Fantasy of Fantasy 〜リディアの手記〜

ほぼ全裸体のハシラジマ

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ギュメル大陸編

サバイバル

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 赤黒い秘石を受け取ると左右に一個ずつ持ち、薪が燃えるイメージをすると発火。
 パキパキと小気味良い音を立てながら焚火の出来上がり。
 
 ちなみに“力ある言葉”こと呪文を唱えるとそれぞれに対応した魔法が発動する。
 うっかり“火炎球ファイアボール”や“魔法矢マジックアロー”の呪文を読み上げたら威力の加減で自爆してしまうかもしれない。
 だからイメージするだけ。
 
 火が安定するころにリュオが帰ってくる。
 地味な色のキノコが数個、山菜、そしてウサギくらいのウサギじゃない生き物―――。

「おかえ・・・り、なにそれ?」
あたしが指さしたのはウサギじゃない何か。
「え? 肉だぜ?」
どうした?みたいな顔で返事するリュオ。
 なんの生き物か聞きたかったが伝わらなかったらしい。
「ネズミだよ。何て名前だったかな。焼くと美味しんだよな」
ラレスが代わりに教えてくれる。

 ネズミ!?

 食べるの?? ほんとに?!
 でかくない?? あたしの声にならない叫びをよそに男性陣の会話が続く。

「マー・・・なんだっけな。アンタも食ったことあんの?」
腰のあたりからナイフを取り出すリュオ。
「ああ、以前2~3回くらいかな、たれを付けたのと塩焼きを食べたことがあるよ」
「今夜は香草焼きの予定、っと!」
倒木の割と平べったいところにデカネズミを添えて、ナイフ一閃。

 コン! という軽い音共に跳ね飛んだネズミのヘッドをラレスがキャッチすると林の奥に投げ捨てる。
 ひえー! と悲鳴を上げかけるが声にならない。

 ナイフをくるくる回して、食材。そう美味しいお肉の腹部をスパーッと裂くと中に詰まっているアレをポイポイっと取り出すリュオ。
 山菜を小刀で刻みながらラレスが声を掛ける。

「血抜きは?」
「メシが遅くなってもいいなら」
「それは、仕方ないな」
男二人、お互い食材を調理しながら目も合わさずの会話。

 どちらも一人旅が一年弱あるって聴いたので、その賜物かぁ。

 見る見る間に毛を毟られ、お腹の中に山菜を詰め込まれたお肉が出来上がり、どこからか出てきた鉄串に刺されると焚火で炙られる。
 切り込みを入れたキノコに塩と香辛料を混ぜた粉を振り掛け、やっぱり火で炙る。
 ただの旅人とか言ってるけど、リュオのポシェットには各種料理用品が詰まっている。

『旅の醍醐味はメシだろ』おいしく出来上がると、このセリフを必ず聞く。

 確かにその通り!

 かくしてマー何とかの香草焼きと串焼きキノコが出来上がり、切り分けて熱々を頂いた。
 山菜だと思ったものは香草で、生臭みや肉々っぽいワイルドなニオイを和らげてくれていた。
 塩とちょっぴり刺激のある味。
 なんかの香辛料らしいが原料は不明。
 リュオ曰く、良いヤツらしい。何それ。

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