美しい人

志子

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治癒魔法と相性②

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 痣のない俺の手首を見てオーウェンが安堵の表情を浮かべた後、「すまなかった」とぽつりと謝罪してきた。

「いや? あん時よっぽど辛かったんだろ? 急に顔色悪くなってさ………。とっさに治療魔法使ったんだけど、俺の治癒魔法って痛みを和らげることぐらいしかできなくて………ん?」

 なんでオーウェンは驚いた顔で俺のこと見ているんだ? 俺、何か変なこと言ったか?

「………お前の治癒魔法は痛みを和らげることしか………できないのか?」
「? おう。俺の治癒魔法は傷とか骨折とか、あー………あとは疲労とか、具合悪いとか、怠いとか、息苦しさとか、熱とか無理だったなぁ」

 俺は指を折りながら今迄村のみんなに試してみて効果がなかったものを挙げていった。で、色々試した結果痛みだけは気休め程度だが和らげることができることが分かった。

「俺の魔力量なんてたかが知れてるし、魔力の質ってのもあんのかな? 知らんけど」

 平民が魔法を使うこと自体ないから、火魔法の弱点は水魔法だってぐらいの知識しかない。治癒魔法なんて皆無だ。

「本当に痛みだけ………なのか?」
「? そうだけど?」

 オーウェンの確認するような問いに俺は首を傾げた。オーウェンは一瞬黙った後、「………頼みがある」と口を開いた。

「うん?」
「………お前の治療魔法を受けたい」
「オ、オーウェンっ!?」

 金髪が少し焦った声を上げた。そんな金髪にオーウェンが何か目配せすると、金髪は少しだけ下唇を噛んで黙ってしまった。え? 何? なんか空気が重くなった気がするんですけど。

「いいか?」
「お、おう。えっと、痛いところって……」
「頭痛だ」
「わかった。あ、先に言い出したのもなんなけど、もし慢性的なもんなら神殿に行ったほうが………」
「それは出来ない」

 はっきりと告げた拒絶の言葉に「え? なんで?」と思わず聞くと、オーウェンは口を噤んでしまった。え? もしかして聞いちゃまずかったか? と俺はちらりと金髪に視線を向けると金髪がおろおろした。………あー、なんか地雷っぽいな。神殿で何か嫌な思いをしたのかもしれない………。

「分かった。でもさっきも言ったけど俺の治癒魔法は気休め程度だからな?」
「構わない」

 頷くオーウェンに「じゃあ、ちょっと失礼………」と俺はオーウェンの前に立ってこめかみ辺りに両手を翳した。

「いたいの、いたいの、とん………」

 不意にオーウェンがギュッと目をきつく閉じた。

「………ッッ!」

 俺は出しかけた治癒魔法をすぐさま消し手を引っ込めた。気配で分かったのかオーウェンがそろそろと目を開け俺を見上げてきた。

「どうした?」

 怪訝な顔を浮かべたオーウェンに俺は「……その……」と視線をさ迷わせた。手のひらに嫌な汗が滲み出し、心臓が嫌な音を立てた。

「………もしかして俺の治癒魔法と相性………悪い?」
 
 俺がそう尋ねた瞬間、オーウェンの目が大きく見開かれた。その表情に俺は自分の顔から血の気が引くのが分かった。

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