クラスで異世界に転移するまではいい、でも175㎝の俺が踊り子って誰得だよ!

荒瀬竜巻

文字の大きさ
118 / 216
俺に出来るもの

明彦という男

「エロいっていうな! 冷えた脳内ツッコミと理解力はトップクラス、梓ブルー!」

「大丈夫だぞ様になってる。兎に角梓のフォローに徹したい、明イエロー!」

「こんなことするの初めてだよ! 一生懸命頑張ります、ピンク健吾!」

「みんなが楽しそうでなりよりだぜ、特にいうことがない勝グリーンだ!」

「一回でいいからしてみたかった! ってかお前ら名乗りが雑すぎだろ、暁彦レッド!」

「「「我ら筋トレ戦隊!
   マッスルファイブ!!!」」」

……なんだこれはと言われても言い返すことができない惨劇を見せてしまって申し訳ないと思っている。俺たちのチーム名を暁彦に丸投げしてしまった結果がこれだ。戦隊モノ好きなのは悪いことじゃないし、本人である暁彦も楽しそうだ。だが名乗りは基本全員自由な感じになってるから、そこはガチ勢の暁彦の琴線に触れないように努力するしかない。そして結果はというと、

「お前らふざけてんのか?」

まさかの大不評。やっぱり仮面ライダー派の俺では暁彦を満足させるには至らなかったようだ、トップバッターとして申し訳ない。

「特に健吾、名乗り間違えてただろ。ピンク健吾じゃなくて健吾ピンクだ!」

「ご、ごめんなさい。どっちも同じに感じたから……」

「何から何までちげーよ!」

いや細かいな、パンピーにこだわりを押し付けるガチ勢ほど引かれるものはないぞ。まあ気持ちは分からんでもない、俺もオタクだからついついしてしまいがちになる事は決して少なくない。褒められたものじゃないけどな。そうとは言え、後先考えずに暁彦に決定権を押し付けてしまった俺たちにもある種の責任があるから、戦隊モノをよく知る人間知らない人間を含めて、このチーム名に文句を言うものはいなかった。

「お前ら戦隊モノちゃんとみてるか、日曜の朝にやってんだろ? 見てるだろ?」

「俺仮面ライダー派だから戦隊モノは前菜見ないな感じで……あんま見てなくてな」

「朝は苦手だ。日曜はそんなん見てないで大人しく昼過ぎまで寝るもんだ」

「うーん……日曜は朝練が早くてな。小学校の時は見てたけど今はもうめっきりだ」

「僕も朝は苦手で……プリキュアの時間になると見たいから自然に起きるんだけどな」

「お前ら全然なってないな!!!」

仮面ライダー派の俺、朝が苦手な明、年取って見なくなったふじやんに、まさかのプリキュア派な健吾。十人十色と言えばそこまでだが、暁彦は本当に戦隊モノが大好きなんだろうな、こんなことがあっていいのかと言った具合に落ち込んでいる。どうせならもうちっと練習しとくか?

「え、いいのか!?」

さっきの落ち込みは演技だったんかと言いたい具合に、目の色変えて俺に迫ってきた。元気が出てよかったと言うべきなのか、お前騙しやがったなと怒るのが正しいのかは分からんが、とにかく頷いておいた。外野はと言うとめんどくさそうにしている明と、相反するようにワクワクしている健吾、その様を見て優しく笑っているふじやんと性格が見事に滲み出ていた。

陽キャに見せかけたヘタレと見せかけて、好きな事に一直線なオタク属性とか言う隙のない二段構えな性格をしている暁彦は、そんなのに目も暮れず元気潑剌としていた。俺はこの世界に来て流されやすい性分だとわかったもんで、早くも無駄な抵抗をやめている。こうしてみると案外バランスいい5人組だな俺たち。

「じゃあ気を取り直して練習だ、名乗りのな!」

「えい、えい、おー!!」

「筋トレは……また今度にするか」

「梓ってなんだかんだお人好しというか、他人に甘いよな」

「そんなだから性被害に遭うんだ」

ぐうの字も出ないな。まあどんな不純な動機であっても5人の仲が良くなるのはいいことだと思う。ほら、俺たち結構ギクシャクしてたりするから……な?

すると、いきなり暁彦がこちらに向き直ってきた。大好きなものを語って興奮気味に頬が赤くなった可愛らしい姿だったけど、目が真剣そのもので、思わず身構えてしまった。ついでに周りの奴らも身構えていた。

「なあ梓、見ててくれよ。おれいつか戦隊のレッドみたいに強くなって……」

「う、うん……」

「面と向かって真田に謝れる男になってやるから!」

「じ、仁に?」

まさかの仁だった。周りも意外というか、拍子抜けしたような顔になっている。うん、これはきっとあれだ。暁彦のやつ、まだ自分の口から仁に謝れてない事気にしてるんだろうな。本人はもう記憶にすら残っていなさそうな問題だが、暁彦としてはそういう問題ではないのだろうな。

これはきっと、高林暁彦という人間の美学、道徳の話。違う言葉を使えば良心やプライドに基づく価値観だ。……うん、その気持ちすごいわかる。

頭を下げているそいつの目の前に、手を差し伸べた。救いの手ではなく、友達としての友愛の握手のための手だ。それに気がついた暁彦は、焦ったように自分の目を入念にタオルで拭いて、俺の手を強く握ってくれた。
感想 2

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。

猫宮乾
BL
 異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます