異世界に転生したと思ったら勇者じゃなくて魔王で魔王軍育成計画始まりました。

名付けと進化

ワーウルフの長を配下に加えたリュウガはワーウルフが群れを連れてくるのを待つ間に巨大なワームを見つけそれを討伐、亡骸を持ち帰った。

「いやー。この空間魔法は便利だな。あんだけでかいワームも全然かさばらないで持ち帰れるとは。」

「それも全てリュウガ様のお力にございます。」

「いい収穫もあったし、後はゴブリンとかも配下に加えられれば人数的な戦力は問題なくなるだろう。」

そんな話をしているとワーウルフが群れの仲間を連れて戻ってきた。

「魔王様、ワーウルフ総勢150匹を連れてまいりました。」

「おお、思ったよりも大きな群れなんだな。」

「普通のワーウルフの群れは精々30程度、このワーウルフが大きかったのも頷けます。」

「そうか、ワーウルフよ。お前に名はあるか?」

「いえ、魔王様。私はネームドモンスターではございませんので、名は持ち合わせておりません。」

「そうか。では、お前に名と私の血を授けよう。」

それを聞いた長は、

「なっ、名だけではなく、そのお血まで頂けるのですかっ！！」

「あっ?ああ。そのつもりだが、そこまで驚くべきことなのか?」

「リュウガ様、本来は上位の魔族から名を与えられるだけでも魔物にとってはとてつもなく幸運なことなのでございます。」

「やっぱり、名前をつけられると力が強大になるとかそんな感じ?」

「左様でございます。そして名以上に血はその相手の力を大きく受け継ぐことができる恐れ多いものなのでございます。」

「ほーん。あの人が言っていたからけっこう普通なのかと思えば、ラノベとかで読んだ通りすごいことなんだな。」

リュウガはそう言いながら自分の指を軽く噛み血を流した。

「ワーウルフの長よ、お前に名、『ロルフ』を与える。そして我が血をお前にやろう。」

そう言いながらリュウガは長に自分の指から流れる血を一滴垂らした。

それを受けた長、改　ロルフは今までのワーウルフの姿から大きく変化を遂げた。

額には大きな角が生え、牙は鋭く、毛並みは漆黒。大きさは数倍となった。

リュウガはロルフの姿が変わったのを見て、ステータスを確認した。

「おぉ。種族がワーウルフからフェンリルになってるよ。」

「さすがはリュウガ様です。まさか、ワーウルフを最上級魔獣のフェンリルにしてしまうとは！！」

「これが名付けと血の力ってことなのかね。」

「魔王リュウガ様。お力を与えて下さりありがとうございます。これよりは魔王様の忠実な下僕として、永久の忠誠をお近い申します。」

「ロルフ、これからよろしく頼むよ。お前の率いてるワーウルフもどうやらブラックウルフへと進化を遂げたようだな。見込みのある者には名付けを行うことも考えるからよろしくな。」

「はっ。かしこまりました。」

こうしてリュウガはフェンリルのロルフとブラックウルフの群れを支配下に加えることに成功したのである。

「そういえば、リーゼ。お前のように既にネームドの者には俺の力を付与することはできないのか?」

そうリュウガがリーゼに尋ねると

「いえ、可能です。しかし、名付けは一度しか行えるものではございませんので。ほかの方法になりますね。」

「ってことはロルフのように血を与えればいいってことか?」

「その方法もございますが。ほかにもリュウガ様の源となる者を力を与えたい配下に与えれば問題はないかと。」

「例えばどんなものならいいんだ?」

「そうですねぇ。血、汗、涙、などでしょうか?」

「ちなみに一番濃い力を与えるためには何を与えればいい?」

リュウガがそう聞くと聞くとリーゼは顔を赤くして

「そっ、それは・・・・。リュウガ様の・・・・お種を授けることかと。。」

「ん?あぁ、そうゆうことなのね。」

リーゼからの回答にリュウガも顔を赤くして返すのがいっぱいいっぱいであった。

「まっ、まぁ。よくわかったよ。ありがとうリーゼ。」

配下にしたブラックウルフ達に洞窟の周囲の警戒や散策を命じたリュウガが次に行ったのは、持ち帰ってきたワームでの実験であった。

「リュウガ様、このワームの亡骸で何をなさるのですか?」

「あぁ、せっかくの上等なワームだからね。こいつを作り替えて配下を作れないかと思ってね。」

そう言うとリュウガは先ほどロルフに与えた血よりも多くの血をワームの亡骸に垂らしてた。

「さぁ、名も無きワームよ。死の世界より舞い戻り、私の忠実なる下僕として蘇るがよい！！リサステイション！！」

そうリュウガが唱えるとワームの亡骸を中心に魔法陣が展開されあたりは光に包まれた。

光が落ち着きそこに見えてきたのは先ほどのワームの亡骸は跡形もあく消え去り、緑の光沢の鎧をまとい二足で立ち、腕は六本の一匹の魔族であった。