無理矢理嫁がされた俺に何を求めるって?

隅枝 輝羽

文字の大きさ
2 / 5

無理矢理嫁がされた俺に何を求めるって? 【中】

しおりを挟む
「エイデン、昼間に勉強していると聞いた」
「あ、ええ……まあ」

 アロイス殿下は一日おきには俺の部屋に通ってくる。勘弁してほしいと言いたいのをぐっと我慢しているけどね。不敬罪になるのは避けたいからなぁ。

「フィーリアが褒めていた」

 フィーリア妃殿下は正妃だ。たまたま教育係の都合がつかずに、一回だけフィーリア妃殿下から授業を受けたことがあったんだけど、その時のことを言っているのだと思う。

 フィーリア妃殿下はもんのすごく良い方だった。可愛らしいのに頭の切れる方で、側妃である男の俺なんかにも親切だ。俺なら子を身籠ることもないから立場を脅かすこともないってのもあるんだろうけど。
 でも、肩身の狭い俺としてはありがたいことこの上ないんだよな。さすがに「アロイスの世話をお願いしますね」と言われたときには肝が冷えたけど。

「しかし、なにも勉強などしなくても……」
「アロイス殿下は、ワタシに何も望んでおられない、と?」
「そういうわけでは……」

 何度も抱き潰されて、少しは面と向かって話すようにもなったけど、いまだにアロイス殿下が何を考えているのかわからない。もっと気軽に話して構わないとは言われたんだけど、王太子相手に無理だろそんなの。

 俺はアロイス殿下に付かず離れずで接している。フィーリア妃殿下に睨まれるのも嫌だし、男の俺はいつ飽きられて王宮を追い出されるかもわからないんだから。

 ◇◇◇

「ふ……ぁ………」
「中、感じるようになってきたようだね」

 俺を突き上げながらアロイス殿下が言う。ムカつくけど、実際抱かれまくって、穴が苦しくなくなってくると内側が快感を探すようになっていた。自分じゃペニスに手を伸ばさないし、アロイス殿下も俺のを扱くことはしない。なのに、緩く勃ち上がるようになってきてるペニスが憎い。

 俺は枕を抱きしめてふぅふぅとそれをやり過ごすように耐える。とにかくアロイス殿下にしがみつかないようには毎回心がけている。爪を立てたりうっかり叩いてしまったりしたらマズいからな。

「後背位は顔が見えないのがつまらないね。エイデンが気持ちよさそうなのはいいんだけど」

 好き勝手突っ込んで出しまくってるくせに何言ってんだか。
 でも気持ちよさそうとか言われるのは……反発したくなるな。ペニス見ればすぐバレるからしないけどさぁ。

「あっ……ン……あぁう」

 やばい……今日はちょっとおかしい。ごりゅごりゅとアロイス殿下のが最近敏感になってる箇所を何度も往復する。そのたびに腹の中から甘い痺れが湧き上がってくるみたいだ。

「ああ、いいね。ココ、きゅっと私のを締め付けてくる。腰が揺れてるの気付いているかい?」
「ちが……はぅ」

 四つん這いのような格好をしてると、揺さぶられて動いているのか、自分が揺れてるのかがわからない……。俺が動いてるとか嘘だろ?

 穴の縁を指でなぞられてビクリと身体が跳ねた。そこからガツガツといつものように突き上げられる。

「あああっ! も、へん……」

 背中が反って抱えていた枕から顔を上げた瞬間、俺のペニスから白いものが飛んだ。
 ガクガクと身体が震えて、下腹が攣りそうで……アロイス殿下を振り返ると「うっ」と呻いて殿下も達したようだった。

 いつもならもっともっとと攻め立ててくるのに、この日はこれで終わったのが奇跡すぎる。抱え上げられて風呂に入れられ、中まできれいにされるときれいに整えられたベッドに寝かされた。

 この風呂から戻るとベッドがきれいになっているのは未だに慣れない。だって、使用人たちが俺たちの行為を把握してるってことだろ? いや、肌から穴の準備までされてる俺が今さら何を言ってるんだって話だけどさ。

「中だけでイケるようになって良かった。今まで前に触れずに我慢したかいがあったよ」
「う……」

 ──俺はただの穴なのに……穴の分際でイッてしまった……。

 なんとも言えない敗北感がある。
 ぐったりとしているとアロイス殿下が俺を抱き寄せて、背中をポンポンと優しく叩いてきた。まるで寝ろと言われているみたいだ。そのリズムに眠気を誘われて、俺はいつの間にか……。

 俺が目を覚ますと、当たり前だけど一人だった。これはいつものことだからなんとも思ってない。アロイス殿下は男の俺を側妃に迎えて、喜んで抱くような変なやつだけど、やることがたくさんある王太子なのだ。穴しか使い道のない俺とは違う。

「あー、俺の存在意義がもっとほしい……」
「エイデン妃殿下はすでに存在意義が十分ありますが?」
「こ・れ・の! どこが!? 閨だけじゃん!」

 領地を手伝っていたときはもっとこう、役に立っている感じがあったのに。侍女やメイドに八つ当たりは良くないよなとすぐに謝ったら、王族が使用人に謝罪はするなとか言われるし。

 俺はあっちじゃ使用人とも仲良くやってたから、悪いと思ったことは謝ってたんだよ……それもできないなんてな。穴しか役立ってない俺が王族だって言われるのにも未だに抵抗感あるし、俺って何なんだろうって思って気分がどんよりする。
 
「なぁ、せめて妃殿下と呼ぶのをやめてくれないかな」
「それは命令ですか?」
「ぐ。……そう、命令、だ、よ」
「エイデン様、この部屋の中だけでしたらそのように」
「ありがとね」

 俺は、はぁと息をついた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました

無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。 前世持ちだが結局役に立たなかった。 そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。 そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。 目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。 …あれ? 僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?

アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました

あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」 穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン 攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?   攻め:深海霧矢 受け:清水奏 前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。 ハピエンです。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。 自己判断で消しますので、悪しからず。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜

キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」 (いえ、ただの生存戦略です!!) 【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】 生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。 ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。 のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。 「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。 「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。 「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」 なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!? 勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。 捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!? 「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」 ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます! 元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!

「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された

あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると… 「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」 気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 初めましてです。お手柔らかにお願いします。

「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される

水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。 絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。 長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。 「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」 有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。 追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!

処理中です...