109 / 180
鬼退治編
赤鬼、襲来する
しおりを挟む109-①
四日間もの間、昏倒しっぱなしだったせいで、重くて仕方ない身体を必死で動かし、武光は、鍛治場の前までやって来た。
鍛治場の前ではジャトレーとミトが会話していたが、武光に気付いたミトが急いで武光に駆け寄った。
「武光!! 意識が戻ったのね!?」
「おう、もう大丈夫!! 元気100倍ア○パンマンや!! ミト、それにカヤも……心配かけたな」
〔本当ですよー、武光さんがなかなか目を覚ましてくれないせいで、姫様は来る日も来る日も涙で枕を濡らす日々だったんですからね?〕
「ちょっ……カヤ!! て、適当な事言わないでよ!! …………ほんのちょっとしか心配してないし!!」
〔えー? 今朝も枕ガビガビになってたじゃないですか〕
「ガビガビじゃないわよ!! 武光……真に受けたりしたら処刑よ、処刑!!」
「お、おう……いや、そんな事より!! ジャトレーさん、イットーの修復がもうすぐ終わるって……!!」
武光の問いに、ジャトレーは頷いた。
「……うむ、刀身は無事完成した。形状もお主の依頼通りに造っておる……自信を持って言える……鋭さ、硬さ、強靭さ、美しさ……いずれにおいても、この一振りは……このジャトレー=リーカントの刀匠人生における最高傑作だと!!」
「おお……ありがとうございます!!」
「今、鞘師や柄師、それに鍔師達が最後の組み立てと最高の仕上げをしてくれておる。それと……お主に伝えておかねばならぬ事がある」
そう言って、ジャトレーは鍛治場の奥に入って行くと、魔穿鉄剣を手に戻ってきた。だが、その手に握られた魔穿鉄剣は無惨にも刀身が中程から真っ二つに折れてしまっていた。
「ま、魔っつん!? そんな……何で……」
呆然とする武光にミトが聞いた。
「武光……貴方、あの時の戦いで意識を失う直前の事、覚えてる?」
「おぼろげやけど、ザンギャクがこっちに向かって突進してきて……でも、覚えてるのはそこまでやわ」
「……あの時、あのオーガは額の角で仰向けに倒れた貴方を刺し貫こうとしたわ。でも……貴方は倒れたままそれを受け止めた」
「俺が……?」
「オーガは何度も何度も額の角で貴方を刺し貫こうとしたけれど、その度に貴方は倒れたままで、魔穿鉄剣で攻撃を弾き返し続けて……そして最後にはあのオーガの角をへし折ったわ。この剣はその時に……」
武光は、イットー・リョーダンが折れた時の事を思い出していた。
あの時も……イットーが俺を守ってくれた。そうか、魔っつんが俺を……
「武光殿……そのオーガの角もイットー・リョーダンの修復の材料に使わせてもらったんじゃが……あの黄金の角は、とんでもない強度じゃった。仮に魔穿鉄剣が黒王鉄より更に強靭な皇帝鋼で造られていたとしても、あの角を切り落とすのはそう簡単にはゆかぬだろう」
「でも……」
「ああ、それでも……魔穿鉄剣はあの角をへし折った。使い手を守らんとする意志が、打ち砕けるはずのない強度差を打ち砕いたのだ。武光殿……お主の言った通り、この剣は主を狂わせ、不幸にする魔剣などではなかったよ……この剣は、刀匠として誇るべき一振りじゃ」
「……はい」
武光はジャトレーの言葉に頷くと、静かに目を閉じ、魔穿鉄剣に手を合わせた。
「ありがとうな……魔っつん」
しばらくの間、魔穿鉄剣に手を合わせていた武光だったが、それは突如として聞こえてきた叫びによって中断された。
ジャトレーの弟子の一人が悲鳴をあげながら鍛治場に転がり込んできたのだ。
「どうした!?」
「しししし師匠!! お、オーガです……オーガがここに現れました!!」
「何じゃと!?」
「ひっ!? あ……あいつです!!」
「どこだ……出てこい……モモタロォォォォォーーーーー!!」
オーガが 現れた!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜
双葉 鳴
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。
勇者としての役割、与えられた力。
クラスメイトに協力的なお姫様。
しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。
突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。
そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。
なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ!
──王城ごと。
王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された!
そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。
何故元の世界に帰ってきてしまったのか?
そして何故か使えない魔法。
どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。
それを他所に内心あわてている生徒が一人。
それこそが磯貝章だった。
「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」
目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。
幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。
もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。
そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。
当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。
日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。
「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」
──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。
序章まで一挙公開。
翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。
序章 異世界転移【9/2〜】
一章 異世界クラセリア【9/3〜】
二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】
三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】
四章 新生活は異世界で【9/10〜】
五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】
六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】
七章 探索! 並行世界【9/19〜】
95部で第一部完とさせて貰ってます。
※9/24日まで毎日投稿されます。
※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。
おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。
勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。
ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる