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185.人の望みの喜びよ
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手を取られて、握り返すことができる幸せ。
なんの理由もなく、ここにいていいのだと受け入れてもらっている。
そんな幸せなことが自分の身の上に起こるなんて。
「だからさ、これからは俺のほうが、お前を幸せにするよ」
びっくりしたように目をぱちぱちさせ、八月一日宮はくしゃりと笑った。
「……はは、そんなこと言われるの、初めてです。それに、俺だってもう幸せです」
「そうか。嬉しいな。お前の初めてか……、これからも、いっぱいもらう」
「はい。俺も、あなたの初めてをいっぱい頂きます」
伏せてきた顔に、迎えるようにあゆたも不器用に唇を突き出す。
察した八月一日宮が身を屈めて、思った通り唇は触れ合う。キスの合間に囁き交わす。
「幸せになろうな、仁乙」
「っ、はい、あゆたさん」
何故か八月一日宮は目尻を赤く染め、すこし泣きそうになっている。
それがかわいくて、あゆたはもう片方の手で八月一日宮の頭を撫でた。
「お前の名前いい名前だな。かわいい」
「ふふふ、あゆたさんにそう言ってもらえてうれしいです」
ケイトウの花みたいに派手な色の頭をしていて、純粋無垢な子どものような八月一日宮。
眠くてたまらないのに、このままずっとこの笑顔を眺めていたい。
そうだ。
これからは、誰かに遠慮せずに、欲しいものを欲しいと言っていいのだ。
「……いつか、噛んで、いいよ」
「あゆたさん……」
感極まったというように八月一日宮は目をうるうるさせた。
あゆたは目を閉じた。
手の中のぬくもりだけがすべてだった。
「お前だったら、いいよ」
「……はい、楽しみにしています」
「ん……」
「寝てええですよ。俺がお世話しますさかい」
「ん……、ありがと……」
八月一日宮は涙ぐんだ声で囁いた。
「すき……」
名前を呼ばれた気がした。その声音がとても優しくて、あゆたは達成感と心地よい疲労にすとんと眠りへ落ちていった。
なんの理由もなく、ここにいていいのだと受け入れてもらっている。
そんな幸せなことが自分の身の上に起こるなんて。
「だからさ、これからは俺のほうが、お前を幸せにするよ」
びっくりしたように目をぱちぱちさせ、八月一日宮はくしゃりと笑った。
「……はは、そんなこと言われるの、初めてです。それに、俺だってもう幸せです」
「そうか。嬉しいな。お前の初めてか……、これからも、いっぱいもらう」
「はい。俺も、あなたの初めてをいっぱい頂きます」
伏せてきた顔に、迎えるようにあゆたも不器用に唇を突き出す。
察した八月一日宮が身を屈めて、思った通り唇は触れ合う。キスの合間に囁き交わす。
「幸せになろうな、仁乙」
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何故か八月一日宮は目尻を赤く染め、すこし泣きそうになっている。
それがかわいくて、あゆたはもう片方の手で八月一日宮の頭を撫でた。
「お前の名前いい名前だな。かわいい」
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ケイトウの花みたいに派手な色の頭をしていて、純粋無垢な子どものような八月一日宮。
眠くてたまらないのに、このままずっとこの笑顔を眺めていたい。
そうだ。
これからは、誰かに遠慮せずに、欲しいものを欲しいと言っていいのだ。
「……いつか、噛んで、いいよ」
「あゆたさん……」
感極まったというように八月一日宮は目をうるうるさせた。
あゆたは目を閉じた。
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「お前だったら、いいよ」
「……はい、楽しみにしています」
「ん……」
「寝てええですよ。俺がお世話しますさかい」
「ん……、ありがと……」
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「すき……」
名前を呼ばれた気がした。その声音がとても優しくて、あゆたは達成感と心地よい疲労にすとんと眠りへ落ちていった。
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