妖怪井戸端会議

霧海戴樹

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妖怪井戸端会議〜現代妖怪の悩み?〜

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夜になると真っ暗闇で。そこに何かが存在しているのでは...? と、想像を膨らませて、恐怖心を抱いたり... したのも今は昔の話。

今じゃ真夜中でも電子看板などの光であたりは明るい。闇夜に紛れて生きてきた妖怪達 は今夜も人気の無い公園の一角で身を寄せ合い、他愛もない会話で盛り上がるのだった...。

バッサバッサと羽を広げて舞い降りたのは、日本の妖怪の中でもトップクラスの妖怪、天狗。
もはや地域によっては神様にもなっている天狗はやはり妖怪界でも恐れられている存在の様子。
「何匹か集まっているかと思えば...わしがきた瞬間、蜘蛛の子散らすようにいなくなりおってからに...なんだったのじゃ」


「いや、天狗様? あなた様が突然いらっしゃったからみんなびっくりして逃げてしまったんですよ...全く」

相槌を打ったのは、こちらも妖怪の中でも有名な狐。キセルをふかしてやれやれと天狗を見やりため息をついた。
天狗はいかにも邪魔されたわ~みたいな態度を露骨にとってくる狐に対し、申し訳なさといやいや自分だって…と困り顔。
「いや、そう言ってくれるな狐の。 そんな事を言ったらお前だって昔からおる強い妖怪ではないか...わしだってみんなと仲良くおしゃべりとかし たいんじゃー」

「そんなに暇じゃないでしょう? ...まぁ、最近はどの妖怪もなんだか退屈そうですものねぇ。しょうがな いのかもしれませんが。...そうだ、そんなにお暇でしたら是非、この子の悩みを聞いてあげてやってくださいな」

妖怪の中でも強いものとされている天狗と狐がこう話していると、さっきからずっと伏せって泣いている妖怪、あの「メリーさんの電話」で有名なメリーさんがようやく口を開いた。

「聞いてくださいよ...もう私は妖怪をやっていく自信がありませんー!!!」

「妖怪やっていく自信って言うのもなんだかなぁって感じですけどね」

「狐や狸らや他の妖怪ならいざ知らず、お前さんは比較的最近流行った妖怪じゃろう? なんでそんなに 自信を無くすなどと泣いておるのじゃ?」

「そもそもメリーさん? メリーちゃんはどんな妖怪なんでしたっけ?」

「あれじゃろ? 電話でどんどん近づいていく事を伝えて恐怖させる...とかなんとか...じゃなかったかの、 あれ? スマホのチェーンメールとかじゃったっけ?」

「...以外と天狗さまって、現代に通じていらっしゃいますよね」


ここでメリーさんの有名な怪談話を簡単に。

少女が引越しの際、古くなった外国製の人形、「メリー」を捨てていく。
その夜、電話がかかってくる。
「あたしメリーさん。今ゴミ捨て場にいるの...」
電話を切ってもすぐまたかかってくる。
「あたしメリーさん。今タバコ屋さんの角にいるの...」
そしてついに「あたしメリーさん。今あなたの家の前にいるの」という電話が。
少女は思い切って玄関のドアを開けたが、誰もいない。やはり誰かのいたずらかと思った直後、またもや電話 が...
「あたしメリーさん。今 あなたの後ろにいるの」


...
これがメリーさんの有名な怪談・都市伝説。
場所によっては男性に電話が来たり、轢き逃げをしたタクシーの運転手に電話がかかってくるーって話もあるそうだよ。

「して、そのメリー殿はどうしてそう悲しんでいるじゃ? 別に現代に遅れをとってるわけでもあるまい?」

「...そんなことよりも我われや狸が現代に遅れをとってる...みたいな言い方に今更ながら私はカチンときて おりますが? 天狗さまよ」

「うわぁーーーん!!!それが問題なんですーー!!!私も現代についていけないんですーー!!! 正確には現代っ子についていけないんです...」

「現代っ子についていけない?」
「はて、それはどう言うことか...」
「この間も...こんな事がありました...」

メリーさんは、先日あった出来事を話し出した。
回想その1。
「あー、今日も疲れたなぁ...仕事も終わったし...ゲームのイベント時間まであと1時間かあ...これから頑張 ればクエストクリア出来るかな...」

ブツブツと独り言を言っている男のスマホに着信が。
「おわぁ!!!びっくりしたー!!!誰だよ...知らねー電話番号だな...無視無視」
......回想おしまい。


「って事があって!!!そもそも現代っ子は電話を取らないんですーー!!!」
天狗&狐は「あー...。」 と口をそろえる。メリーさんは「電話を取ったとしても酷いんですよー」と、別の一件を話し出した。

…回想その2。
「あー、今日も疲れたなぁ...仕事も終わったし...ゲームのイベント時間まであと1時間かあ...これから頑張 ればクエストクリア出来るかな...」
これまた独り言をブツブツ呟いている男の元に着信が。

「誰だよ...こんな時にぃ!愛しのユリカちゃんとの時間があ!」

…おそらく、スマホでギャルゲーをプレイしてたのであろう男は着信によって中断された事ですでにイライラ。
「もしもし...私メリーさん、今...」
「あのさあ!!!メリーだかペリーだか知らないけど! 今俺ゲームイベント クリアすんのに忙しいの!!!知らない奴に電話かけてくんじゃねーよ!!!」
「え、あ...あの...あ、切れた」

はい、回想おしまい。

「うわぁーん」とまた泣き出すメリーさん。

天狗&狐は「あー...。」 と、かわいそうな者を を見る目。そんな二人にメリーさんは続ける。

「もっと酷い時なんか、こんな事がありましたよー!」

回想その3。
「はい、もしもし」
電話とったー!!!やったー!!!と、電話相手の声色もなんだかしっかりしてそうな男の人の声でなんだか安心したのやら嬉しいのやら。
コホンとひとつ咳払いをしてメリーさんはいつもの口上。
「私メリーさん、今、近くの駅にいるの...」
「もしもし? もしかして本日伺わせてもらった◯×商事の方でしょうか? 申し訳ご ざいません、もう一度お名前伺ってもよろしいでしょうか?」

突然、営業モードに切り替わった男の声に今度はメリーさんが驚くハメに。
「え、...私、メリーさん」
「メリー・サン様でお間違いないでしょうか? 改めまして、私、△保険株式会社の林と申します。置かせ ていただいた資料はご覧になりましたでしょうか?」
サン、は名前じゃ無い…とかいろいろ言いたいことはあるけど…
「いえ、結構です」ガチャ。

「いや、お主が切っとるじゃないか」と狐はすかさずツッコミ。

「最近はツイッター? 掲示板? とかで私のことを「ドジっ子で可愛い」とか書き込まれてるし... もうやだー妖怪なんてやめてやるーー!!!」

「お主もなかなかに現代に通じておるよな...ツイッターとか掲示板とか」

「しかし...妖怪を辞めようとしてやめられるものでもなし...そうじゃ! どうすればメリー殿が人間達に 恐れられるか...我らで考えてはみないか?」

「我ら...でですか...そうですね...」 

「そうじゃ! 電話ではなくラインで通知していくのはどうじゃ?」 

「天狗さま、ラインも知っておられるのか...」 

「あれは、友達同士じゃないと通知がいかない設定ができるのでまずは友達から始めないと無理ですー!」

「だんだん現代の友達作りをいかにするかって話に聞こえて来たな」

「じゃあ...そうだスカイプとやらはどうじゃ 」 
「ラインとほぼ同じ理由で却下」 
「だんだんメリーちゃんの方が現代っ子じみてきてるな」 
「ショールームとかはどうじゃ!!!!?」 
「私が映像配信してどうするのです?」 「Voicyはどうじゃ!!!!あれなら音声発信に特化しとるじゃろう!!!」 
「事、この件に関してはそういう問題じゃないですー」 
「なんだか、おじさんとギャルの会話になってきよった...」

こうして、毎夜のようにこの公園では、あーでもないこーでもないと議論を繰り広げる妖怪達の 井戸端会議が聞こえてくるとか聞こえてこないとか。 ここに一つ、新たな現代の怪談スポットが生まれたんだって!
ちゃんちゃん♪
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