Fantasy of Fantasy 〜リディアの手記〜

ほぼ全裸体のハシラジマ

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ギュメル大陸編

出会いは唐突に。そして爆破

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「アンタ、何見てんのよ!!」
叫んでみたものの変化なし。

 もしかすると模様かもしれない。
 それ以前にどうしよう、と焦りが生まれる。
 すぐには消化されないって聞いたけど、どれくらいの猶予があるのか?
 そもそも水面下の体が重くて動きづらいし、ヌメヌメ油まみれになったような感触。

「うぐぐぐ・・・・・・」
自分のうめき声がウツボカズラ内に響く。

 じんわりと体が温かくなってきた気がした。
 まるで、そう温泉に浸かっているみたいなアレ。
 なんか、もう少し浸かってても良いかも、なんて。

 だんだん眠くなってきたところで頭上のフタが勢いよく開き、黄色い悲鳴と共に同い年くらいの女の子が飛び込んで、もとい投げ込まれてきた。
 あたしの横を勢いよく通り抜けるとドブンという鈍い音が響く。
 ベタベタした液体が顔を直撃。甘い!

「ヒィヤァッ!!」
水面下、あたしの足を掴む何か! 何かってさっきの女の子だろうけどペタペタふくらはぎ辺りから太ももを掴む手。
 程なくして水面上に現れたのは小動物系のクリクリっとした青い目の少女。
 白い肌に栗色のロングボブカットの髪には小綺麗なサークレットが乗っていた。見たまんま良いところのお嬢さんって感じの子だ。

「ど、どこですか!? ここは!?? なんですか?! 甘いですよ!? あ! 失礼しました! 私パルティアと申します!」
小鳥のさえずるような声でマシンガントーク。

「お、落ち着いて! 甘いのは、そう! ご、ご褒美よ! あたしはリディア、よろしくね! って違う!!!」
眠気は吹き飛び、思わずノリツッコミ。
「気付いたら空を飛んでいて・・・・・・ベタベタして気持ち悪いです・・・・・・」
パルティアと名乗った少女が眉を八の字にしながらぼやく。

「ここね、食人植物の中よ・・・・・・」
「え、食べられ・・・・・・」
クリクリした目が丸い皿のようになる。
「うん。食べられてる。どうやって出ようかなって」
再び閉じた頭上のフタを一瞥して一言。
「・・・・・・爆破しましょう! いいですか! いきますよ!!」
小動物系少女がとんでもない事を口走る。

 爆破? 何をどうやって??

「ちょ・・・・・・」
「原初の焔、白雷の使徒よ。我、精霊王ヨーンと契りを結びしものなり。パルティア・ファルニアの名において奇跡を行使せり! burnout!!」
あたしが何か言う前に精霊術とか精霊魔法とか呼ばれているものを高速詠唱。

 カッと植物の内壁が内側から輝き、爆発。そして轟音。

 そびえ立つ食人植物の内壁、白濁した泥状液体、フタについた目玉、ブルンブルンとした触腕。

 何もかもが爆散した。

 あたしとパルティアは仲良く吹っ飛ばされ茂みに墜落。
 辺り一面に爆散した食人植物の色々なパーツが降り注ぐ。
 それから甘い香りがプンプンする液体も。

「ひ、姫様ぁぁぁーーー!! 姫様ぁーーー!!」
街道があったっぽい方から戦斧を振り回し、赤色のマントに銀の胸甲をつけた壮年の男が接近してくるのが見える。
 一振りごとに進路上の草木や障害物が左右に吹き飛ぶ。
 反対方向からは見知った顔が2人草木を薙ぎ払いながらやってきた。
「いたぞリュオ!」
「すげぇ派手にやったねぇ」
真面目なラレスに対して軽口を叩くリュオだったが、2人とも必死の形相だった。

「ばっちりですね!」
ドッカン爆発系小動物少女がウインクした。
「ばっちりね、ありがと」
イエーイと拳を突き合わせ称賛。

 結果オーライかもしれない、とりあえず。
 甘酸っぱい香りが漂い、溶液なのか果汁なのか全身がベタベタになったこと以外は・・・・・・。
 あたしの服は肌にピッチリ張り付き甘い香りがプンプンし、パルティアも朱色のお値段高そうなタイトミニワンピースがドロドロのベタベタになっていた。

「お風呂に入りたい」
駆け付けてくる男どもを見やりながらどちらともなく呟いた。
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