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天国のような地獄の始まり
いろんな家の子
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1クラスおおよそ20人、それがこの学校らしい。多いか少ないかは人によりけりだと思うけど、少なくとも俺は少なく感じた。前いた小学校は本当にぎゅうぎゅうで、何というか気持ち悪かった。もともと人間が多いところが好きじゃないのもあるけど、人間好きが見ても多過ぎたと感じるほどだと思う、あれは。
「さあ扉を開けよう、ここにまだ見ぬ学友が私たちを待っているのだ!」
「なんか火神山くんって宝塚劇団みたい」
「ほほう? 財宝の塚とな、中々富が高そうな名前を持つ団体なのだね」
「いやその、かっこいいってこと」
「やめとけ慎太郎、角乃と話すと眩し過ぎて脳が溶けるぞ」
何な理由で会話を拒否してたのか。気の毒に思えるけど確かに俺としても眩しいとは思ってる。不登校してた身分として余りにも光の世界を生きる住人すぎて気安く肉眼で見ることができない、それは認めよう。
「そういうな、同じ学園の未来を担う選ばれし家ではないか。もっと互いに……」
「もういい、さっさと入るぞ」
周りの珍獣を見るような目についに耐えきれなくなったのか、ガラガラとドアを開けて1人で入って行ってしまった。……しかしそれでも魔境すぎだろと言われた1組は凄いらしく、2秒後に碓氷峠くんのゲッという嫌そうな声が聞こえた。何があったんだといった風に堂々と教室に入る火神山くんの背中についていくように、そっと踏み込んだ。
「アレぇ!? 碓氷峠ちゃんだ、大きくなったね、ちょっと前はこんな感じだったのに」
「……それだと俺妖精になっちまう」
早速碓氷峠くんに絡む俺より小柄で男の子としては髪の長い(腰ぐらいまである)、……ローブじゃないやけにハイカラな服を着ているな。チーターかトラか、どれかはわからないけど豹柄の耳と尻尾が可愛い。尻尾と耳に関してこの際つっこむのは野暮だけど、服に関しては許されるのだろうか、その校則的な話で。
「やあやあ沙羽瑠! 雷帝海の魔法使いとも出会えるなんてなんたる奇縁!」
ああこの子も同じ系譜か、今思うコレばっかりは魔境呼ばわりされても致し方ないと。男を可愛いっていう気怠げな猫と、セルフ男版宝塚劇場をしている山羊、そして多分一度見たら2度と忘れない風貌ランキング不動のNo. 1なサーバルキャット。うん俺が部外者だったら知らんぷりするレベルの珍獣達だ。しかし俺は碓氷峠くんのお友達、きっと仲良くなれると思うんだ。
「えっと……初めまして、関根慎太郎です」
「ホォ!? 君だあれ?」
「関根慎太郎です」
口から発する擬音が独特だな。碓氷峠くん曰く昔からこんなんらしい、なるほどコレも個性か。
「彼は碓氷峠の魔法使いそして火神山の魔法使いの友達第一号だ! 沙羽瑠も僕ら以外の友達はいないだろう? さあ彼に挨拶を!」
「なるなるー! 初めまして慎太郎ちゃん、ボク雷帝海沙羽瑠《らいていかいさばる》! 雷帝海の魔法使いだよ!」
「は、はぁ?」
「にゃっと! 雷帝海っていうのは、代々この学園の庭師さんの家柄なんだ!」
パワーがすごい、火神山くんとはまた違ったベクトルでのパワフルさだ。碓氷峠くんと同じネコ科なのに。相手にするとどっと疲れるタイプ、つまり割と苦手。しかし流石にこれ以上変なのはいないだろう……
「ねえねえねえ、どうせなら鷹斗っちにも挨拶してあげてよー!」
ごめんさっき自らフラグを立てたのかもしれない。風流丘ってかっこいい名前というよりここいらにいる奴らはみんなこんな感じの苗字なんか? いいや違うな多分こいつらが特別過ぎなんだ。
雷帝海くんにあれよあれよと引っ張られて現れたのは眼鏡をかけた男の子。よかった今回はちゃんとローブだし髪の毛も長すぎず短すぎない普通だ。強いて言うならやっぱし背中に生えている鳥の羽が気になるけれど。何で左右で大きさが違うんだ? 左は立派だけど右はとても小さい、それで空を飛ぶことができるんだろうか。
「慎太郎よ紹介しよう、彼が鷹斗くんだ。鷹斗くん彼が慎太郎だ。さあ挨拶を!」
洋画みたいな挨拶だな。宝塚、洋画とくれば次は……オペラ? 鷹斗くんは大きな本をもって顔を隠しているけど、それでも眼鏡をしている事はわかる。だけど何だろう、火神山くんと雷帝海くんを怖がっている? 碓氷峠くんとはまた違う感じで2人のことを煙たがっているのかもしれないな。
「……風龍丘鷹斗《ふうりゅうおかたかと》です、よろしくお願いします。家は代々この学園の寮を管理している者でございます」
……ん? このよそよそしい感じ、読書好きな眼鏡、そして明るい2人を何としてでも避けたいこの感じ。それでいて碓氷峠くんのような無気力な気配もしない……まさか、この男の子は!
「初めまして、風龍丘くん! 俺関根慎太郎、風龍丘くんって呼んでいいよね?」
「は、はぁ……」
「何の本読んでるの? 君も本好きなの?」
「一応は……」
この子俺と同系列の子だ、間違いない、初めてだよこんな感じに同世代相手に俺主導で話すのは。ちょっと引き気味の風龍丘くんを圧倒しながら先生が来るまで話していた。
「さあ扉を開けよう、ここにまだ見ぬ学友が私たちを待っているのだ!」
「なんか火神山くんって宝塚劇団みたい」
「ほほう? 財宝の塚とな、中々富が高そうな名前を持つ団体なのだね」
「いやその、かっこいいってこと」
「やめとけ慎太郎、角乃と話すと眩し過ぎて脳が溶けるぞ」
何な理由で会話を拒否してたのか。気の毒に思えるけど確かに俺としても眩しいとは思ってる。不登校してた身分として余りにも光の世界を生きる住人すぎて気安く肉眼で見ることができない、それは認めよう。
「そういうな、同じ学園の未来を担う選ばれし家ではないか。もっと互いに……」
「もういい、さっさと入るぞ」
周りの珍獣を見るような目についに耐えきれなくなったのか、ガラガラとドアを開けて1人で入って行ってしまった。……しかしそれでも魔境すぎだろと言われた1組は凄いらしく、2秒後に碓氷峠くんのゲッという嫌そうな声が聞こえた。何があったんだといった風に堂々と教室に入る火神山くんの背中についていくように、そっと踏み込んだ。
「アレぇ!? 碓氷峠ちゃんだ、大きくなったね、ちょっと前はこんな感じだったのに」
「……それだと俺妖精になっちまう」
早速碓氷峠くんに絡む俺より小柄で男の子としては髪の長い(腰ぐらいまである)、……ローブじゃないやけにハイカラな服を着ているな。チーターかトラか、どれかはわからないけど豹柄の耳と尻尾が可愛い。尻尾と耳に関してこの際つっこむのは野暮だけど、服に関しては許されるのだろうか、その校則的な話で。
「やあやあ沙羽瑠! 雷帝海の魔法使いとも出会えるなんてなんたる奇縁!」
ああこの子も同じ系譜か、今思うコレばっかりは魔境呼ばわりされても致し方ないと。男を可愛いっていう気怠げな猫と、セルフ男版宝塚劇場をしている山羊、そして多分一度見たら2度と忘れない風貌ランキング不動のNo. 1なサーバルキャット。うん俺が部外者だったら知らんぷりするレベルの珍獣達だ。しかし俺は碓氷峠くんのお友達、きっと仲良くなれると思うんだ。
「えっと……初めまして、関根慎太郎です」
「ホォ!? 君だあれ?」
「関根慎太郎です」
口から発する擬音が独特だな。碓氷峠くん曰く昔からこんなんらしい、なるほどコレも個性か。
「彼は碓氷峠の魔法使いそして火神山の魔法使いの友達第一号だ! 沙羽瑠も僕ら以外の友達はいないだろう? さあ彼に挨拶を!」
「なるなるー! 初めまして慎太郎ちゃん、ボク雷帝海沙羽瑠《らいていかいさばる》! 雷帝海の魔法使いだよ!」
「は、はぁ?」
「にゃっと! 雷帝海っていうのは、代々この学園の庭師さんの家柄なんだ!」
パワーがすごい、火神山くんとはまた違ったベクトルでのパワフルさだ。碓氷峠くんと同じネコ科なのに。相手にするとどっと疲れるタイプ、つまり割と苦手。しかし流石にこれ以上変なのはいないだろう……
「ねえねえねえ、どうせなら鷹斗っちにも挨拶してあげてよー!」
ごめんさっき自らフラグを立てたのかもしれない。風流丘ってかっこいい名前というよりここいらにいる奴らはみんなこんな感じの苗字なんか? いいや違うな多分こいつらが特別過ぎなんだ。
雷帝海くんにあれよあれよと引っ張られて現れたのは眼鏡をかけた男の子。よかった今回はちゃんとローブだし髪の毛も長すぎず短すぎない普通だ。強いて言うならやっぱし背中に生えている鳥の羽が気になるけれど。何で左右で大きさが違うんだ? 左は立派だけど右はとても小さい、それで空を飛ぶことができるんだろうか。
「慎太郎よ紹介しよう、彼が鷹斗くんだ。鷹斗くん彼が慎太郎だ。さあ挨拶を!」
洋画みたいな挨拶だな。宝塚、洋画とくれば次は……オペラ? 鷹斗くんは大きな本をもって顔を隠しているけど、それでも眼鏡をしている事はわかる。だけど何だろう、火神山くんと雷帝海くんを怖がっている? 碓氷峠くんとはまた違う感じで2人のことを煙たがっているのかもしれないな。
「……風龍丘鷹斗《ふうりゅうおかたかと》です、よろしくお願いします。家は代々この学園の寮を管理している者でございます」
……ん? このよそよそしい感じ、読書好きな眼鏡、そして明るい2人を何としてでも避けたいこの感じ。それでいて碓氷峠くんのような無気力な気配もしない……まさか、この男の子は!
「初めまして、風龍丘くん! 俺関根慎太郎、風龍丘くんって呼んでいいよね?」
「は、はぁ……」
「何の本読んでるの? 君も本好きなの?」
「一応は……」
この子俺と同系列の子だ、間違いない、初めてだよこんな感じに同世代相手に俺主導で話すのは。ちょっと引き気味の風龍丘くんを圧倒しながら先生が来るまで話していた。
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