員やっちまったって思ったけどさ、入ってみたやつがすごい熱いけどいい風呂だって言い出したんだよ」
やはりか。一味唐辛子までならこの際許してもいい、テレビで唐辛子入った風呂を見たことがあるし地方によってはよくある事なんだろう。だが魔法薬、テメーはダメだ。もっと言うと魔法水もダメだ。そんなもの間違っても放置するんじゃあない、全員漏れなく使い方も知らん道具だろうが。しかもそんなのによく入ろうと思えた奴がいたな、誰だよそいつどんだけ湯船に入りたかったんだ。
「だれって、岸峰と柿原と、あと蒼樹とかも入ってったな」
「意外と多いな……」
あまりの自殺志望者いや失敬勇敢な人間の多さに暁彦も言葉を失っていた。気が狂ってるとしか形容のしようがないとはいえ、確かに納得のいくメンツではある。性に関すること以外で怖いものがない健吾と、クラスの自己紹介の時虐めてくれる友達探してると言ってた自覚のあるドM大輔、そして人智を超えた思考を持って生まれた稀代の電波男岸峰界人なら平気でやらかしそうだ。
「まあ3人のおかげで結構いい薬湯ができたことがわかったし結果オーライだな。でも目に入れたら痛いのは盲点だった」
「本当に死ぬかと思った。目が溶けてないのが奇跡なぐらいの激痛だった」
「悔しいけどヒーラーの中で1番即効性があるのは大河の白魔術だ、腰痛治すのと一緒に治してもらったら?」
「目潰しされそうだからいい」
俺たち4人がここまで揃って困惑する事態が起こっている。なんかあれだな、俺のせいで仁や薫、ふじやんとかが変になってるんだと思ってたけど、案外そうでもないんかもしれない。みんな最初からそれなあり変で、そんな奴らが俺に恋をしてるだけなんじゃないのかと思い始めてきた。
あーなんかもう色々とぐだぐだ考えてたことがアホらしい感じてきた。俺の周りには平気で風呂に一味唐辛子や魔法薬をいれる奴がいて、しかも薬湯だからって普通に放置されているんだ。なんか俺だけ色々考えるのはやめにしよう、頭が重くなってしまう。きっと俺も今回みたいにまた迷惑をかけるかもしれないけど、それに関してはクラスの奴らも負けてはいないな。
持ちつ持たれつ、今後もそんな感じでやっていこう、前を向いたもん勝ちだな。
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