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第一章~大きな波~
そして元服
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それから数年の後、吉宗の元服が行われた。
「吉宗、お前は、今日から山本弾十郎隆次山本弾十郎隆次と名乗るのだ。」
吉宗の父である隆之が新しい名を告げた。
「良き名をありがとうございます父上。」
「お前の武働き、期待しているぞ。」
「はっ、山本家の男子に恥じぬ功を立ててみせます。」
「隆次、元服おめでとう。」
山本家の主筋の嫡男として元服の儀に参加していた武丸の祝いの言葉を隆次にかけた。
「あ、ありがとうございます。まだその名前にはなれませぬな。」
隆次は頭を書きながら照れくさそうにそう言った。
「俺も早く元服して立派な武士になりたいよ。」
吉宗が元服して隆次となってもこの二人の絆は、変わらなかった。
隆次の元服から半年が過ぎ、隆次が今川と、織田の戦い、後に、桶狭間の戦いと呼ばれる戦で初陣することとなった。
「隆次はいるか。」
「父上ここに、おります。」
「おお、そこにいたか。 喜べ隆次おまえの初陣が決まったぞ。」
「本当にございますか。」
隆次の顔に笑みがうかんだ。
「そうだ、今までの稽古の成果を発揮いたせ。」
隆之は隆次の肩に手を置きながらそう言った。
「ありがとうございます。この隆次必ずや、敵の首を、獲ってみせます。」
興奮した様子の隆次を見た隆之は落ち着かせるように一言声をかけた。
「はやる気持ちもわかるが、初陣で浮かれて自分の首が取られないように用心するんだぞ。」
「はい、用心致します。」
清洲城に今川軍の尾張進軍の報が届くとすぐに城内で評定が行われた。
織田家の重臣達が籠城か打って出るかの二つの意見に別れ話は進まなかった。
信長はそれを静かに上段で聞いていた。
「殿、殿のご意見をお聞かせくだされ。」
勝家はこのままでは埒が明かないと考え信長に意見を求めた。
「我か。」
信長の意見を聞こうと皆、固唾を飲んで見守った。
「我は、寝る。皆も帰って休むが良い。」
信長はそう言うと評定の場を離れてしまった。
「信長様はこの一大事に何をお考えなのだ。」
勝家はそう言うと怒って屋敷に戻っていった。
ほかの重臣達も勝家の後を追うように一人、また一人と自分の屋敷へ帰るのだった。
話し合いの内容は足軽大将以上の者には伝えられた。
その中には倉内家も入っており、政影も耳にした。
評定の内容を聞いた政影は急ぎ隆之、隆次親子を呼び寄せた。
「政影様、このような時間にいかがしたので。」
「急に呼んですまんな。今、城での評定の様子が伝わってきてな。」
政影はそう言うと自分の元に届いた内容を山本親子に話した。
「それでは大殿は命を諦められたと言うことにございますか。」
籠城とも野戦とも決めない信長の話を聞いた隆次は思った疑問を政影にぶつけてみた。
「いや、隆次、それは違うとわしは思うのだ。」
「と、申しますと。」
「これは予想でしかないが、信長様は何か知らせを待っているのではないかとな。」
「知らせでございますか?」
「ああ、この戦を勝つための一つの情報だ。」
政影の含みを持った言い方に何かあると呼んだ隆之は
「それはどのような情報なのですか。」
と聞いてみた。すると政影はニヤリと笑みを浮かべながら一言
「それはな、隆次。今川義元の所在だ。」
「吉宗、お前は、今日から山本弾十郎隆次山本弾十郎隆次と名乗るのだ。」
吉宗の父である隆之が新しい名を告げた。
「良き名をありがとうございます父上。」
「お前の武働き、期待しているぞ。」
「はっ、山本家の男子に恥じぬ功を立ててみせます。」
「隆次、元服おめでとう。」
山本家の主筋の嫡男として元服の儀に参加していた武丸の祝いの言葉を隆次にかけた。
「あ、ありがとうございます。まだその名前にはなれませぬな。」
隆次は頭を書きながら照れくさそうにそう言った。
「俺も早く元服して立派な武士になりたいよ。」
吉宗が元服して隆次となってもこの二人の絆は、変わらなかった。
隆次の元服から半年が過ぎ、隆次が今川と、織田の戦い、後に、桶狭間の戦いと呼ばれる戦で初陣することとなった。
「隆次はいるか。」
「父上ここに、おります。」
「おお、そこにいたか。 喜べ隆次おまえの初陣が決まったぞ。」
「本当にございますか。」
隆次の顔に笑みがうかんだ。
「そうだ、今までの稽古の成果を発揮いたせ。」
隆之は隆次の肩に手を置きながらそう言った。
「ありがとうございます。この隆次必ずや、敵の首を、獲ってみせます。」
興奮した様子の隆次を見た隆之は落ち着かせるように一言声をかけた。
「はやる気持ちもわかるが、初陣で浮かれて自分の首が取られないように用心するんだぞ。」
「はい、用心致します。」
清洲城に今川軍の尾張進軍の報が届くとすぐに城内で評定が行われた。
織田家の重臣達が籠城か打って出るかの二つの意見に別れ話は進まなかった。
信長はそれを静かに上段で聞いていた。
「殿、殿のご意見をお聞かせくだされ。」
勝家はこのままでは埒が明かないと考え信長に意見を求めた。
「我か。」
信長の意見を聞こうと皆、固唾を飲んで見守った。
「我は、寝る。皆も帰って休むが良い。」
信長はそう言うと評定の場を離れてしまった。
「信長様はこの一大事に何をお考えなのだ。」
勝家はそう言うと怒って屋敷に戻っていった。
ほかの重臣達も勝家の後を追うように一人、また一人と自分の屋敷へ帰るのだった。
話し合いの内容は足軽大将以上の者には伝えられた。
その中には倉内家も入っており、政影も耳にした。
評定の内容を聞いた政影は急ぎ隆之、隆次親子を呼び寄せた。
「政影様、このような時間にいかがしたので。」
「急に呼んですまんな。今、城での評定の様子が伝わってきてな。」
政影はそう言うと自分の元に届いた内容を山本親子に話した。
「それでは大殿は命を諦められたと言うことにございますか。」
籠城とも野戦とも決めない信長の話を聞いた隆次は思った疑問を政影にぶつけてみた。
「いや、隆次、それは違うとわしは思うのだ。」
「と、申しますと。」
「これは予想でしかないが、信長様は何か知らせを待っているのではないかとな。」
「知らせでございますか?」
「ああ、この戦を勝つための一つの情報だ。」
政影の含みを持った言い方に何かあると呼んだ隆之は
「それはどのような情報なのですか。」
と聞いてみた。すると政影はニヤリと笑みを浮かべながら一言
「それはな、隆次。今川義元の所在だ。」
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