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三 母衣
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明けて、天正六年(一五七八年)三月の末。
羽柴秀吉が吉親の予想より僅かに早く、派兵したのである。別所方の総篭りの策を知り、三木城包囲の構えをとったのである。
別所方に、この情報をもたらしたのは、他ならぬ影丸であった。
吉親が、四月一日の早朝より出陣いたす、と八百名の男たちへ向けて宣じたのは二日前の昼間のことであった。
波も例に漏れず、それに従ずることとなった。
いよいよ決戦を明日に控えた夜のこと。
波は、なかなか寝付けずにいた。そのため眠くなるまでの間、星空でも眺めようと庭の前まできた。すると、広間から薄明かりが漏れていることに気がついた。男たちが景気づけに酒でも酌み交わしているのだろうか、と波は考えた。けれども、それにしては、やけに静かであった。
彼女は、なかの様子が気になり、そっと戸を開けてみた。
すると、見慣れた男が二人。なにやら、せっせと手を動かしていた。注視する。どうやら母衣を編んでいるらしい。
「治定殿、旦那様。遅くまで精が出ますなあ」
波の声に治定が反応を示した。
「おお、波様。母衣を作っておるのです。拙者に一計がございまして、吉親殿に手伝うていただいておりました」
かれらの背後には、二十有余の母衣がある。
「いったい、お幾つ作られるおつもりなのです?」
室内に入った波が訊ねると、治定が困り顔でこめかみを搔きながら言う。
「可能な限り多く。理想を申しますれば、四百ばかり……」
「それならば、皆に手伝うてもろうたらよろしいのに……」
すると、それは忍びないゆえ、と言う治定。
波は試しに、治定の一計というものについて訊ねてみる。それを聴けば聴くほどに総出でかかるべきであるように思えてならなかった。彼女は二人を説き伏せた上で、城内の者らをかき集めて作業にとりかかった。
ふと、あることが気にかかった波は、その手を動かしながら治定に訊ねてみる。
「治定様は、縁談はまだなのです?」
その問いに、青年は目を丸くして俯いた。
「これ! 波! 無粋なことを訊くでない!」
「なにが無粋ですか! これは、大切なことですよ! どのような奥方がよろしいかくらいは訊いておいて損はありませんでしょう?」
「どのような奥方がよいか、ということより、どのような家柄かという点で決めるものであろう? 縁談というものは」
と、返す吉親。
波は、それに異論を唱えた。家を選ぶにあたっての基準となる、と。加えて、よいと思う姫君でなくては長続きしない、と言った。
治定は、三兄弟揃って同じ意見である、として未来の妻候補の理想像について語った。
「波様のように、武芸に秀で、肝の据わったお方がよい。と、日頃より話しております」
その言葉に波は少々照れた様子で、あらまあ、と呟いた。
そして吉親は、それはまた賑やかになりそうですなあ、と返した。
「お二人を見るに、男が妻の尻に敷かれておるほうが、夫婦はうまくいくようですしなあ」
治定の言葉に、二人の笑い声が重なった。
その日のうちに無事、四百の母衣は完成した。
明くる日、波が鎧をまとい、太刀と脇差を腰に差して火縄銃を背負った頃であった。
嫡男である六つになったばかりの萬亀丸と、四つになる一の姫、千鶴が駆け寄ってきた。
いってらっしゃいませ、と、溌剌とした声音で言う子らに向けて波は柔和な声音で言う。
「見送り、苦労。母は行って参りますよ……」
二人の子らの背後には、筆頭侍女の姿がある。その名を美嚢という。歳は四十を少し過ぎた頃と聞かされている。波が最も信頼のおける人物。彼女とは時折、よき友のように語らい、母のように慕う存在である。そんな美嚢の腕には、昨年二月に産声をあげたばかりの吉親と波の末の子、源兵衛が抱かれている。
「美嚢よ、三人の子のこと、頼みます……」
と、波が言うと、侍女は首肯をひとつ返して三人の子らを連れて奥へとさがっていった。
ほどなくして波は、白葦毛の愛馬に跨り、吉親の隣に並んだ。
すると八百の男どもの、おおっ、という感嘆の声が響く。天女様じゃ、神功皇后様じゃ、
という声がそこらじゅうで飛び交っていた。
薄紅を基調とした鎧に身を包み、金細工が施された太刀を腰に差し、桜色の鉢巻を頭に巻いている彼女にはそれほどの華があった。
「残念なことに、この者は天女でもなければ、神功皇后などでもない……」
吉親の言葉に、しんと静まり返る一同。かれらはどことなく物欲しげな、期待に満ちた眼差しを馬上の男に向けている。
「この者は、日の本一の、ワシの妻じゃ!」
おどけた口調で言った吉親が、ゲラゲラと恥も外聞もなく、品性の欠片もない笑い声をあげた。
その言葉を待っていた、とばかりに笑い、のろけじゃ、のろけが始まったぞ、と囃し立てる者が続出し、城の前に大音声が響き渡る。
――なにはともあれ、士気は高い、か……。
と、波は内心で独りごちる。
やがて笑いが収まった頃合を見計らったようにして、それまでとは打って変わって、覇気に満ち溢れた声音で吉親が叫んだ。
「此度の戦は、義を以て不義を挫くためのものである! 目下の敵は、細川庄領主、冷泉為純。ならびに、その子、為勝。そして別府の城主である我が弟、別所重宗である! 不義をはたらく者どもに、目に物見せてくれようぞ!」
その言葉に呼応して、総勢八百名による鬨の声が盛大にあがった。
すると、吉親は治定に視線を送り、首肯をひとつくれる。
治定が応じるように頷き返す。そののち、齢十八の青年が宣じた。
「向かうは嬉野城! 皆の者、進めぃ!」
かれの下知により、八百の兵が進軍を開始した。
嬉野城(現在の細川城)は、細川庄(現在の三木市細川町)に築かれた城である。その城に三人が篭っているという情報を得たがため、八百の兵が先陣を切って進軍したのだ。
吉親らが率いる先鋒は歩兵と騎馬が半数ずつという編成であった。歩兵らは、その手に槍を持ち、肩には弓矢を担いでいる。対する騎兵どもは、太刀と小太刀、脇差をふた振りずつ腰に差して火縄銃を装備している。、更に、昨夜、作りあげた母衣を背負うのである。
かれらは山を降り、目標の城が目前に迫ったところでその足を止めた。そうして素早く騎兵たちが母衣を外す。歩兵たちは騎馬のうしろに相乗りになる。そうして互いの装備を入れ替えたのちに馬を操る者たちが太刀と小太刀、ならびに脇差を背後の者たちに手渡す。それから、最後の仕上げとばかりに、先ほどまで歩兵であった者たちが母衣を被った。
そうして四百の騎馬は、二手に分かれて進軍した。騎馬はそれぞれ、城の正面から大きく反れた。大きく迂回した先鋒隊は、城の側面へと躍り出た。
吉親は治定とともに進軍することとなった。そのため、二百の騎馬、総勢四百の兵を波が率いることとなった。
城の北側にある守口を任されているらしい敵兵たちは、大わらわであった。慌てるあまりに、矢を番える手許が狂い、鉄砲隊が放つ弾も、遠くこちらに届かない。
波はその隙を見て、全身全霊を以て叫んだ。
「皆の者! かかれ!」
彼女の声を合図に、大地を震わさんばかりの馬蹄を轟かせ、二百の騎馬が雪崩れ込んだ。夜来の雨がごとく降り注ぐ無数の矢弾を波が率いる部隊は馬を巧みに操りながら避け、避けきれないと判断した矢のことごとくを太刀で次々に薙ぎ払っていく。慣れた手つきで太刀を収めた兵たちは、弓を手に矢を番えて一斉掃射。
母衣を背にしているはずの騎馬武者たちが矢を放ってくるという驚天動地の光景に、敵兵どもの手が止まった。さながら敵陣は、阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。
波は、その様を構わず、二の矢、三の矢と次々に敵を射抜いていく。
「頃合よし! 火蓋を切れ!」
波の指令とともに、騎馬の背後の母衣が一斉に地に落ちる。
ほどなくして、騎馬の背後から、それと同数の声がする。
「発射準備よし!」
その声に合わせて、馬を操る者たちが次々にその身を屈める。その瞬間、ただの騎馬隊と見せかけていたものが、騎馬鉄砲に早変わりした。
「放て!」
という影丸の声を合図に、無数の発砲音が轟いた。その間も、姿勢を低くしたままで尚、前衛は弓を引く手を止めなかった。それにより、面白いように敵兵たちが倒れていく。
敵兵らの驚愕ぶりは、輪をかけて凄まじくなった。
波が上肢を起こしたとき、眼前には屍の山が築かれていた。彼女らは、その手を休めることなく、更に矢を放つ。攻め手の合間を縫って駆け込んできた者たちは、武器を手早く槍に持ち替えて屠っていった。
守口ひとつをほぼ壊滅させたとき、更なる敵の群れが押し寄せてきた。
その刹那。遠くから味方の叫び声がした。
「城門、敗れたり!」
波はその言葉に、白く鋭い犬歯を覗かせた。
八百の先鋒隊のすぐ後方より、おっつけ行軍していた本軍が、正面の守りが手薄になった頃合を見て、正面突破を試みたのであった。
これらすべてが、治定が案じた『一計』の正体に他ならないのであった。
作戦の成功を悟った波は、馬を乗り捨て、声高に宣言した。
「この戦い、我が方が圧倒的に優勢である! 攻撃の手を緩めるな! ゆくぞ!」
彼女の声に数百の兵たちが応じた。
言い終るが早いか、波は先陣を切って駆け出していた。
突如として駆け込んでくる鎧姿の女に、敵兵たちは大いに怯んだ。その一瞬を逃さず、波は小太刀を器用に操りながら、一人、二人とその頚動脈を裂いていった。
波が城内に辿り着いた頃には、その美しい顔が先決に染めあげられていた。
尚も威勢よく斬りかかってくる敵の太刀筋を躱して一撃で仕留める。その白刃は見事に男の首を貫いていた。
彼女は深々と息を吐いた。波は上腕と前腕で小太刀を挟み、白刃の血液を拭った。そののち、小太刀を鞘へと収める。
波は次なる敵へ向けて、太刀を抜き放った。太刀は、抜刀の勢いそのままに、その首を落とした。ごとん、と音を立てて頭蓋が転がる。
その刹那。首を喪った男の身体が、ぐらりと揺れる。と、同時に夥しい紅の液体を四方八方に撒き散らしながら、どさりと倒れた。
間欠泉のように吹き出したそれが、波の顔をまた濡らす。
かつては桜色であったはずの鉢巻は、すっかり紅一色に染めあげられた。
「命惜しくば退け! 退かぬとあらば、ご覚悟召されよ!」
気迫に満ちた女傑の声に、凄まじいその様相に、数人の武者たちが刀を投げ捨てて走り去ってしまう。
去り際にかれらは叫んだ。
「鬼じゃ! 鬼がおるぞ!」
「赤鬼じゃ! 赤鬼じゃ!」
「鬼神じゃー!」
波は、無様な連中を目の前に、
「なんとも軟弱な男どもよ……」
と、嘆息気味に呟いた。
すると、影丸の皮肉っぽい声が耳に飛んでくる。
「奥方様が強すぎるのです……」
彼女はそれを聴こえぬふりでやり過ごし、太刀を片手に、悠然と前進した。
――これほどまでに、冷泉家が戦下手であったとは……。
波は内心で独りごちる。言葉にしなかったのは、影丸の小言を避けるためであった。
やがて波の率いる一団は、大広間へと到達した。彼女が襖を勢いよく開くと、そこには五人の男たちが刀を構えて睨み合っていた。
波は影丸らに告げる。
「外にて待っておれ。万にひとつでも、我らが戻らぬときには、代わりに冷泉らを討ち果たしてくれ」
彼女は普段の温和な物言いを忘れ、口調がつい粗暴になってしまったことを多少悔いた。
波が言い終わると、影丸が軽い調子で答える。
「帰ってくるに決まってらあ!」
彼女はその言葉が、なにより心強く感じた。
影丸が、波の入室を見届けてすぐさま襖を閉めた。
それにより、大広間には六人の武者が残るのみとなった。
一人は、別所家当主の長弟である友之。かれこそが本隊を引き連れて正面突破を成功させた張本人であった。
そして、もう一人は波の夫、吉親その人である。
当主の末弟であり、この戦における軍師の役割を担ったと言える治定は、影丸と同様に襖の向こうで控えているのであろうと波は考えた。
残る三名は、いずれも敵方の大将首。冷泉為純と、その子、為勝。そして吉親の弟である重宗だった。
吉親は因縁の相手とも言える実弟と対峙している。
友之は年頃が同程度である、冷泉家当主の息子、為勝と睨み合っている。
となると、自然、波の相手は冷泉為純ということとなる。
――まさか、当主の相手をすることとなろうとはな……。
波は堪らず自嘲した。彼女は、相手がおとなしく諦めてくれたなら、どれほどよいことかなどと思う。けれども、相手の表情を見るに、そういうわけにもいかないらしい。
彼女は覚悟を新たに血塗られた刃を拭う。
そうして冷泉為純と対峙する波。
下段に獲物を構えた彼女は、じりじりとその間合いを詰める。
「女とて容赦はせぬぞ!」
為純は意気揚々と吐き捨てるように宣う。
その言葉に答えたのは吉親であった。
「その者を女と侮られますな。拙者にも劣らぬ……。いや、下手をすると拙者より勝る手馴れにござりまするぞ」
吉親の言葉に、為純は鼻を鳴らして言う。
「心得ておるわい! されど、冷泉家の当主たるワシには、到底及ばぬことは明白! 早々に我が刃の餌食にしてくれるわい!」
「口出しをする暇があるというのならば、さっさと敵将を討ち取ってしまいなされ!」
眼前の男の言葉を他所に、波が吉親に言うと、吉親は不敵な微笑を浮かべ、
「そうさせてもらおう」
と、呟いて相手との間合いを一気に詰めた。
直後、二人の男の獲物が合わさる音が彼女の耳に届いた。
それを合図とばかりに、右袈裟に斬りこんでくる為純。
波はすかさず受け太刀する。
――軽い。遅い。
と、彼女は思った。
日頃より吉親の太刀を捌いている波にとって、眼前の男が繰り出す攻撃の拙さは、目を疑うほどのものであった。
半歩間合いを取り、次は左袈裟に斬りかかってくる為純。
それを難なく躱す波。そこで彼女はあることに気がついた。
為純は、なにやらもごもごと口を動かしているのである。
なるほど。いち早くその意図を察した波は内心で吐き捨てる。
――小癪なことを!
その瞬間、波の予想通りに、対面の男は唾を飛ばしてきた。
波は素早く身を屈め、頭を傾けつつ避けた。汚らしさのあまりに、目を瞑りたくなるのを堪えた。視線を切ることなく、相手の次なる挙動を注視する。
それを隙ありと見たらしい愚かなる男は、口許を醜く歪めて上段から獲物を振り下ろさんと、大きく振りかぶった。
それが逆に男の運命を分かつ仇となったと言ってよかった。
波は低い姿勢のままに一閃。切っ先が、男の下顎を、ぱっくりと割った。
滝のように垂れ流れる血飛沫が床と男の着物を濡らした。途端に男が叫んだ。それは、言葉にならぬ断末魔であった。
波は全身の筋肉を伸長させて立ちあがり、距離をとった。
対峙する男は、呻き声をあげながら、節操なく刀を振り回している。
太刀筋と呼ぶのもおこがましいほどの攻撃を前に、波は切っ先の液体を拭い、鞘に収めた。それから、抜刀の勢いそのままに、男が握る太刀を弾き飛ばした。
男の獲物は宙を舞い、二間ばかり後方への床へと突き刺さった。
脇差を抜こうとする男を尻目に、波はその首を刎ねる。
時を同じくして、その子、為勝の首が床に転がった。
その結果を目の当たりにした別所重宗は、刀を投げ捨ててしまう。それから流れるようにその膝と掌、それに続いて額を床に擦りつける。
「兄上! 命だけは……。どうか、命だけは勘弁してくだされ! なんでも言うことは聴きまするゆえ!」
と、重宗は叫ぶ。
その場に残った三人は、一様にため息を吐いた。
あまりにも見苦しい男を前に吉親が言い放った。
「されば、この場より即刻立ち去れ! 加えて、この戦果をしかと、そなたの総大将に余すことなく伝えよ!」
吉親の言葉を受けた重宗は、脱兎のごとく駆け出した。重宗は勢いそのままに襖を開く。
その先には無数の兵が刀の柄に手をかけて立ちはだかっていた。
吉親は男たちに背を向けたままに告げる。
「捨ておけ! その者、刃にかける値打ちもない! それに、だ。我らの武勇の伝令役も必要であろう」
その言葉に応じて男たちは刀の柄から手を離す。
襖の先の人垣がふたつに割れた。
そこを重宗がいそいそと走り抜けていった。
吉親はそれを見届け、刀を鞘に納めた。そののち、かれは冷泉為純の首を手に取った。そうして友之に目配せをして、自らに倣うように促した。
友之は首肯を返したうえで吉親に倣い、為勝の首を手にした。
吉親は更に、男の首を高く掲げて声高に宣言する。
「敵将、討ち取ったり!」
それに伴って、兵どもの鬨の声があがった。
吉親は満面の笑みを波に差し向けてくる。
それに無言で微笑を返す波。
間もなくのこと。
大将首ふたつを手にして、波たちは嬉野城をあとにした。
帰りの道すがら、勝利の美酒に心を酔わせ、陽気に歌など口ずさむ者などが続出した。
それから数日ののち。
秀吉が支城攻めに切り替えたとの報せが舞い込んできた。
羽柴軍は四月三日から、播磨一の名城と、のちに称されることとなる、野口城の攻略を開始した。その城が落城したのは、三日後。四月六日のことであった。
一同は、その日、灘の付近から立ち昇る煙を呆然と見つめていた。
時を同じくして、毛利軍が三万の兵を率いて上月城を攻めた。それに伴い、別所氏は援軍を派遣した。その結果、織田軍並びに尼子勝久らの兵、二万数千を相手に、無事に勝利を収めた。
その最たる理由が、敵方は兵の多くを三木城包囲に割いていたからであった。
そののち、支城に援軍を送るか否かの議論となったが、各支城主から文が届いた。それらには、別所軍の勝利を信じる言葉の数々が並び、援軍の必要はない、と記されていた。更に、細川庄内における別所軍の奮闘ぶりを讃える言葉の数々が書き連ねてあった。七通の文はどれも、預けた百の兵たちをよろしく頼む、という言葉で締め括られていた。
波は、野口城の方角を向いて、瞑目のうえ、合掌して誓いを立てた。
――この戦、なんとしても、必ず勝利を掴みます……。
羽柴秀吉が吉親の予想より僅かに早く、派兵したのである。別所方の総篭りの策を知り、三木城包囲の構えをとったのである。
別所方に、この情報をもたらしたのは、他ならぬ影丸であった。
吉親が、四月一日の早朝より出陣いたす、と八百名の男たちへ向けて宣じたのは二日前の昼間のことであった。
波も例に漏れず、それに従ずることとなった。
いよいよ決戦を明日に控えた夜のこと。
波は、なかなか寝付けずにいた。そのため眠くなるまでの間、星空でも眺めようと庭の前まできた。すると、広間から薄明かりが漏れていることに気がついた。男たちが景気づけに酒でも酌み交わしているのだろうか、と波は考えた。けれども、それにしては、やけに静かであった。
彼女は、なかの様子が気になり、そっと戸を開けてみた。
すると、見慣れた男が二人。なにやら、せっせと手を動かしていた。注視する。どうやら母衣を編んでいるらしい。
「治定殿、旦那様。遅くまで精が出ますなあ」
波の声に治定が反応を示した。
「おお、波様。母衣を作っておるのです。拙者に一計がございまして、吉親殿に手伝うていただいておりました」
かれらの背後には、二十有余の母衣がある。
「いったい、お幾つ作られるおつもりなのです?」
室内に入った波が訊ねると、治定が困り顔でこめかみを搔きながら言う。
「可能な限り多く。理想を申しますれば、四百ばかり……」
「それならば、皆に手伝うてもろうたらよろしいのに……」
すると、それは忍びないゆえ、と言う治定。
波は試しに、治定の一計というものについて訊ねてみる。それを聴けば聴くほどに総出でかかるべきであるように思えてならなかった。彼女は二人を説き伏せた上で、城内の者らをかき集めて作業にとりかかった。
ふと、あることが気にかかった波は、その手を動かしながら治定に訊ねてみる。
「治定様は、縁談はまだなのです?」
その問いに、青年は目を丸くして俯いた。
「これ! 波! 無粋なことを訊くでない!」
「なにが無粋ですか! これは、大切なことですよ! どのような奥方がよろしいかくらいは訊いておいて損はありませんでしょう?」
「どのような奥方がよいか、ということより、どのような家柄かという点で決めるものであろう? 縁談というものは」
と、返す吉親。
波は、それに異論を唱えた。家を選ぶにあたっての基準となる、と。加えて、よいと思う姫君でなくては長続きしない、と言った。
治定は、三兄弟揃って同じ意見である、として未来の妻候補の理想像について語った。
「波様のように、武芸に秀で、肝の据わったお方がよい。と、日頃より話しております」
その言葉に波は少々照れた様子で、あらまあ、と呟いた。
そして吉親は、それはまた賑やかになりそうですなあ、と返した。
「お二人を見るに、男が妻の尻に敷かれておるほうが、夫婦はうまくいくようですしなあ」
治定の言葉に、二人の笑い声が重なった。
その日のうちに無事、四百の母衣は完成した。
明くる日、波が鎧をまとい、太刀と脇差を腰に差して火縄銃を背負った頃であった。
嫡男である六つになったばかりの萬亀丸と、四つになる一の姫、千鶴が駆け寄ってきた。
いってらっしゃいませ、と、溌剌とした声音で言う子らに向けて波は柔和な声音で言う。
「見送り、苦労。母は行って参りますよ……」
二人の子らの背後には、筆頭侍女の姿がある。その名を美嚢という。歳は四十を少し過ぎた頃と聞かされている。波が最も信頼のおける人物。彼女とは時折、よき友のように語らい、母のように慕う存在である。そんな美嚢の腕には、昨年二月に産声をあげたばかりの吉親と波の末の子、源兵衛が抱かれている。
「美嚢よ、三人の子のこと、頼みます……」
と、波が言うと、侍女は首肯をひとつ返して三人の子らを連れて奥へとさがっていった。
ほどなくして波は、白葦毛の愛馬に跨り、吉親の隣に並んだ。
すると八百の男どもの、おおっ、という感嘆の声が響く。天女様じゃ、神功皇后様じゃ、
という声がそこらじゅうで飛び交っていた。
薄紅を基調とした鎧に身を包み、金細工が施された太刀を腰に差し、桜色の鉢巻を頭に巻いている彼女にはそれほどの華があった。
「残念なことに、この者は天女でもなければ、神功皇后などでもない……」
吉親の言葉に、しんと静まり返る一同。かれらはどことなく物欲しげな、期待に満ちた眼差しを馬上の男に向けている。
「この者は、日の本一の、ワシの妻じゃ!」
おどけた口調で言った吉親が、ゲラゲラと恥も外聞もなく、品性の欠片もない笑い声をあげた。
その言葉を待っていた、とばかりに笑い、のろけじゃ、のろけが始まったぞ、と囃し立てる者が続出し、城の前に大音声が響き渡る。
――なにはともあれ、士気は高い、か……。
と、波は内心で独りごちる。
やがて笑いが収まった頃合を見計らったようにして、それまでとは打って変わって、覇気に満ち溢れた声音で吉親が叫んだ。
「此度の戦は、義を以て不義を挫くためのものである! 目下の敵は、細川庄領主、冷泉為純。ならびに、その子、為勝。そして別府の城主である我が弟、別所重宗である! 不義をはたらく者どもに、目に物見せてくれようぞ!」
その言葉に呼応して、総勢八百名による鬨の声が盛大にあがった。
すると、吉親は治定に視線を送り、首肯をひとつくれる。
治定が応じるように頷き返す。そののち、齢十八の青年が宣じた。
「向かうは嬉野城! 皆の者、進めぃ!」
かれの下知により、八百の兵が進軍を開始した。
嬉野城(現在の細川城)は、細川庄(現在の三木市細川町)に築かれた城である。その城に三人が篭っているという情報を得たがため、八百の兵が先陣を切って進軍したのだ。
吉親らが率いる先鋒は歩兵と騎馬が半数ずつという編成であった。歩兵らは、その手に槍を持ち、肩には弓矢を担いでいる。対する騎兵どもは、太刀と小太刀、脇差をふた振りずつ腰に差して火縄銃を装備している。、更に、昨夜、作りあげた母衣を背負うのである。
かれらは山を降り、目標の城が目前に迫ったところでその足を止めた。そうして素早く騎兵たちが母衣を外す。歩兵たちは騎馬のうしろに相乗りになる。そうして互いの装備を入れ替えたのちに馬を操る者たちが太刀と小太刀、ならびに脇差を背後の者たちに手渡す。それから、最後の仕上げとばかりに、先ほどまで歩兵であった者たちが母衣を被った。
そうして四百の騎馬は、二手に分かれて進軍した。騎馬はそれぞれ、城の正面から大きく反れた。大きく迂回した先鋒隊は、城の側面へと躍り出た。
吉親は治定とともに進軍することとなった。そのため、二百の騎馬、総勢四百の兵を波が率いることとなった。
城の北側にある守口を任されているらしい敵兵たちは、大わらわであった。慌てるあまりに、矢を番える手許が狂い、鉄砲隊が放つ弾も、遠くこちらに届かない。
波はその隙を見て、全身全霊を以て叫んだ。
「皆の者! かかれ!」
彼女の声を合図に、大地を震わさんばかりの馬蹄を轟かせ、二百の騎馬が雪崩れ込んだ。夜来の雨がごとく降り注ぐ無数の矢弾を波が率いる部隊は馬を巧みに操りながら避け、避けきれないと判断した矢のことごとくを太刀で次々に薙ぎ払っていく。慣れた手つきで太刀を収めた兵たちは、弓を手に矢を番えて一斉掃射。
母衣を背にしているはずの騎馬武者たちが矢を放ってくるという驚天動地の光景に、敵兵どもの手が止まった。さながら敵陣は、阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。
波は、その様を構わず、二の矢、三の矢と次々に敵を射抜いていく。
「頃合よし! 火蓋を切れ!」
波の指令とともに、騎馬の背後の母衣が一斉に地に落ちる。
ほどなくして、騎馬の背後から、それと同数の声がする。
「発射準備よし!」
その声に合わせて、馬を操る者たちが次々にその身を屈める。その瞬間、ただの騎馬隊と見せかけていたものが、騎馬鉄砲に早変わりした。
「放て!」
という影丸の声を合図に、無数の発砲音が轟いた。その間も、姿勢を低くしたままで尚、前衛は弓を引く手を止めなかった。それにより、面白いように敵兵たちが倒れていく。
敵兵らの驚愕ぶりは、輪をかけて凄まじくなった。
波が上肢を起こしたとき、眼前には屍の山が築かれていた。彼女らは、その手を休めることなく、更に矢を放つ。攻め手の合間を縫って駆け込んできた者たちは、武器を手早く槍に持ち替えて屠っていった。
守口ひとつをほぼ壊滅させたとき、更なる敵の群れが押し寄せてきた。
その刹那。遠くから味方の叫び声がした。
「城門、敗れたり!」
波はその言葉に、白く鋭い犬歯を覗かせた。
八百の先鋒隊のすぐ後方より、おっつけ行軍していた本軍が、正面の守りが手薄になった頃合を見て、正面突破を試みたのであった。
これらすべてが、治定が案じた『一計』の正体に他ならないのであった。
作戦の成功を悟った波は、馬を乗り捨て、声高に宣言した。
「この戦い、我が方が圧倒的に優勢である! 攻撃の手を緩めるな! ゆくぞ!」
彼女の声に数百の兵たちが応じた。
言い終るが早いか、波は先陣を切って駆け出していた。
突如として駆け込んでくる鎧姿の女に、敵兵たちは大いに怯んだ。その一瞬を逃さず、波は小太刀を器用に操りながら、一人、二人とその頚動脈を裂いていった。
波が城内に辿り着いた頃には、その美しい顔が先決に染めあげられていた。
尚も威勢よく斬りかかってくる敵の太刀筋を躱して一撃で仕留める。その白刃は見事に男の首を貫いていた。
彼女は深々と息を吐いた。波は上腕と前腕で小太刀を挟み、白刃の血液を拭った。そののち、小太刀を鞘へと収める。
波は次なる敵へ向けて、太刀を抜き放った。太刀は、抜刀の勢いそのままに、その首を落とした。ごとん、と音を立てて頭蓋が転がる。
その刹那。首を喪った男の身体が、ぐらりと揺れる。と、同時に夥しい紅の液体を四方八方に撒き散らしながら、どさりと倒れた。
間欠泉のように吹き出したそれが、波の顔をまた濡らす。
かつては桜色であったはずの鉢巻は、すっかり紅一色に染めあげられた。
「命惜しくば退け! 退かぬとあらば、ご覚悟召されよ!」
気迫に満ちた女傑の声に、凄まじいその様相に、数人の武者たちが刀を投げ捨てて走り去ってしまう。
去り際にかれらは叫んだ。
「鬼じゃ! 鬼がおるぞ!」
「赤鬼じゃ! 赤鬼じゃ!」
「鬼神じゃー!」
波は、無様な連中を目の前に、
「なんとも軟弱な男どもよ……」
と、嘆息気味に呟いた。
すると、影丸の皮肉っぽい声が耳に飛んでくる。
「奥方様が強すぎるのです……」
彼女はそれを聴こえぬふりでやり過ごし、太刀を片手に、悠然と前進した。
――これほどまでに、冷泉家が戦下手であったとは……。
波は内心で独りごちる。言葉にしなかったのは、影丸の小言を避けるためであった。
やがて波の率いる一団は、大広間へと到達した。彼女が襖を勢いよく開くと、そこには五人の男たちが刀を構えて睨み合っていた。
波は影丸らに告げる。
「外にて待っておれ。万にひとつでも、我らが戻らぬときには、代わりに冷泉らを討ち果たしてくれ」
彼女は普段の温和な物言いを忘れ、口調がつい粗暴になってしまったことを多少悔いた。
波が言い終わると、影丸が軽い調子で答える。
「帰ってくるに決まってらあ!」
彼女はその言葉が、なにより心強く感じた。
影丸が、波の入室を見届けてすぐさま襖を閉めた。
それにより、大広間には六人の武者が残るのみとなった。
一人は、別所家当主の長弟である友之。かれこそが本隊を引き連れて正面突破を成功させた張本人であった。
そして、もう一人は波の夫、吉親その人である。
当主の末弟であり、この戦における軍師の役割を担ったと言える治定は、影丸と同様に襖の向こうで控えているのであろうと波は考えた。
残る三名は、いずれも敵方の大将首。冷泉為純と、その子、為勝。そして吉親の弟である重宗だった。
吉親は因縁の相手とも言える実弟と対峙している。
友之は年頃が同程度である、冷泉家当主の息子、為勝と睨み合っている。
となると、自然、波の相手は冷泉為純ということとなる。
――まさか、当主の相手をすることとなろうとはな……。
波は堪らず自嘲した。彼女は、相手がおとなしく諦めてくれたなら、どれほどよいことかなどと思う。けれども、相手の表情を見るに、そういうわけにもいかないらしい。
彼女は覚悟を新たに血塗られた刃を拭う。
そうして冷泉為純と対峙する波。
下段に獲物を構えた彼女は、じりじりとその間合いを詰める。
「女とて容赦はせぬぞ!」
為純は意気揚々と吐き捨てるように宣う。
その言葉に答えたのは吉親であった。
「その者を女と侮られますな。拙者にも劣らぬ……。いや、下手をすると拙者より勝る手馴れにござりまするぞ」
吉親の言葉に、為純は鼻を鳴らして言う。
「心得ておるわい! されど、冷泉家の当主たるワシには、到底及ばぬことは明白! 早々に我が刃の餌食にしてくれるわい!」
「口出しをする暇があるというのならば、さっさと敵将を討ち取ってしまいなされ!」
眼前の男の言葉を他所に、波が吉親に言うと、吉親は不敵な微笑を浮かべ、
「そうさせてもらおう」
と、呟いて相手との間合いを一気に詰めた。
直後、二人の男の獲物が合わさる音が彼女の耳に届いた。
それを合図とばかりに、右袈裟に斬りこんでくる為純。
波はすかさず受け太刀する。
――軽い。遅い。
と、彼女は思った。
日頃より吉親の太刀を捌いている波にとって、眼前の男が繰り出す攻撃の拙さは、目を疑うほどのものであった。
半歩間合いを取り、次は左袈裟に斬りかかってくる為純。
それを難なく躱す波。そこで彼女はあることに気がついた。
為純は、なにやらもごもごと口を動かしているのである。
なるほど。いち早くその意図を察した波は内心で吐き捨てる。
――小癪なことを!
その瞬間、波の予想通りに、対面の男は唾を飛ばしてきた。
波は素早く身を屈め、頭を傾けつつ避けた。汚らしさのあまりに、目を瞑りたくなるのを堪えた。視線を切ることなく、相手の次なる挙動を注視する。
それを隙ありと見たらしい愚かなる男は、口許を醜く歪めて上段から獲物を振り下ろさんと、大きく振りかぶった。
それが逆に男の運命を分かつ仇となったと言ってよかった。
波は低い姿勢のままに一閃。切っ先が、男の下顎を、ぱっくりと割った。
滝のように垂れ流れる血飛沫が床と男の着物を濡らした。途端に男が叫んだ。それは、言葉にならぬ断末魔であった。
波は全身の筋肉を伸長させて立ちあがり、距離をとった。
対峙する男は、呻き声をあげながら、節操なく刀を振り回している。
太刀筋と呼ぶのもおこがましいほどの攻撃を前に、波は切っ先の液体を拭い、鞘に収めた。それから、抜刀の勢いそのままに、男が握る太刀を弾き飛ばした。
男の獲物は宙を舞い、二間ばかり後方への床へと突き刺さった。
脇差を抜こうとする男を尻目に、波はその首を刎ねる。
時を同じくして、その子、為勝の首が床に転がった。
その結果を目の当たりにした別所重宗は、刀を投げ捨ててしまう。それから流れるようにその膝と掌、それに続いて額を床に擦りつける。
「兄上! 命だけは……。どうか、命だけは勘弁してくだされ! なんでも言うことは聴きまするゆえ!」
と、重宗は叫ぶ。
その場に残った三人は、一様にため息を吐いた。
あまりにも見苦しい男を前に吉親が言い放った。
「されば、この場より即刻立ち去れ! 加えて、この戦果をしかと、そなたの総大将に余すことなく伝えよ!」
吉親の言葉を受けた重宗は、脱兎のごとく駆け出した。重宗は勢いそのままに襖を開く。
その先には無数の兵が刀の柄に手をかけて立ちはだかっていた。
吉親は男たちに背を向けたままに告げる。
「捨ておけ! その者、刃にかける値打ちもない! それに、だ。我らの武勇の伝令役も必要であろう」
その言葉に応じて男たちは刀の柄から手を離す。
襖の先の人垣がふたつに割れた。
そこを重宗がいそいそと走り抜けていった。
吉親はそれを見届け、刀を鞘に納めた。そののち、かれは冷泉為純の首を手に取った。そうして友之に目配せをして、自らに倣うように促した。
友之は首肯を返したうえで吉親に倣い、為勝の首を手にした。
吉親は更に、男の首を高く掲げて声高に宣言する。
「敵将、討ち取ったり!」
それに伴って、兵どもの鬨の声があがった。
吉親は満面の笑みを波に差し向けてくる。
それに無言で微笑を返す波。
間もなくのこと。
大将首ふたつを手にして、波たちは嬉野城をあとにした。
帰りの道すがら、勝利の美酒に心を酔わせ、陽気に歌など口ずさむ者などが続出した。
それから数日ののち。
秀吉が支城攻めに切り替えたとの報せが舞い込んできた。
羽柴軍は四月三日から、播磨一の名城と、のちに称されることとなる、野口城の攻略を開始した。その城が落城したのは、三日後。四月六日のことであった。
一同は、その日、灘の付近から立ち昇る煙を呆然と見つめていた。
時を同じくして、毛利軍が三万の兵を率いて上月城を攻めた。それに伴い、別所氏は援軍を派遣した。その結果、織田軍並びに尼子勝久らの兵、二万数千を相手に、無事に勝利を収めた。
その最たる理由が、敵方は兵の多くを三木城包囲に割いていたからであった。
そののち、支城に援軍を送るか否かの議論となったが、各支城主から文が届いた。それらには、別所軍の勝利を信じる言葉の数々が並び、援軍の必要はない、と記されていた。更に、細川庄内における別所軍の奮闘ぶりを讃える言葉の数々が書き連ねてあった。七通の文はどれも、預けた百の兵たちをよろしく頼む、という言葉で締め括られていた。
波は、野口城の方角を向いて、瞑目のうえ、合掌して誓いを立てた。
――この戦、なんとしても、必ず勝利を掴みます……。
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