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で、騎士団に何があったのよ
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「ちょ、ま、えぇ?……えぇぇ?」
伝えられた言葉は理解したが、出来事には全く理解が及ばなかった。
私に事態を報告した伝令も、理解が及んでいないのか「私に聞かないで」というオーラを放っている。
「エルフの里まで騎士団を案内して、一部始終を目撃したものを連れてきておりますですじゃ」
「細かいことはその者から聞いてほしいですじゃ」
そうして執務室に連れてこられた鼠人の猟師は、ひどくおどおどした様子だった。
きっとそれは私が猫人だからという理由ではなく、騎士団に相当な事が起きたからであろうと容易に推測できた。
エルフに騎士団を壊滅させるだけの兵力はないし、たぶん自然災害だろうなあ。
あいつら馬鹿だからこの前も台風の時に中州に野営して半分くらい流されてたからなぁ
家族に「英雄的な死」をでっちあげて届けるこちらの身になってほしい。200人分のストーリーを作るのは大変だから、私はせめて同じ理由で死んでいてほしいと願った。
「へぇ、あっしは騎士団の方をエルフの里に案内したんでさぁ。道中、騎士団の皆さんが木槍を作るんで、あっしは何でそんなことをするのか不思議がって見ていやした」
「したらば騎士団の方々はエルフの男どもを村の中央に集めると、ことごとくをなで斬りにして、つくった木槍につきさしておっ立てたんでさあ」
……相変わらずヘドが出る連中だな。
「その時でさぁ、森の奥から砂色の巨人が出てきたのは。人の形をしていやしたが、どこをどうみても人じゃありやせんでした。」
「あんな角ばった形の人なんてみたことありやせん。」
……角ばった形をした砂色の巨人?砂色はタイタン族やサイクロプス族の特徴だが、角ばったというのがわからない。
「巨人はビアード騎士団長の槍を受けても平気な顔で、団長を馬から落とすとふんずけてカエルみたいに潰しちまったんでさぁ。」
「その後は腕から火を噴いて、いや、火は吹いたんですが届いてないのに騎士団の人がどんどん血を吹いてしんじまったんでさぁ」
「ふむ、呪いの類か?巨人の呪術師だろうか? 他に特徴はなかったのか?」
「へえ、すげえ雷みてえな音がしやした。あっしは頭がキーンとして、その後のことはまるで夢みたいで不確かで……」
「かまわん、申してみよ」
「へえ、巨人は殺した騎士様の骸を食っちまったんです。あんなおそろしいもの初めて見やした。」
「むぅ……委細わかった。下がってよろしい」
「へえ、あっしはおそろしいんでもう家族のところに越そうと思いやす」
「そうした方が良い。この話は城下で話さぬよう。内密にな」
鼠人を下がらせた後、私はヒゲを撫でながら、自身の頭の中に存在する知識を組み合わせて、それが何であるのか、考えに耽った。
巨人、角ばった、というのは恐らく鎧だろう。
角ばった鎧と言えばオーク族の意匠に見られるものだ。
そして巨人の中でサイクロプス族は武勇に、タイタン族は呪いや魔法に秀でた存在と聞く。まさか奴らが手を組んだという事か?
これは大事になりそうだぞ……
私は書記官を呼んで、必要な指示を手短に伝える。
「勇者だ、この国一番の勇者を呼んでまいれ。」
伝えられた言葉は理解したが、出来事には全く理解が及ばなかった。
私に事態を報告した伝令も、理解が及んでいないのか「私に聞かないで」というオーラを放っている。
「エルフの里まで騎士団を案内して、一部始終を目撃したものを連れてきておりますですじゃ」
「細かいことはその者から聞いてほしいですじゃ」
そうして執務室に連れてこられた鼠人の猟師は、ひどくおどおどした様子だった。
きっとそれは私が猫人だからという理由ではなく、騎士団に相当な事が起きたからであろうと容易に推測できた。
エルフに騎士団を壊滅させるだけの兵力はないし、たぶん自然災害だろうなあ。
あいつら馬鹿だからこの前も台風の時に中州に野営して半分くらい流されてたからなぁ
家族に「英雄的な死」をでっちあげて届けるこちらの身になってほしい。200人分のストーリーを作るのは大変だから、私はせめて同じ理由で死んでいてほしいと願った。
「へぇ、あっしは騎士団の方をエルフの里に案内したんでさぁ。道中、騎士団の皆さんが木槍を作るんで、あっしは何でそんなことをするのか不思議がって見ていやした」
「したらば騎士団の方々はエルフの男どもを村の中央に集めると、ことごとくをなで斬りにして、つくった木槍につきさしておっ立てたんでさあ」
……相変わらずヘドが出る連中だな。
「その時でさぁ、森の奥から砂色の巨人が出てきたのは。人の形をしていやしたが、どこをどうみても人じゃありやせんでした。」
「あんな角ばった形の人なんてみたことありやせん。」
……角ばった形をした砂色の巨人?砂色はタイタン族やサイクロプス族の特徴だが、角ばったというのがわからない。
「巨人はビアード騎士団長の槍を受けても平気な顔で、団長を馬から落とすとふんずけてカエルみたいに潰しちまったんでさぁ。」
「その後は腕から火を噴いて、いや、火は吹いたんですが届いてないのに騎士団の人がどんどん血を吹いてしんじまったんでさぁ」
「ふむ、呪いの類か?巨人の呪術師だろうか? 他に特徴はなかったのか?」
「へえ、すげえ雷みてえな音がしやした。あっしは頭がキーンとして、その後のことはまるで夢みたいで不確かで……」
「かまわん、申してみよ」
「へえ、巨人は殺した騎士様の骸を食っちまったんです。あんなおそろしいもの初めて見やした。」
「むぅ……委細わかった。下がってよろしい」
「へえ、あっしはおそろしいんでもう家族のところに越そうと思いやす」
「そうした方が良い。この話は城下で話さぬよう。内密にな」
鼠人を下がらせた後、私はヒゲを撫でながら、自身の頭の中に存在する知識を組み合わせて、それが何であるのか、考えに耽った。
巨人、角ばった、というのは恐らく鎧だろう。
角ばった鎧と言えばオーク族の意匠に見られるものだ。
そして巨人の中でサイクロプス族は武勇に、タイタン族は呪いや魔法に秀でた存在と聞く。まさか奴らが手を組んだという事か?
これは大事になりそうだぞ……
私は書記官を呼んで、必要な指示を手短に伝える。
「勇者だ、この国一番の勇者を呼んでまいれ。」
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