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第5章 颯斗
25話 ココドコゥ...
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前回のあらすじ~
何故か岸辺に飛ばされた。以上
てか ココドコゥ......マジでドコゥ...
急に飛ばされたから皆状況が理解不能状態なんスけど...
ただ一人を除いて...
「おお~!!コレが海か!!噂には聞いていたが絶景だっ!」
颯斗一人を除いて...だ。
初めて見る海を見て興奮してる様子だ。
元島国育ちの私には見慣れた光景だが、日本の海のように砂鉄が入り混じっていないこの海の光景は、確かに絶景だ。透き通るような淡い色の海に太陽の光が当たっていてとても良い。てか反射して眩しい。目が殺られる。
何はともあれ、咄嗟の出来事に戸惑っていたレッド達だが自然と冷静になり始め、皆集まって状況整理をすることになった。
「一旦状況を整理して欲しいんだけど...私が寝てる間に何があったの?」
「じゃあ、そっから説明するか。まず、ルミが飛翔で颯斗の住処まで飛んで行った。その後に颯斗が持っていたホラガイをザベルちゃんが調べていたところ、突然ここに転移させられたってとこだ」
「ザベルちゃんが持っているそれがホラガイ?」
「そう」
淡々と説明するレッド
皆で輪を囲むようにして、砂浜に座りながら話す
「で、肝心な脱出だが...全く分からん!」
そう、辺り一面は砂浜と海。
それから丘があるくらいだ。
「まぁ、気長にやってくしかないでしょ~」
ただ一人、颯斗は呑気にそう話す。
「お前なぁ...もうちょっと危機感持てよ」
「今更焦っても意味無いでしょ。それよりさ、丘の向こうに建物あったんだけど」
「それ最初に話すことだろッ!?」
「君から話し始めたんだから仕方ないだろ?」
「ぐぬぬ......」
「それで、その建物に人の気配とかあったの?」
「...人はいたけど、気配はしなかった」
「......はい?」
どゆこと?
同じく、ルミさんと同じような疑問に至る。
颯斗の言っていることが矛盾してることに戸惑っているのだ。
「人がいるなら気配だって当然するでしょ!」
「そんなこと言われても知らないよ~。しなかったもんはしなかったんだから」
「...とりあえず、そこに向かうか。もしかしたらココから脱出する手がかりがあるかもしれない」
「はい その意見にさんせ~。この際、直接行って確かめてくればいいじゃん...オバさん」
「......あぁん???...今なんて?」
あ、ヤバイ
「あ~ハイハイ!ルミ、安い挑発に乗るな。あと颯斗、テメーはルミに謝れッ!」
「ん?...あぁ、そういう約束だったもんな」
「...約束?」
颯斗はルミさんの方に向き、改まった体勢で土下座した。
「この度は私の私利私欲の為に貴方様を傷つけたこと、誠に申し訳ありませんでした」
(......え、誰?アンタ...)
他の皆も唖然とした顔で固まっていた。
いつものようにヘラヘラした様子は無く、畏まって土下座している。有り得ないと自分に言い聞かせるぐらいの驚愕だ。
「.........反省してるなら...許してあげても──」
「マジ!?いやぁ~たまには真面目に謝ってみるのも悪くないなぁ~」
「前言撤回ッ!!!やっぱアンタ最低よ!」
(良かった、いつもの颯斗だ)
心の中では安心感と安定感が募る一方、ルミさん的には曖昧な感じだろうなと思う私。
「もうッ!ここにずっと居ても変わんないんだからさっさと行くよ!」
立ち上がったルミさんは眉間にシワを寄せ、頬を膨らませながらズカズカと丘の向こうにある建物に向かった。
「......俺はお前がそんなこと言える奴だとは思ってなかった...」
「そう?俺嘘つくの得意だからなぁ~ははは」
「つまり、本心では無いと...」
「本気で謝れとは言ってないだろ?」
得意げな顔でレッドに話す颯斗
別に私が創った(?)のか不明だが、なんだか申し訳ない気持ちが段々と膨らんでいくのは気の所為では無いだろう......
そんな余談をしながら丘の向こうにある建物に向かう。
「───アイタッ!」
先頭にいたルミさんが声をあげている。
何かにあったようだ。
「どうした!?」
「ん~...何かにぶつかったのよ...何も無いのに」
それってまさか......
「壁...?」
「え?」
ルミさんがぶつかったと思われる所まで近づき、恐る恐る手を伸ばすと...そこには見えない壁があった。
「ホントだ...これ壁だ」
「だったら、この先に見える建物とかは?一体どうなってるの?」
「......恐らく、壁に描かれた背景」
後ろにいた颯斗がそう言い壁に向かって殴った。
...え?殴った!?痛くないの!?
「ほら見ろ」
颯斗が殴ったところが波紋のように揺らぐ。
揺らいでいるところを見ていると、建物自体も揺らいでいることに気づく。
「...何コレ!?」
「だから言ったろ?壁に描かれた背景だって」
「あの...」
小声で颯斗に話しかけるイシル
「何?」
「手...痛くないんですか?あんなに力入れて...」
先程颯斗が殴った様子は、勢いをつけたものだ。相当自身に反動がきてるはずなんだが...
「全然、そもそも痛みさえ感じなかった」
「はぁ!?そんな訳...」
「だったら試しにやってみなよ?自分の頬つねるなりさ」
言われるなり、即座にルミさんは自分の頬をつねるが、悲鳴をあげるわけもなく、ただ呆然としていた。
「嘘でしょ...有り得ない」
「こんなことって有り得るのか...?」
チオールもルミさんと同様に頬をつねってみるが、何も痛みを感じないらしい。
たが、大体の状況がわかってきた...。
「ザベル」
隣に突っ立っている颯斗が私に問いかける。
「......何?」
「いやぁ?もう、ある程度状況が理解出来てるんじゃねぇかなぁと思ってな」
「...アンタもだろ」
「フフフフッ...お前、ホントに人間か?」
前髪から覗く目は、獲物を見るような目で私を見ている。ワタシ オイシクナイヨ
「ちょっとしたこと、教えてやるよ」
颯斗は身長の低い私に合わせて、しゃがんで耳に口を近づける。
「子供がこの状況で動揺しないのはおかしいだろ?」
いや、ちゃんとビックリとかしてるよ
驚き桃の木山椒の木ってね
ってちょっと待て
それじゃ、私...ここの場だと浮いてるってことになるのか!?いやだがしかし、この無表情は生まれつきだし...!アレ?よく考えてみると、なんでそんな親切に教えてくれたんだ???普通ならもっとなんか交換条件とか取引とかで応じてから教えるようなことするはずなのに...
「.........」
「ん?俺の顔そんなカッコイイ?」
「......何企んでる」
「うわぁ、それは失礼しちゃうよ。俺だってこれぐらい親切に教えるさ。それに...」
「...何」
「......なんでだろうなぁ、なんかお前は、懐かしい感じがするんだよ」
その言葉に少し、胸の奥がピリッとした。
私が懐かしい...?
言っていることがよく分からない。
私とお前は生きてる時間が違うだろ。
先に生まれたのだってアンタの方だ。
なのに懐かしいさを感じる?
おかしいにも程がある。
「......もしかして、怒ってる?」
「別に」
「ウッソダァ~...顔に書いてあるぞ」
「うるさい」
「なんか前にも言われた気がするぞソレ」
「知るか」
「なぁ───」
「いい加減にして」
少しばかり声を大きくして怒鳴る。
今私は何に対して怒っているんだ...?
それすら分からない...なのに
こんなにも胸が痛いのは...何故なんだ?
「ん~じゃあ、アレしてくれたらもう話しかけないよ」
「...?」
「あっ。やっとコッチ向いた」
振り向いた先に颯斗の顔面
なんか...この展開デジャブを感じる。
「手を握ってくれないか?...何もしないから」
「......分かった」
颯斗の手を握った瞬間 肌の感触がザラザラしていることに気がつく。よく鍛冶場の人が仕事でタコができたとか、剣の練習で手がキズだらけとか、そういった人の手をしている。
「はは...まだ、ちっちゃいなぁ」
颯斗...お前後でボッコボコの刑にしてやる。
「...もういい?」
「あぁいいよ。ありがと」
こんなことになんの意味があるんだとグダグダ思いながらいると───
「おーいっ!颯斗ー!ザベルちゃーん!」
先に浜辺に戻っていたレッド達が大声で叫びながら呼んでいる。何かあったのだろうか?
「ヒトがいるッ!」
ヒトがいる...まさか────!
何故か岸辺に飛ばされた。以上
てか ココドコゥ......マジでドコゥ...
急に飛ばされたから皆状況が理解不能状態なんスけど...
ただ一人を除いて...
「おお~!!コレが海か!!噂には聞いていたが絶景だっ!」
颯斗一人を除いて...だ。
初めて見る海を見て興奮してる様子だ。
元島国育ちの私には見慣れた光景だが、日本の海のように砂鉄が入り混じっていないこの海の光景は、確かに絶景だ。透き通るような淡い色の海に太陽の光が当たっていてとても良い。てか反射して眩しい。目が殺られる。
何はともあれ、咄嗟の出来事に戸惑っていたレッド達だが自然と冷静になり始め、皆集まって状況整理をすることになった。
「一旦状況を整理して欲しいんだけど...私が寝てる間に何があったの?」
「じゃあ、そっから説明するか。まず、ルミが飛翔で颯斗の住処まで飛んで行った。その後に颯斗が持っていたホラガイをザベルちゃんが調べていたところ、突然ここに転移させられたってとこだ」
「ザベルちゃんが持っているそれがホラガイ?」
「そう」
淡々と説明するレッド
皆で輪を囲むようにして、砂浜に座りながら話す
「で、肝心な脱出だが...全く分からん!」
そう、辺り一面は砂浜と海。
それから丘があるくらいだ。
「まぁ、気長にやってくしかないでしょ~」
ただ一人、颯斗は呑気にそう話す。
「お前なぁ...もうちょっと危機感持てよ」
「今更焦っても意味無いでしょ。それよりさ、丘の向こうに建物あったんだけど」
「それ最初に話すことだろッ!?」
「君から話し始めたんだから仕方ないだろ?」
「ぐぬぬ......」
「それで、その建物に人の気配とかあったの?」
「...人はいたけど、気配はしなかった」
「......はい?」
どゆこと?
同じく、ルミさんと同じような疑問に至る。
颯斗の言っていることが矛盾してることに戸惑っているのだ。
「人がいるなら気配だって当然するでしょ!」
「そんなこと言われても知らないよ~。しなかったもんはしなかったんだから」
「...とりあえず、そこに向かうか。もしかしたらココから脱出する手がかりがあるかもしれない」
「はい その意見にさんせ~。この際、直接行って確かめてくればいいじゃん...オバさん」
「......あぁん???...今なんて?」
あ、ヤバイ
「あ~ハイハイ!ルミ、安い挑発に乗るな。あと颯斗、テメーはルミに謝れッ!」
「ん?...あぁ、そういう約束だったもんな」
「...約束?」
颯斗はルミさんの方に向き、改まった体勢で土下座した。
「この度は私の私利私欲の為に貴方様を傷つけたこと、誠に申し訳ありませんでした」
(......え、誰?アンタ...)
他の皆も唖然とした顔で固まっていた。
いつものようにヘラヘラした様子は無く、畏まって土下座している。有り得ないと自分に言い聞かせるぐらいの驚愕だ。
「.........反省してるなら...許してあげても──」
「マジ!?いやぁ~たまには真面目に謝ってみるのも悪くないなぁ~」
「前言撤回ッ!!!やっぱアンタ最低よ!」
(良かった、いつもの颯斗だ)
心の中では安心感と安定感が募る一方、ルミさん的には曖昧な感じだろうなと思う私。
「もうッ!ここにずっと居ても変わんないんだからさっさと行くよ!」
立ち上がったルミさんは眉間にシワを寄せ、頬を膨らませながらズカズカと丘の向こうにある建物に向かった。
「......俺はお前がそんなこと言える奴だとは思ってなかった...」
「そう?俺嘘つくの得意だからなぁ~ははは」
「つまり、本心では無いと...」
「本気で謝れとは言ってないだろ?」
得意げな顔でレッドに話す颯斗
別に私が創った(?)のか不明だが、なんだか申し訳ない気持ちが段々と膨らんでいくのは気の所為では無いだろう......
そんな余談をしながら丘の向こうにある建物に向かう。
「───アイタッ!」
先頭にいたルミさんが声をあげている。
何かにあったようだ。
「どうした!?」
「ん~...何かにぶつかったのよ...何も無いのに」
それってまさか......
「壁...?」
「え?」
ルミさんがぶつかったと思われる所まで近づき、恐る恐る手を伸ばすと...そこには見えない壁があった。
「ホントだ...これ壁だ」
「だったら、この先に見える建物とかは?一体どうなってるの?」
「......恐らく、壁に描かれた背景」
後ろにいた颯斗がそう言い壁に向かって殴った。
...え?殴った!?痛くないの!?
「ほら見ろ」
颯斗が殴ったところが波紋のように揺らぐ。
揺らいでいるところを見ていると、建物自体も揺らいでいることに気づく。
「...何コレ!?」
「だから言ったろ?壁に描かれた背景だって」
「あの...」
小声で颯斗に話しかけるイシル
「何?」
「手...痛くないんですか?あんなに力入れて...」
先程颯斗が殴った様子は、勢いをつけたものだ。相当自身に反動がきてるはずなんだが...
「全然、そもそも痛みさえ感じなかった」
「はぁ!?そんな訳...」
「だったら試しにやってみなよ?自分の頬つねるなりさ」
言われるなり、即座にルミさんは自分の頬をつねるが、悲鳴をあげるわけもなく、ただ呆然としていた。
「嘘でしょ...有り得ない」
「こんなことって有り得るのか...?」
チオールもルミさんと同様に頬をつねってみるが、何も痛みを感じないらしい。
たが、大体の状況がわかってきた...。
「ザベル」
隣に突っ立っている颯斗が私に問いかける。
「......何?」
「いやぁ?もう、ある程度状況が理解出来てるんじゃねぇかなぁと思ってな」
「...アンタもだろ」
「フフフフッ...お前、ホントに人間か?」
前髪から覗く目は、獲物を見るような目で私を見ている。ワタシ オイシクナイヨ
「ちょっとしたこと、教えてやるよ」
颯斗は身長の低い私に合わせて、しゃがんで耳に口を近づける。
「子供がこの状況で動揺しないのはおかしいだろ?」
いや、ちゃんとビックリとかしてるよ
驚き桃の木山椒の木ってね
ってちょっと待て
それじゃ、私...ここの場だと浮いてるってことになるのか!?いやだがしかし、この無表情は生まれつきだし...!アレ?よく考えてみると、なんでそんな親切に教えてくれたんだ???普通ならもっとなんか交換条件とか取引とかで応じてから教えるようなことするはずなのに...
「.........」
「ん?俺の顔そんなカッコイイ?」
「......何企んでる」
「うわぁ、それは失礼しちゃうよ。俺だってこれぐらい親切に教えるさ。それに...」
「...何」
「......なんでだろうなぁ、なんかお前は、懐かしい感じがするんだよ」
その言葉に少し、胸の奥がピリッとした。
私が懐かしい...?
言っていることがよく分からない。
私とお前は生きてる時間が違うだろ。
先に生まれたのだってアンタの方だ。
なのに懐かしいさを感じる?
おかしいにも程がある。
「......もしかして、怒ってる?」
「別に」
「ウッソダァ~...顔に書いてあるぞ」
「うるさい」
「なんか前にも言われた気がするぞソレ」
「知るか」
「なぁ───」
「いい加減にして」
少しばかり声を大きくして怒鳴る。
今私は何に対して怒っているんだ...?
それすら分からない...なのに
こんなにも胸が痛いのは...何故なんだ?
「ん~じゃあ、アレしてくれたらもう話しかけないよ」
「...?」
「あっ。やっとコッチ向いた」
振り向いた先に颯斗の顔面
なんか...この展開デジャブを感じる。
「手を握ってくれないか?...何もしないから」
「......分かった」
颯斗の手を握った瞬間 肌の感触がザラザラしていることに気がつく。よく鍛冶場の人が仕事でタコができたとか、剣の練習で手がキズだらけとか、そういった人の手をしている。
「はは...まだ、ちっちゃいなぁ」
颯斗...お前後でボッコボコの刑にしてやる。
「...もういい?」
「あぁいいよ。ありがと」
こんなことになんの意味があるんだとグダグダ思いながらいると───
「おーいっ!颯斗ー!ザベルちゃーん!」
先に浜辺に戻っていたレッド達が大声で叫びながら呼んでいる。何かあったのだろうか?
「ヒトがいるッ!」
ヒトがいる...まさか────!
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