小柄コンプを拗らせていた俺、魔術学校ものの異世界に飛ばされた挙句デカ男達から天使扱いされる

荒瀬竜巻

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一の才能

感度を上げてけ

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 なぜか恥ずかしがり始めたブルーブックの心境は理解できないが、そんなもんはアイツの気が向いた時に教えてもらえればいいと意識をずらした。
 裏で何か言われたり詮索される事は過去に何度もあったが、こんな大人数を巻き込むのは流石に御法度だ。本来なら落とし前は利子つけて取り立てる(強めの毒舌を浴びせる)が、しかし嬉しい事? に、敵意ではなくあくまで好意による者らしいので、できるだけ穏便に済ませたい。

「それはそれとして、どうやって魔法陣に触れずに食堂まで行くんだ? 学園長みたいに空飛べねえだろ」

「城の外にも陣張り巡らされとるけん屋根伝いに行くのも無理やと思うで」

「なら正面突破しかねえな」

「えぇ……」

 流石に発光しながら一階の食堂まで行くのは他の生徒の避難妨害もいいとこだから避けるしなねえけど。多分大丈夫だろ。ブルーブックがまた眼を見開くが意図は全く読めない。……そんなに魔力を感じ取るのは難しいことだろうか。けど俺の場合魔力に体がこう……変に敏感だから、魔力=性感帯の方程式が完成しつつあるから、人一番感じやすいのかもとは考えるけれど。

 でも心配してくれるのはありがたい。確かになんとなく気配は感じるが、もっとこう確かな確証が欲しいのも確かだ。踏む直前で気付く程度の精度じゃ話にならねえ。なにかもっと感度を良くする……魔力の気配にいち早く気付けるように工夫が必要なのは間違いなかった。

「なあ、ブルーブック、お前物知りだろ。感度を上げるにはどうすりゃいいと思う?」

「うぇ!? 感度……!」

「……悪い、言い方をミスった。魔力を感じ取る力を上げるために今の俺でもできそうなことってなんだ?」

 ブルーブックを含めた教室中にいる連中がギョッとするのを見て自分のミスに気が付いた。ちょっとばかし、いいやだいぶ言葉が少なくなってしまったのを反省する。

「そんなミスする……?」

「なんか、思わせぶりだし魔性っぽいな」

 そんなふうに言わんでくれ。今の間違いは俺自身からしても結構恥ずかしかったりする。なんだよ感度って、何をどうすれば魔力を感じ取る力を感度って言葉に変換できるんだ俺の辞書、変な世界に来たからって偏ってんじゃねえ。

「えっと、魔力を感じ取る力の上げ方か……」

 話を戻してくれたブルーブック。こんな言葉の足りない質問にも真剣に答えを考えてくれて申し訳なさもあるが感謝もある、物知りのこいつが悩んでるってことは結構難しい出題だったみたいだ。無理して捻り出さなくてもいいと言おうとした矢先、少しだけ言いづらそうに再び口を開いた。

「一応方法はあるかなぁ……ねえスタッフォード、魔力のパス切ってみてよ」

「……お前」

「そ、そんな顔しないでくれよ、魔術の知識が乏しいハジメっちができそうな対策ってこれしか思い浮かばなくて」

 スターと同じく俺も思考を巡らせた。魔力のパスを切る……それってつまり、その、またあのいやらしい気分になっちまうってことなのか? たしかにそうなったら魔力を欲して体が敏感になるだろう。まさかさっきの感度との言い間違いが布石だったりする? いやいやそんな伏線回収期待しとらんわ。

 けど、ちょっと脳内ツッコミの応酬が過ぎたが、大した鍛錬を積んでいない俺にも対策法があったというだけで本来は幸運なことだと思う。またアレを経験するのはちょっと、いやだいぶ怖いが、背に腹は変えられんというやつ。一度やり切ると宣言した手前簡単に諦められないというプライドも無理をする理由のちょびっとではあったけど。

「……別に、俺はそれでもいいぜ?」

「な、え!? あの、魔力のパスを切れば、また繋ぐためにその……性行為をしなくてはなりませんが」

「「「!!!!」」」

「そ、それは今は考えないことにするから……」

 全員、もっというとか廊下で盗み聞きしてた奴らからもどよめきが感じられたが、それらから逃げるように強行の姿勢を見せる。俺が原因とはいえこそこそと小賢しい真似でたくさんの人に迷惑をかける奴らを、何もせずに放っておく方が耐えられない。出会ったら罵詈雑言を飛ばしまくってお望み通り踏んでやることにしよう。どうせ反応ないだろうし、俺はそいつらに得意の毒舌を発揮するだけでいいし。

「それにさ、その、スターがいれば安心かなって……」

「ん゛ッッ!!」

「ん?」

 イケメンフェイスが勿体無い奇声を上げた所で、スターも覚悟を決したようだ。行きますよという宣言で俺の心も締まる思いがする。鉛の如く重たそうに自身の腕を持ち上げ、そして指を鳴らした。
 心の準備をしていたとはいえ、身体からまたあのもどかしいぶわりとした感覚的が戻ってくる。でもさっき散々白い、カードからドピュドピュ出てくる魔力を浴びまくったせいかまだ身体に力が少し残ってる気がして、全く耐えられないという話ではない。

「うぅ、、全然余裕だ」

「……そんな顔で言われても説得力ないんやけどなぁ」

 水をさしてくる学園長を無視しつつ震える足で廊下に向き直る。クラスメイトの顔も、廊下にいるが外野の顔も、今は見る事も考える事もないようにした。
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