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情報収集の旅へ
344.果汁すごい!
シェラディンとキウイ梨野菜──リカープというらしい──を切り終えて、とりあえずは別々の容器に盛ったところで、フェズさんが戻ってきた。
カゴに山のようにあの果物が入っている。
「いやぁ、我慢できなくて少しつまみ食いした。悪いね」
「全然。たくさん持ってきてくれてありがたいです」
「久しぶりに食べて懐かしくなったよ。昔は薄味だなと思っていたけど、こんなに美味しく感じるなんてね」
「是非、種を貰ってくださいね」
他のヒトも食べたそうにしていたからどうぞって言っておいた。俺は果物の皮をどんどん剥いて布を敷いたザルに入れていく。実が柔らかいからすぐに潰せそうだし、適当でも大丈夫だろう。
たくさん剥いたら、うにうにと種を取り出して、ぎゅっと絞っていく。薄黄色の液体がそんなに苦もなく絞れた。
「えー、楽チンじゃん……これはいいのでは……」
「それをどうするの?」
「弱火で煮詰めます。ブドウのジュースも煮詰めたら甘酸っぱいトロミのある液体になったから、これはもっといいかもしれないです」
「なるほど。味を濃くするのか。それはかき混ぜながら見ていよう」
「ありがたいです。お願いします」
加熱で成分が変わって不味くなる可能性もなくはないから、全部はやらないほうがいいか。そのままでもジュースとしても使えるもんなと、絞った量の半量だけ火にかけてもらった。
そして俺は、まだやっていなかったシェラディンのすりおろしを作って、大量に作ってもらったシャロのすりおろしに混ぜる。少しだけジベラも混ぜた。それを切ってもらった肉にぶっかけて揉みこむ……よし。
「沸騰させないように加熱して水分とばすって大変だね……うっかりすると泡立ちそうになる」
「なんかいい方法ありますか? ……そうだ、魔法でドライフルーツ作るときって水分抜くじゃないですか。アレみたいに」
「水に強い魔導士がいればできそうかもな」
「おれは炎系魔導士だから無理だわ……」
「そうだよ、お前火の扱い上手いんだから沸騰させないようにコレ見とけよ」
「……まあ、そう言われればそうだな」
そうか、属性ね。ヴァンみたいにみんなが器用なわけでもないんだな。
でも、なかなかいいところに気がついたんじゃないか? 俺はずっと煮詰めて水分を飛ばすことしか考えてなかったけど、魔法でなんとかできればいいんだもんな。フリーズドライとか言ってきたのに、そんなことすっかり頭から抜けてた……。
「あ、じゃあ、風魔法もいいかもです! 液体の表面に常に風を当てれば温度も下がって蒸発も促進します」
「風を出すくらいなら誰でもできるな」
ワイワイしながら果汁を濃くしていく。加熱しているからさらさらしてるけど、さじを持ち上げて冷やすととろみがついているのがわかる。
よし……味見だ。
「ん!」
「どうなった?」
「これは……大成功です。ハチミツの代用にできると思います。じゃあ、残りの果汁も濃縮しましょう」
これは一都市にエルフ族とこの果物が必須みたいなシステムができちゃうかもな。絶対ハチミツよりコスパいいし、ジャガイモ水飴よりは甘いもんな。ま、俺はジャガイモ水飴のあの素朴な甘さも好きなんだけどさ。
「果汁を濃くしていくのか……。里では蜜があったからこういうのはやろうとする者はいなかった。味が薄めで酒にもならなかったから」
「先入観あるとなかなか思いつかないもんだよなぁ。イクミさんは異世界人だから、発想が自由なんだろう。それにしても、こんな果物があるなんて」
「世界には知らない食べ物がいっぱいあるはずです! あ、フェズさん、醤油知りませんか?」
「イクミさんが探してるんだと。豆を発酵させて作る調味料だとか」
「もう少し、詳細なイメージをくれないか?」
そう言われて、俺は昔社会科見学で見た大きな仕込み樽や、絞られて出てくる醤油を思い浮かべながら説明した。麹菌の話も少ししたけど、どこまで伝わったかはわからない。
醤油より味噌のほうが可能性高いかなと思って、味噌についても話してみる。
フェズさんはふむふむと目をつぶったまま俺の話に集中しているみたいだ。
「記憶を遡ってみると、確かにそんな感じのものがあったかもしれない……そのショーユと同じものとは限らないけど、マメが主原料だったはずだ。100年近く前に見たやつだから記憶がなぁ」
「100年……。あ、そうか、エルフ族です、もんね」
でもこれは期待大だよね。醤油に似たやつもご当地調味料みたいな感じで出回ってないのかもしれない。ただなー……俺の旅の目的は調味料探しじゃないから、醤油のために世界中巡るわけにはいかないんだよね。たまたま出会えたらラッキーってところかな。
「ところで、料理はどうなって?」
「あ、肉は漬け込み中ですね。香辛料で焼くつもりなんですけど、そこに醤油があったらなーって思ってたんですよ。俺の故郷の味なんで」
醤油があれば旨味も足されるんだけど、そこはすりおろし野菜とかで補うしかない。酵素で柔らかくしつつ、水分を失わせないようにして、風味もつけるってのにすごく漬け込みはいい方法だよね。俺は日本にいたときは調味料頼りだったけど、こっちに来てからはいかに味を組み合わせて引き出すかみたいになったもんな。
正直言えば、物足りなさはあるけど、あるものでなんとか美味しくしたいと思っちゃうのはしょうがない。
「そういえば、ここにいると時間があまりわからないんですけど、今どのくらいでしょう? ルイたちが戻ってくるのいつくらいかな……」
「まだ少し早いかもね」
「そっか……どうしようかな」
肉の漬け込みは長くても問題ない。シェラディンサラダは乾燥しにくいってことだし。
そんなふうに思って振り返ると、黙々とあの果物を搾って濃縮しているフェズさんと目が合った。俺が使う分以外にも自分でやってたんだな。
「やっぱりフェズさんも甘いもの好きなんですか?」
「里出身のエルフ族はみんなそうだと思う……思い出の味は甘みなんだ。今は外で生まれ育った子も多いから知らないって子もいると思うけどね」
「そうなんですね。卵ってもっと使っても大丈夫ですか?」
「契約でたくさん仕入れてるから大丈夫だよ」
「じゃあスイーツを作りましょう」
ま、簡単にプリンね。簡単って言うほど簡単でもないか……でも素人が作るんだから"ス"が入ったところで構わないよね。何しろ材料が少なくていいのがいいんだ。ハチミツとか果汁を焦がしたとして、上手くカラメルになるかわからないけど、実験でやるのはありかなって気もする。
「材料は、卵とミルクと……ハチミツかさっきの煮詰めた果汁です」
「他には?」
「えっと、調理器具なら蒸すための鍋と、卵液を入れる器、水滴が垂れないようにする布。あ! 濾し器はあったほうがいいですね」
「さっき聞いたケーキってやつとは違うんだ?」
「違います。これはプリンっていって、もっと少ない材料でできるので量産しやすいかと」
パンケーキもどきは手間暇がかかりすぎるからね。酒場のメニューにもなるようなのならこっちのほうがいいんじゃないかな。
酒場にプリンってのもどうかとは思うけど、こっちの世界って酒場と食堂が紙一重だから大丈夫だろ。
カゴに山のようにあの果物が入っている。
「いやぁ、我慢できなくて少しつまみ食いした。悪いね」
「全然。たくさん持ってきてくれてありがたいです」
「久しぶりに食べて懐かしくなったよ。昔は薄味だなと思っていたけど、こんなに美味しく感じるなんてね」
「是非、種を貰ってくださいね」
他のヒトも食べたそうにしていたからどうぞって言っておいた。俺は果物の皮をどんどん剥いて布を敷いたザルに入れていく。実が柔らかいからすぐに潰せそうだし、適当でも大丈夫だろう。
たくさん剥いたら、うにうにと種を取り出して、ぎゅっと絞っていく。薄黄色の液体がそんなに苦もなく絞れた。
「えー、楽チンじゃん……これはいいのでは……」
「それをどうするの?」
「弱火で煮詰めます。ブドウのジュースも煮詰めたら甘酸っぱいトロミのある液体になったから、これはもっといいかもしれないです」
「なるほど。味を濃くするのか。それはかき混ぜながら見ていよう」
「ありがたいです。お願いします」
加熱で成分が変わって不味くなる可能性もなくはないから、全部はやらないほうがいいか。そのままでもジュースとしても使えるもんなと、絞った量の半量だけ火にかけてもらった。
そして俺は、まだやっていなかったシェラディンのすりおろしを作って、大量に作ってもらったシャロのすりおろしに混ぜる。少しだけジベラも混ぜた。それを切ってもらった肉にぶっかけて揉みこむ……よし。
「沸騰させないように加熱して水分とばすって大変だね……うっかりすると泡立ちそうになる」
「なんかいい方法ありますか? ……そうだ、魔法でドライフルーツ作るときって水分抜くじゃないですか。アレみたいに」
「水に強い魔導士がいればできそうかもな」
「おれは炎系魔導士だから無理だわ……」
「そうだよ、お前火の扱い上手いんだから沸騰させないようにコレ見とけよ」
「……まあ、そう言われればそうだな」
そうか、属性ね。ヴァンみたいにみんなが器用なわけでもないんだな。
でも、なかなかいいところに気がついたんじゃないか? 俺はずっと煮詰めて水分を飛ばすことしか考えてなかったけど、魔法でなんとかできればいいんだもんな。フリーズドライとか言ってきたのに、そんなことすっかり頭から抜けてた……。
「あ、じゃあ、風魔法もいいかもです! 液体の表面に常に風を当てれば温度も下がって蒸発も促進します」
「風を出すくらいなら誰でもできるな」
ワイワイしながら果汁を濃くしていく。加熱しているからさらさらしてるけど、さじを持ち上げて冷やすととろみがついているのがわかる。
よし……味見だ。
「ん!」
「どうなった?」
「これは……大成功です。ハチミツの代用にできると思います。じゃあ、残りの果汁も濃縮しましょう」
これは一都市にエルフ族とこの果物が必須みたいなシステムができちゃうかもな。絶対ハチミツよりコスパいいし、ジャガイモ水飴よりは甘いもんな。ま、俺はジャガイモ水飴のあの素朴な甘さも好きなんだけどさ。
「果汁を濃くしていくのか……。里では蜜があったからこういうのはやろうとする者はいなかった。味が薄めで酒にもならなかったから」
「先入観あるとなかなか思いつかないもんだよなぁ。イクミさんは異世界人だから、発想が自由なんだろう。それにしても、こんな果物があるなんて」
「世界には知らない食べ物がいっぱいあるはずです! あ、フェズさん、醤油知りませんか?」
「イクミさんが探してるんだと。豆を発酵させて作る調味料だとか」
「もう少し、詳細なイメージをくれないか?」
そう言われて、俺は昔社会科見学で見た大きな仕込み樽や、絞られて出てくる醤油を思い浮かべながら説明した。麹菌の話も少ししたけど、どこまで伝わったかはわからない。
醤油より味噌のほうが可能性高いかなと思って、味噌についても話してみる。
フェズさんはふむふむと目をつぶったまま俺の話に集中しているみたいだ。
「記憶を遡ってみると、確かにそんな感じのものがあったかもしれない……そのショーユと同じものとは限らないけど、マメが主原料だったはずだ。100年近く前に見たやつだから記憶がなぁ」
「100年……。あ、そうか、エルフ族です、もんね」
でもこれは期待大だよね。醤油に似たやつもご当地調味料みたいな感じで出回ってないのかもしれない。ただなー……俺の旅の目的は調味料探しじゃないから、醤油のために世界中巡るわけにはいかないんだよね。たまたま出会えたらラッキーってところかな。
「ところで、料理はどうなって?」
「あ、肉は漬け込み中ですね。香辛料で焼くつもりなんですけど、そこに醤油があったらなーって思ってたんですよ。俺の故郷の味なんで」
醤油があれば旨味も足されるんだけど、そこはすりおろし野菜とかで補うしかない。酵素で柔らかくしつつ、水分を失わせないようにして、風味もつけるってのにすごく漬け込みはいい方法だよね。俺は日本にいたときは調味料頼りだったけど、こっちに来てからはいかに味を組み合わせて引き出すかみたいになったもんな。
正直言えば、物足りなさはあるけど、あるものでなんとか美味しくしたいと思っちゃうのはしょうがない。
「そういえば、ここにいると時間があまりわからないんですけど、今どのくらいでしょう? ルイたちが戻ってくるのいつくらいかな……」
「まだ少し早いかもね」
「そっか……どうしようかな」
肉の漬け込みは長くても問題ない。シェラディンサラダは乾燥しにくいってことだし。
そんなふうに思って振り返ると、黙々とあの果物を搾って濃縮しているフェズさんと目が合った。俺が使う分以外にも自分でやってたんだな。
「やっぱりフェズさんも甘いもの好きなんですか?」
「里出身のエルフ族はみんなそうだと思う……思い出の味は甘みなんだ。今は外で生まれ育った子も多いから知らないって子もいると思うけどね」
「そうなんですね。卵ってもっと使っても大丈夫ですか?」
「契約でたくさん仕入れてるから大丈夫だよ」
「じゃあスイーツを作りましょう」
ま、簡単にプリンね。簡単って言うほど簡単でもないか……でも素人が作るんだから"ス"が入ったところで構わないよね。何しろ材料が少なくていいのがいいんだ。ハチミツとか果汁を焦がしたとして、上手くカラメルになるかわからないけど、実験でやるのはありかなって気もする。
「材料は、卵とミルクと……ハチミツかさっきの煮詰めた果汁です」
「他には?」
「えっと、調理器具なら蒸すための鍋と、卵液を入れる器、水滴が垂れないようにする布。あ! 濾し器はあったほうがいいですね」
「さっき聞いたケーキってやつとは違うんだ?」
「違います。これはプリンっていって、もっと少ない材料でできるので量産しやすいかと」
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