俺、総理大臣なってみるわ

織田っち

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第一章

予想外の支援の声4

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「宮城1区、神威刹那氏、当確ですっ!!」

テレビからそう聞こえたかと思うと俺の周りにいた支援者達が一斉に歓声をあげた。

「やったぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。」

「刹那君、当選おめでとうっ。」

「あっ、ありがとうございます。」

俺はそれから何人とも握手を交わしてようやく自分が本当に当選したことを自覚した。

「ほら、刹那君、万歳三唱だよっ。」

「あっ、はいっ!!」

万歳三唱の音頭を取ったのは後援会長の小野田さん。

「神威刹那君の当選を祝して、ばんざーいっ!!」

それが終わると今度はテレビのアナウンサーが寄ってきた。

あっ、TBDの袴田ちゃんだ。

「神威さん、当選おめでとうございます。今回の勝因はなんだと思いますか?」

「ありがとうございます。そうですね、やはりたくさんの方からいただいた御支援あっての当選だと思います。私一人ではこの当選を勝ち取ることはできませんでしたよ。」

「晴れて国会議員になられましたがどのような政治を行いたいと思いますか?」

「やはり今の汚職まみれの汚れた政治を皆さんが信頼できる政治に変えたいと思います。もちろんそれは私一人では無理ですが、必ず仲間をみつけて実現してみせます。」

「ありがとうございました。」

そう言って中継が終わったのだろう、袴田ちゃんはマイクを口元から離して会話を続けた。

「これから各メディアで取り上げられると思いますが負けずに頑張ってください。」

「ありがとうございます。袴田さんにお会いできるなら喜んで取材を受けさせてもらいますね。」

俺が笑顔でそう言うと袴田ちゃんの顔が少し赤くなった。風邪でも引いたのかな?心配だ。

その後はいろんな支援者の人との交流でその日は潰れてしまった。

翌日、俺は小野田さんとこれからのことの打ち合わせのために事務所にいた。

「改めて、刹那君。いや、神威先生というべきかな。当選おめでとう。」

「小野田さんやめてくださいよ。そんな先生なんてっ。」

「いやいや、君は国会議員になったんだ。政治家たるもの先生と呼ばれるのには慣れないといけないよ。」

「やっぱりそうゆうものなのでしょうか。」

「そうだよ。大丈夫。そのうちに慣れてくるさ。」

そう言って小野田さんは笑った。

「刹那君。これからのことなんだがね。まず君は初当選して議員になって初めてしなければならないのはなんだと思う。」

「国会に出ることでしょうか。」

「いや、これから支援してくれた人達へもう一度ご挨拶だよ。これだけは何度当選しても粗末にしてはならない。肝に銘じておくといい。」

「はいっ。」

それから小野田さんと一緒に支援してくれた人達への挨拶周りを済ませた。
行く先々で大いに歓迎してもらえて嬉しい限りだったが、その期待に応えなければと言うプレッシャーも同時に芽生えた。

「刹那君、挨拶回りお疲れ様だったね。挨拶回りも終わったし、後は初登庁までに済ませなければならないことを明日からはやっていこう。」

「はい。よろしくお願いします。」

こうして国会議員になった翌日の日は当選の挨拶回りで終わった。

翌日、小野田さんが一人の女性を連れて家にやってきた。

「刹那君、紹介するよ。これから君の第一秘書を務める佐倉若菜君だ。」

「初めまして、これから神威先生の秘書を務めさせていただきます佐倉若菜と申します。どうぞよろしくお願いします。」

「えっ、秘書ですかっ?よっ、よろしくお願いします。」

「初当選の議員が一番苦労するのが秘書選びだ。そこで私のつてで用意したんだが、迷惑だったかな?」

「いっ、いえっ。とてもありがたいです。正直そこまで気が回ていなかったのでとても助かります。ただ、急だったので驚いてしまっただけで。」

「はっはっはっは。またお父さんにしてやられたようだね。昨日の夜にこのことはつたえてあったんだよ。」

あの親父・・・・・。またしても息子で遊ぶかっ。

「まぁ、安心してくれ。この子はまだ20歳と若いが優秀な人物なことに変わりはない。そこらへんの秘書を選ぶよりも間違いがないことは私が保証しよう。」

「小野田さんがそこまでおっしゃるのなら本当に優秀な方なんでしょうね。佐倉さん。これからよろしくお願いします。」

「はいっ。神威先生のサポート一生懸命させていただきます。」

佐倉さんはそう言って深々と頭を下げた。

「あの、その神威先生っていうのやめてもらえませんか?佐倉さんのほうが年上なわけですし。」

「いえ、歳が上であろうとあなたは国会議員。私はその秘書。そこはきっちりするべきだと思います。」

「んー、では、二人の時などは刹那と呼んでもらませんか?」

刹那がそう言うと若菜は少し考えてから

「では、その時は刹那さんとお呼びするということでよろしいでしょうか。」

「はいっ。それでお願いしますっ!!」

「んじゃ、後は若菜くんに任せて私は一度失礼するよ。後よろしくね。」

「はい。」

「小野田さん、何から何までありがとうございました。」

「なに、それだけ私も君には期待しているからね。この日本を良く変えてくださいね。神威先生。」

小野田さんはそう笑って立ち去って行った。


「では刹那さん、これからのことについてお話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」

「はい、よろしくお願いします。若菜さん。」

それから刹那は若菜から初登庁するまでにやっておくべきことを学び、若菜は刹那が東京で暮らす場所や、ほかの有名議員への挨拶の準備、日取りなどの調整を行うのであった。
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