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第一章~大きな波~
桶狭間の戦い2
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本陣以外にいた今川軍も総大将である今川義元が打ち取られたことを知ると各自撤退をして行った。
その中で今川の属国であった松平氏の当主である松平元康は松平氏の本拠地である岡崎城に戻ることにした。
元康が駿河で生活している間は今川の目付が岡崎城を治めていたがこの混乱の中であればもしかしてと考えたのである。
元康の予想は的中しており、今川の目付は駿河まで撤退し、岡崎城は空の状態となっていた。
「忠次、空城に入ってもなんの問題もないな?」
「はい。織田に取られないように守るだけにございますれば。」
「よし、皆、岡崎城へと入るぞ!!」
「「「おおおおおおおお!!」」」
こうして松平元康は空城となっていた本拠地岡崎城へと数年ぶりに帰城することに成功したのである。
清洲城に無事に凱旋した織田軍では恩賞会議が開かれ、各武将の恩賞が読み上げられた。
今回の功績で倉内家は1500石を拝領することになり、政影は隆之と隆次の功績を評価し、200石から500石へと加増した。
「隆之、隆次。こたびの働きも見事であった。信長様も高く評価しておったぞ。」
「ありがたきお言葉にございます。」
「隆次は初陣なにも関わらず首級を10もあげたそうだな。でかしたぞ。」
「ありがとうございます。父上に「稽古でのことを思い出せ」と言われいつもの力を出すことができました。」
「そうか。これからも期待しているぞ。」
「「はっ。」」
桶狭間の戦いから一月が経ち倉内家では嫡男の武丸の元服の儀が執り行われた。
出席者は父親である倉内政影、弟の倉内春千代、家臣の山本隆之、隆次親子、そして以前より親交のある織田家重臣である丹羽長秀である。
烏帽子親は丹羽長秀が務めることになっており、武丸に烏帽子を被せた。
それが終わると政影が名を授けた。
「武丸、お主は本日より倉内小十郎政輝と名乗るのだ。」
「はっ。良き名を頂戴しありがたき幸せにございます。」
「政輝殿、父上のような立派な武将にあるのを私は楽しみにしていますよ。」
「丹羽様、ありがとうございます。父に負けぬよう、精進して参ります。」
「政輝様、おめでとうございます。これよりは我が息子隆次が側近としてお仕え致します。」
「よろしくお願いいたします。殿。」
「うむ。隆次、よろしく頼むぞ。」
「はっ。」
政輝の元服が終わり平和な日々が終わりに流れている頃、清洲城では、
「勝家、我はこの後美濃を取りに行くぞ。」
「美濃の斎藤家にございますな。確か今の当主は。」
「斎藤龍興だ。父の義龍と違い本物のうつけよ。」
「ならば容易に美濃は落とせましょう。」
「だが、そうも行かん。美濃には西美濃三人衆がおる。あやつらがいる限りは龍興が君主であろうとそう容易く美濃を落とすことはできん。」
「ならばいかがいたしますか。」
「調略しかなかろう。西美濃三人衆を織田に寝返らせる。」
「可能でしょうか。」
「あの者ならできるやも知れん。」
「あの者とは。」
「倉内政影。」
「あっ、あの倉内家の者にございますか!!」
「今でこそ領地は少ないが、以前は織田家の重臣。家老だった家だ。」
「それほどの者であればなぜ、今はあれほど少ない領地なのですか。」
「ふっ、その凄まじい能力が故よ。」
「はぁ。」
「我が父、織田信秀が倉内家、山本家の力を恐れてつまらぬ言いがかりをし領地を大幅に減らしたのよ。」
「のっ、信秀様が・・・。」
「我は天下を目指すつもりだ。そのためには優秀な家臣を眠らせておく暇などない。秀政!!すぐさま倉内家に使いを出し倉内政影に登城を命じよ。」
「はっ!!」
外に控えていた堀秀政がすぐに倉内家へと向かって歩を進めたのである。
その中で今川の属国であった松平氏の当主である松平元康は松平氏の本拠地である岡崎城に戻ることにした。
元康が駿河で生活している間は今川の目付が岡崎城を治めていたがこの混乱の中であればもしかしてと考えたのである。
元康の予想は的中しており、今川の目付は駿河まで撤退し、岡崎城は空の状態となっていた。
「忠次、空城に入ってもなんの問題もないな?」
「はい。織田に取られないように守るだけにございますれば。」
「よし、皆、岡崎城へと入るぞ!!」
「「「おおおおおおおお!!」」」
こうして松平元康は空城となっていた本拠地岡崎城へと数年ぶりに帰城することに成功したのである。
清洲城に無事に凱旋した織田軍では恩賞会議が開かれ、各武将の恩賞が読み上げられた。
今回の功績で倉内家は1500石を拝領することになり、政影は隆之と隆次の功績を評価し、200石から500石へと加増した。
「隆之、隆次。こたびの働きも見事であった。信長様も高く評価しておったぞ。」
「ありがたきお言葉にございます。」
「隆次は初陣なにも関わらず首級を10もあげたそうだな。でかしたぞ。」
「ありがとうございます。父上に「稽古でのことを思い出せ」と言われいつもの力を出すことができました。」
「そうか。これからも期待しているぞ。」
「「はっ。」」
桶狭間の戦いから一月が経ち倉内家では嫡男の武丸の元服の儀が執り行われた。
出席者は父親である倉内政影、弟の倉内春千代、家臣の山本隆之、隆次親子、そして以前より親交のある織田家重臣である丹羽長秀である。
烏帽子親は丹羽長秀が務めることになっており、武丸に烏帽子を被せた。
それが終わると政影が名を授けた。
「武丸、お主は本日より倉内小十郎政輝と名乗るのだ。」
「はっ。良き名を頂戴しありがたき幸せにございます。」
「政輝殿、父上のような立派な武将にあるのを私は楽しみにしていますよ。」
「丹羽様、ありがとうございます。父に負けぬよう、精進して参ります。」
「政輝様、おめでとうございます。これよりは我が息子隆次が側近としてお仕え致します。」
「よろしくお願いいたします。殿。」
「うむ。隆次、よろしく頼むぞ。」
「はっ。」
政輝の元服が終わり平和な日々が終わりに流れている頃、清洲城では、
「勝家、我はこの後美濃を取りに行くぞ。」
「美濃の斎藤家にございますな。確か今の当主は。」
「斎藤龍興だ。父の義龍と違い本物のうつけよ。」
「ならば容易に美濃は落とせましょう。」
「だが、そうも行かん。美濃には西美濃三人衆がおる。あやつらがいる限りは龍興が君主であろうとそう容易く美濃を落とすことはできん。」
「ならばいかがいたしますか。」
「調略しかなかろう。西美濃三人衆を織田に寝返らせる。」
「可能でしょうか。」
「あの者ならできるやも知れん。」
「あの者とは。」
「倉内政影。」
「あっ、あの倉内家の者にございますか!!」
「今でこそ領地は少ないが、以前は織田家の重臣。家老だった家だ。」
「それほどの者であればなぜ、今はあれほど少ない領地なのですか。」
「ふっ、その凄まじい能力が故よ。」
「はぁ。」
「我が父、織田信秀が倉内家、山本家の力を恐れてつまらぬ言いがかりをし領地を大幅に減らしたのよ。」
「のっ、信秀様が・・・。」
「我は天下を目指すつもりだ。そのためには優秀な家臣を眠らせておく暇などない。秀政!!すぐさま倉内家に使いを出し倉内政影に登城を命じよ。」
「はっ!!」
外に控えていた堀秀政がすぐに倉内家へと向かって歩を進めたのである。
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