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殴り込み編
斬られ役、迷い込む
しおりを挟む131-①
そもそも、武光達がどうして魔王軍の本拠地に護送されているのか。
……話はおよそ一ヶ月前に遡る。
マイク・ターミスタを出発した武光一行は、異界渡りの書を完成させ、異界渡りの秘法を行なうべく、水の神シュラップスの祀られる地……そして、魔王軍により占拠され今や魔族の総本山と化したジョン・ラ・ダントス目指して、南下を続け、その途中で足を踏み入れた森で迷いに迷っていた。
「くっそ……何で出られへんねん!?」
「武光君……どうやらまた同じ場所に出てしまったようだ」
「ゲェーーーッ!? 嘘やろ……何でやねん!!」
リョエンの指差した先には、武光が僅か数分前に魔穿鉄剣で目印を付けた木があった。
「はぁ……はぁ……ど、どうしましょう武光様……あっ!?」
「ナジミさん!?」
突然よろめいて倒れそうになったナジミをミトが慌てて支える。
「大丈夫!? 顔が青白いわよ!?」
「す、すみません……ちょっと気分が……でも、大丈夫です。癒しの力で……!!」
ナジミは胸に手を当て、自分自身に癒しの力を使った。
風邪や食あたりを始め、頭痛、打撲、骨折、捻挫、筋肉痛から寝違えまで、旅の途中で誰かが体調を崩した時は、ナジミ本人も含め、すぐさま癒しの力で治療をしていた。
なので、武光は今回も、ナジミはすぐに元気を取り戻すと思っていたのだが……
「はぁっ……はあっ……はぁっ……はぁっ……あれ? おかしい……な……」
どういうわけか、癒しの力を使えば使うほどにナジミの呼吸は乱れ、顔から血の気が引き、額からはダラダラと脂汗が流れている。武光はナジミを制止した。
「ナジミ、止めろ!! アカンわソレ!!」
「ううっ……」
武光に言われて、ナジミが癒しの力を使うのを止めた途端、ナジミは力無く地面に倒れ込んでしまった。
「大丈夫か!? おい、しっかりしろ!!」
武光達は慌ててナジミに駆け寄り、声をかけたが、ナジミの意識は朦朧として、グッタリとしている。
「ナジミさん、一体どうしたというの……?」
「やはり、この森はおかしい……って、武光君!?」
〔ご主人様!?〕
「……そこだぁぁぁぁぁっ!!」
武光はいきなり魔穿鉄剣を鞘から抜き放つと、背後に立っていた木に投げつけた。 “ドカッ!!” と音を立てて魔穿鉄剣が木の幹に突き立つ!!
武光は魔穿鉄剣の突き立った木を勢い良く指差した!!
「……そこにおるのは分かってんぞっ!!」
「いや……全然違うけど!?」
「おい!? 姿を見せるんじゃない!!」
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