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復活の聖剣編
戦士達、帰還する
しおりを挟む20-①
「武光様、起きて下さい!!」
「唐観武光、起きなさい!!」
「うーん……あと5分……」
「……せいっ!!」
「ハッ!? 同じ手は食わ……ゔォエエエエエー!?」
武光は咄嗟に鳩尾へのエルボードロップを受け止めたが、喉への地獄突き(=指先を揃えて相手の喉元を突き上げる技。空手でいうところの貫手。危険なので良い子も悪い子もマネしないでね!!)を食らい、目を白黒させて悶絶した。
「ゴホッ……ゴホッ……な、何するんですかジャイナさん!?」
「起きない貴方が悪い!!」
「もっと普通に起こしてくれたらええやないですか……って言うか、最初のエルボー受け止めた時点で起きてるの分かってましたよね!? 何で地獄突きしたんすか!?」
俺……何かこの人に恨まれるような事したんやろか?
考えてみても全く心当りの無い武光は困惑した。
「ハッ!? って言うか、あのバケモン共は!?」
武光の問いに、ナジミが答えた。
「安心して下さい。オーク達は逃げて行きました」
「そ、そうか……」
「あの後大変だったのよ? 倒れた貴方をみんなで運んで。お医者さんが言うには、極度の緊張感から解放された安堵感で気を失ったんじゃないかって……全く、新兵じゃあるまいし。『19の頃より各地を転戦 、刀を振るう事六十数戦、一度たりとも傷を負った事が無い!!』などと国王に言っていたのはどこの誰ですか!!」
「め、面目無い……って、あれ? 何でジャイナさんがそれ知ってるんですか?」
「えっ!? それはその……えっと…………せいっ!!」
「ゔォエエエエエーーー!?」
本日二度目の地獄突きが炸裂した。
「貴方は丸一日気絶してたのよ? さっさと着替えて風の神殿の奪還に向かうのです!!」
奪還に向かうのですと言われても。
地獄突き二連発を食らって、床に這い蹲り、足をバタバタさせながら苦悶している武光が呼吸を整えるのには今しばらくの時間を要した。
「ゴホッ……ゴホッ……わ、分かりました。着替えますから出てってくれません?」
「嫌です!!」
「はい!?」
「昨日みたいに逃げ出されては困りますから!!」
「もー、そんなこと言ってジャイナさんのえっち……って、わーっ!! 地獄突きしようとすなーっ!?」
その後、着替えを終えた武光を、ジャイナは無理やり外に連れ出した。ナジミも慌てて後に続く。
「さぁ、行きますよ!!」
「ぐ……ぐわーーーーーっ!! せ、聖剣の呪いがーーー!! ほげげげげぇぇぇぇぇーーーーーっ!?」
武光は激しく地面をのたうち回った、もちろん仮病である。
「唐観武光!? 大丈夫!? ど、どうしましょうナジミさん、めちゃくちゃ白目剥いてます!!」
「おおお落ち着いて下さい。ここは……我が家に代々伝わる治療法を試してみましょう!!」
「何です、それは!?」
「アスタトの巫女が持つ、《癒しの力》を一点に集中し、相手の身体の悪い部分に直接打ち込むのです!! 古の勇者の呪いに太刀打ち出来るか分かりませんが、とにかくやってみます」
ナジミは武光の近くに屈み込むと目を閉じ、精神を集中した。
「ここね……病魔退散……はあああああああああっ!!」
「ゔォエエエエエーーー!?」
……本日三度目の地獄突きが炸裂した。
「ナジミさん!? さっきよりもっとのたうち回ってますよ!?」
「きっと、武光様の内側で、呪いの力と癒しの力がぶつかり合っているんですよ!!」
ちゃうわボケナスと、武光は言おうとしたが、息が苦しくて声にならなかった。
“ザッザッザッ……”
くらくらとする意識のなかで、武光は足音を聞いた。
一人や二人ではない。何十人といる。まさか、オーク達が戻ってきたのか!?
武光は思わず身構えたが、現れたのは……山に向かった傭兵達だった。
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