2 / 13
好奇心は猫をも殺す 慎太郎side
猫に手を貸す
しおりを挟む
「ここどこだよ」
光る本を手に入れて宝石を見つけただけなのに、あーでもあの後消えたし、なんだろう、これなんて言うべきなんだろう俺なんかやっちゃいましたか? みたいに言えばいいのか? 外を見ても俺の知らない景色だ。なんだここは、本棚多いし多分図書館、いやこんなに豪勢と言うか、日本風な建物だっけ?
身体中から出てくる変な汗を嫌だなぁと思いつつ、この部屋から出ようと目に入ったドアに手をかける。廊下に出ても見える光景は知らない建物の内部と、あと窓から見える知らない街並みだ。田舎とは言えここまで年季の入った家屋は知らない、もっと言うとこの街みたいに江戸時代みたいな街並みももう現代日本ではそう見つかるもんじゃないだろう。
「ニャー」
「うわ! ……猫か」
前ばかりに気を取られて不用心になっていた。横からの声にのけぞり横を見ると、可愛いおべべを着た黒猫がいた。猫は見慣れているからわかるぞ、こいつはかなりの高齢キャットだ。背中を見ればなんとなくどれだけ歳を持っているのかがわかる。生意気に博士帽まで着けて重そうな服を着ている高齢ニャンコは……大好きだ。
「おらお前可愛い顔しやがって、ヨシヨシして欲しいんか? ちゃんとゴロゴロ言えよ」
猫に気を取られてすっかり外に出ることを忘れてしまった。本来ならこんな畏まった格好した髭面の爺さんに可愛いなんて言わないが、猫は特別だ。腹を出せと言いながらこてんと腹だしをさせて、ヨシヨシしてやると大概の猫はゴロゴロ言うはずだ。しかしこいつは違う。
「これ君、学園長に向かって腹を出せとは感心しないね」
誰だよと周りを見渡した。しかしそれらしい人間は姿を見せない、べつにお前に言ったわけじゃねえよと考えていたセリフを言う機会がなくなってしまったじゃないか。
「こちらだよ。どうやら私のことを知らないみたいだね、お客様かな?」
腹を撫でていたお爺ちゃんニャンコが急に二足歩行になった。それだけなら随分の器用な猫だなー可愛いなーで済む話しだけど、喋り始めたらそりゃもう度肝抜く以外の選択肢がなくなってしまうわけで。
やけに紳士的な挨拶をするそいつは確かに背中が曲がっていてお爺ちゃんだ、カギしっぽになっている黒いソレを可愛いと思いつつ、上品に毛繕いをするその姿はちゃんと猫。一体何者なんだ。お前は、いやあなたは、いったい誰なんだ?
「名乗りが遅れて申し訳ない。私はこの世界4大魔法学校の一つ魔ヶ峰学園の学園長、名は雪麿、好きなものは刺身で嫌いなものはまたたび。お見知り置きを」
魔法学校、急にファンタジーだな。しかも街並みがこれとかなんか和風ファンタジーみたいだ、どうやって帰るのかわからない今の状況を抜きにしたらめちゃくちゃワクワクできる。惜しい。
「失礼だが、今の名前を教えてもらえないかな。ここらじゃ珍しい服を着ている、異国のお客人かな? 失礼だが名も教えてほしい」
「えっと……関根慎太郎です。そもそも此処がどこなのかをもう少し詳しく教えてくれたら……」
何やら訳ありだと察してくれたのか、それとも何か思いついたのか、困惑するしかない俺をよそになるほどなるほどと言うばかりだ。そもそも猫が喋るだけでも手に負えないってのにまだなんかあるとかは勘弁してほしい。
「そうですか、ではでは、帰る道を教えてあげましょう。お使いをしてくれれば」
「お、お使い?」
まさかのお使い。お爺ちゃんな体では外にいけないのか、それともその猫手では財布も持てないのか、孫にお使い頼む感覚じゃん。見知らぬおじさんにお使い頼まれてもシカトしろって母さんから習ってるけど……でももう名乗られたし帰るために必要だし、猫だし、猫に手を貸すぐらいならいいんじゃあないんだろうか。
「えっと、いいよ」
「そうかそうかありがとう、その素直さをいつまでも忘れてはいけないよ」
そう言いながら買って欲しいものメモを渡してくるのはいいが、ここがどこなのかわからないし長丁場になりそうだ。しかも本屋にや箒が売ってるところ(多分ホームセンター)と中々移動がめんどそう、しかもお金持ってない。しかし流石学園長、ここまでだと何か裏があるのではと勘潜ってしまうほどに準備がいい。
「まずお前には道案内役が必要だね、碓氷峠くん、ここへきたまえ」
「はいはい。どうせ俺は雪麿おじさんの犬ですよっと……」
「話は聞いていたね? 彼の道案内を頼みたいんだ」
「ジジイも人が悪いよなぁまだ小学校のガキじゃねえか、いやそれがかえっていいのか」
何を言っているのか分からなかったが、兎に角碓氷峠と名乗る高身長な……猫耳としっぽが生えてる男の子が近寄ってくる。怖い怖い。猫が二足歩行になったり喋ってるのとはまた違う怖さがある。
「初めまして、碓氷峠、碓氷峠猫太ッス……多分お前と同い年、12歳だろ? 小学校卒業ぐらい」
「え? なんで、何食べたんだよ……」
嘘だ、こんな余裕で170超えだろう男が同い年だなんて考えたくない。俺はまだ140そこそこだと言うのに、言っとくけどこれぐらいの歳になると急激に伸びるんだ。これから成長するからな。
「ではでは、碓氷峠くんと仲良くねー」
学園長に手を振られ、俺は訳がわからぬまま街に繰り出すことになる。
光る本を手に入れて宝石を見つけただけなのに、あーでもあの後消えたし、なんだろう、これなんて言うべきなんだろう俺なんかやっちゃいましたか? みたいに言えばいいのか? 外を見ても俺の知らない景色だ。なんだここは、本棚多いし多分図書館、いやこんなに豪勢と言うか、日本風な建物だっけ?
身体中から出てくる変な汗を嫌だなぁと思いつつ、この部屋から出ようと目に入ったドアに手をかける。廊下に出ても見える光景は知らない建物の内部と、あと窓から見える知らない街並みだ。田舎とは言えここまで年季の入った家屋は知らない、もっと言うとこの街みたいに江戸時代みたいな街並みももう現代日本ではそう見つかるもんじゃないだろう。
「ニャー」
「うわ! ……猫か」
前ばかりに気を取られて不用心になっていた。横からの声にのけぞり横を見ると、可愛いおべべを着た黒猫がいた。猫は見慣れているからわかるぞ、こいつはかなりの高齢キャットだ。背中を見ればなんとなくどれだけ歳を持っているのかがわかる。生意気に博士帽まで着けて重そうな服を着ている高齢ニャンコは……大好きだ。
「おらお前可愛い顔しやがって、ヨシヨシして欲しいんか? ちゃんとゴロゴロ言えよ」
猫に気を取られてすっかり外に出ることを忘れてしまった。本来ならこんな畏まった格好した髭面の爺さんに可愛いなんて言わないが、猫は特別だ。腹を出せと言いながらこてんと腹だしをさせて、ヨシヨシしてやると大概の猫はゴロゴロ言うはずだ。しかしこいつは違う。
「これ君、学園長に向かって腹を出せとは感心しないね」
誰だよと周りを見渡した。しかしそれらしい人間は姿を見せない、べつにお前に言ったわけじゃねえよと考えていたセリフを言う機会がなくなってしまったじゃないか。
「こちらだよ。どうやら私のことを知らないみたいだね、お客様かな?」
腹を撫でていたお爺ちゃんニャンコが急に二足歩行になった。それだけなら随分の器用な猫だなー可愛いなーで済む話しだけど、喋り始めたらそりゃもう度肝抜く以外の選択肢がなくなってしまうわけで。
やけに紳士的な挨拶をするそいつは確かに背中が曲がっていてお爺ちゃんだ、カギしっぽになっている黒いソレを可愛いと思いつつ、上品に毛繕いをするその姿はちゃんと猫。一体何者なんだ。お前は、いやあなたは、いったい誰なんだ?
「名乗りが遅れて申し訳ない。私はこの世界4大魔法学校の一つ魔ヶ峰学園の学園長、名は雪麿、好きなものは刺身で嫌いなものはまたたび。お見知り置きを」
魔法学校、急にファンタジーだな。しかも街並みがこれとかなんか和風ファンタジーみたいだ、どうやって帰るのかわからない今の状況を抜きにしたらめちゃくちゃワクワクできる。惜しい。
「失礼だが、今の名前を教えてもらえないかな。ここらじゃ珍しい服を着ている、異国のお客人かな? 失礼だが名も教えてほしい」
「えっと……関根慎太郎です。そもそも此処がどこなのかをもう少し詳しく教えてくれたら……」
何やら訳ありだと察してくれたのか、それとも何か思いついたのか、困惑するしかない俺をよそになるほどなるほどと言うばかりだ。そもそも猫が喋るだけでも手に負えないってのにまだなんかあるとかは勘弁してほしい。
「そうですか、ではでは、帰る道を教えてあげましょう。お使いをしてくれれば」
「お、お使い?」
まさかのお使い。お爺ちゃんな体では外にいけないのか、それともその猫手では財布も持てないのか、孫にお使い頼む感覚じゃん。見知らぬおじさんにお使い頼まれてもシカトしろって母さんから習ってるけど……でももう名乗られたし帰るために必要だし、猫だし、猫に手を貸すぐらいならいいんじゃあないんだろうか。
「えっと、いいよ」
「そうかそうかありがとう、その素直さをいつまでも忘れてはいけないよ」
そう言いながら買って欲しいものメモを渡してくるのはいいが、ここがどこなのかわからないし長丁場になりそうだ。しかも本屋にや箒が売ってるところ(多分ホームセンター)と中々移動がめんどそう、しかもお金持ってない。しかし流石学園長、ここまでだと何か裏があるのではと勘潜ってしまうほどに準備がいい。
「まずお前には道案内役が必要だね、碓氷峠くん、ここへきたまえ」
「はいはい。どうせ俺は雪麿おじさんの犬ですよっと……」
「話は聞いていたね? 彼の道案内を頼みたいんだ」
「ジジイも人が悪いよなぁまだ小学校のガキじゃねえか、いやそれがかえっていいのか」
何を言っているのか分からなかったが、兎に角碓氷峠と名乗る高身長な……猫耳としっぽが生えてる男の子が近寄ってくる。怖い怖い。猫が二足歩行になったり喋ってるのとはまた違う怖さがある。
「初めまして、碓氷峠、碓氷峠猫太ッス……多分お前と同い年、12歳だろ? 小学校卒業ぐらい」
「え? なんで、何食べたんだよ……」
嘘だ、こんな余裕で170超えだろう男が同い年だなんて考えたくない。俺はまだ140そこそこだと言うのに、言っとくけどこれぐらいの歳になると急激に伸びるんだ。これから成長するからな。
「ではでは、碓氷峠くんと仲良くねー」
学園長に手を振られ、俺は訳がわからぬまま街に繰り出すことになる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
17
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる