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20. ある意味父ちゃんと母ちゃん?
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ニコルさんに強制的に魔法で服を着せて、母ちゃん特製のお弁当を持たせてどこかへと旅立っていったニコルさんを家族全員で見送った次の朝。
僕たちは白蛇様のために作ったお社の前にいた。だってあれから卵を放置してるんだよ? 気にならない?
白蛇様の魔力…というかなんというかが今まではあったから気にもしなかったけど、今はお母さん?であるニコルさんがいなくなっちゃったからね…。ごめんよ。
ドキドキとしながらお社の扉を観音開きで開くと、そこにはふかふかの紫色の座布団の上に小さくなった卵が鎮座している。ヒノキの匂いしかしない。よかったー…。
あからさまに僕がほっとしていると、通りがかったサムさんが「ライルじゃないか!」と声をかけてくれた。
「こんにちわ。サムさん」
「ああ、ライルがここに来るなんて珍しいな」
「うん、ちょっと卵が気になって」
素直にそう言えば、サムさんが笑う。
サムさん曰く、このお社は村のみんなが大切にしてくれてるみたいで、気付いた誰かが掃除をしてくれてるらしい。ありがたい。それに取れた作物をお供えしておくと、次の作物はすごくいいものができるらしくそれを知ったみんながお供えをしていくそうだ。そうなんだ。だからここ一ヶ月くらいは畑に関して誰も来なかったのか。
サムさんに取れたてのりんごと栗を貰ってばいばいと手を振る。またもや魔法で籠を作るとそこに貰ったものを入れていく。するとまた通りかかった人に作物を貰う。いつかの帰り道と同じように籠にたくさん作物をもらって、時々交換しながら家に帰ると母ちゃんが「あらあら」と言いながら笑う。その声にローズさんとブリジットさんも顔を出す。
なんとこの二人畑仕事に興味を持ち、今、父ちゃんと兄ちゃんと一緒に土いじりをしている。貴族なのにいいの?ってお兄さんに聞いたら元々興味はあったらしい。特にブリジットさんは軟禁状態で部屋からも出られなかったらしく、身体を動かせるのが楽しいみたい。特にカリムさんは生き生きと首にタオルをかけて鍬を振り下ろしている。
僕よりも様になっている…。
僕はと言えば、未だに鍬さえ持たせてもらえない。なんで。
軍手とかは僕の魔法でぽぽぽんと出せるけど、ドレスしか着てなかったローズさんとかブリジットさんが作業着を着て、髪を纏めて土いじりしている姿を見てちょっと複雑な気持ちになる。けどまぁ、楽しそうならいっか。ちなみにブリジットさん付きの侍女さん達もきゃあきゃあと黄色い声をあげながらおっかなびっくりしながら土を弄ってる。こっちはバジル兄ちゃんが教えてるみたい。と、いうことは黄色い声はそれだけじゃないんだな。
「卵の様子はどうだったんだい?」
「うん、みんなに愛されてた」
キッチンまで籠を運んでからお兄さんに「ね?」と問えば「ああ」と返される。
「アップルパイにするか栗きんとんにするか…」と悩む母ちゃんに「クリキントン?」と首を傾げるお兄さんにくふくふと笑っていると、ばたばたと誰かが走ってきた音がする。
「ライ…! ライル! いるか?!」
「いるよー! どうしたの?」
返事をしながら僕がぱたぱたと玄関まで走っていくと、風魔法で飛んできたらしいランディさんが僕の姿を見ると「オヤシロ! 卵が!」と興奮気味に話す。
お社? 卵?
さっき見てきたばっかだよ?と首を傾げると「とにかく来てくれ!」と告げると再び風魔法で飛んでいく。後ろから付いてきたお兄さんと顔を見合わせてから「ちょっと出てくるー!」と言ってからお兄さんと僕に風魔法を使う。そして若干急ぎながらお社まで戻るとそこには人だかりができていた。
あ、もしかしてみんなお供えするために来てたのかな?
「ど、どうしたの?」
「あ! ライル!」
「これこれ!」
そう言われながら人だかりが割れると、お社の中から光が漏れている。なにこれ?!
慌てて扉を開くと、びかー!っと光が強くなる。
うおおおおお! 目が! 目がぁ!
その光にちょっとした悲鳴やうめき声が聞こえる。目を閉じてても瞼の裏まで焼いてくる光はもはや攻撃に近い。うわああああん! 目が痛いよー!
すると誰かにぎゅうと抱き締められた感覚がした。ふわりと香るそれがお兄さんだと気付いてしがみつき、ぎゅうっと目を閉じる。しばらくするとお兄さんがぽんぽんと背中を叩いてくれた。どうやら光は収まったようだ。
な、なんだったの? あの光…。
まだ目がちかちかしてるー。
ゆっくりと瞼を持ち上げていくとお兄さんの服が目に入った。それにほっとすると「大丈夫か?」と声をかけられた。
「だい…じょうぶ」
「よかった」
にこりと笑うお兄さんに、ふへっと力なく僕も笑うとざわざわとざわめきが戻ってきた。
恐る恐るお兄さんの身体からお社を見れば、光はなくなってはいたがまだちょびっと発光してる。
緑と青が混ざったパライバトルマリン色の光。
んんんんん?!
その光僕見たことあるぞ?!
「この色…」
「やっぱり…そうだよね?」
緑は僕の魔力、青色はお兄さんの魔力。それが混ざった色。
そう、あの治癒魔法をかけてて色が変わったやつ。ええー、どういうことー?
それより大丈夫なのかな?とそっと座布団を持ち上げ卵を太陽の下に出してみると、またもやびかー!と光り出す。
うあああああああ! やめて! 目があああぁぁぁぁっ!
けど今度は数秒。目をちかちかさせながら僕はその場にしゃがんで膝の上に座布団を置く。ヤバイ。あの光をまた発光させたら目が持たない!
と、言うわけでここにいる全員分のサングラスを用意いたしました。それを配ってつけてもらう。これなら多少の光は遮れる…はず!
ごくりと全員が息を飲みながら僕はそうっと卵を手にすると再び、びかー!びかー!と短く発光する卵。
だが今はサングラスでその光が遮られている為、先程よりも幾分か目に優しい。
「どうしたんだろう?」
「うーん…分からないな…何か言いたいのかな?」
お兄さんの言葉にそう返せば、びかー!びかー!と光る。あ、何か訴えてるのか。
すると通りかかった人がびくりと身体を震わせている。あ、今ここにいる全員がサングラスかけてるからね。ビックリするよね。
とりあえず僕はその場に座って卵を元の姿に戻す為、そこにいた人たちに少し離れてもらう。お兄さんは何があってもいいように僕の側にいてくれる。
スモールの魔法を解除して元に戻していくと。卵ががたがたと暴れだす。
「っと、うわ?!」
「ライル?!」
「な、何?! どうしたの?!」
「分からない。が、何か暴れまわっているようだ」
中の子が暴れまわってるってこと?! 何?! どうしたの?!
がたがたと卵が縦横無尽に動き出し、それを押さえている僕とお兄さん。けど中の子が暴れる力が強くて抑えきれない、と思った瞬間。
ピシリ。
卵から音が聞こえてひびが入る。
これって…!
それに気付いたお兄さんもこくりと頷くと、押さえていた力を支える力へと変えるとパキパキという音が大きくなる。
そして…。
「産まれたああぁっ!」
にょろーん!とまるでビックリ箱のように飛び出してきた子を全員の視線が追う。そして、びたんっ!と華麗に着地すると「フシュルルル」と舌をチロチロとさせながら僕を見ている。
じっと見つめてくる紅い瞳と白い身体はニコルさんそっくりで。でもその身体には所々金色が混ざっている不思議な色をしている。
「え…と?」
「ライル、大丈夫か?」
ぽかんと見つめている僕をお兄さんが手を貸してくれる。それを掴んで立ち上がると、ミニ白蛇様が突進してきた。
ひょわ?! 怖い!
ミニと言っても既に3Mくらいの蛇なんだよ! そんなのが向かってきたら怖いでしょ?
「ライル!」
「お兄さん!」
僕を背中にかばってくれたお兄さんにしがみつくと、べしょっとお兄さんの顔にダイブするミニ白蛇様。そしてそのままシュルルとお兄さんの腕に巻き付く。そして顔は僕へ。
あ、うん? どうしたの?
「えっと…?」
いまいちよく分らない行動に、僕もお兄さんも首を傾げる。顔にダイブされたお兄さんは鼻を擦っているのは強く打ったからなんだろうな…。後で治癒魔法かけておこう。
すると、僕とお兄さんを交互に見るミニ白蛇様。んん? もしかして。
「お父さんとお母さんってこと?」
指で僕とお兄さんを交互に差しながらそう言えば、ミニ白蛇様が僕に巻き付いてくる。うおおおお! 怖い! このままぐるぐる回転しないよね?!
「ライ! 小さくできないか?!」
はっ! このまま全身の骨を砕かれんじゃないかと言う恐怖でいっぱいだったけど、そうか! 小さくしちゃえばいいのか!
と言うわけで「スモール!」と叫ぶ。するとしゅるしゅると縮むミニ白蛇様。その姿は15cmくらいの小さな姿へと変わった。
ビックリした…流石に命の危機を感じた…。
はぅ、と息を吐きお兄さんに身体を起こされて土を払うと、ミニ白蛇様が僕の頭にちょこんと乗っている。
「あら! またずいぶんと可愛らしい」
「あ、サツマイモ食うか?」
えへんと頭を擡げているミニ白蛇様の可愛らしさにみんなめろめろになったようだ。でも僕の頭の上でもの食べさせるのはやめてね。
心行くまでたらふく食べたミニ白蛇様がお腹をぱんぱんにして転がっている。ニコルさんと一緒だ。それにくすくすと笑うと、とりあえず父ちゃんに報告をしようと家に帰ることにした。
そこにいた人たちに手を振って別れる。サングラスはみんなに持っててもらう。日差しが強いときにそれ使ってね!
「というわけである意味僕たちの子供が生まれた」
「…………」
「ライル、言い方」
ミニ白蛇様を連れて帰ってリビングのテーブルの上に乗せて皆にお披露目。ふんすふんすと頭を擡げて主張するミニ白蛇様にほぼ全員の視線がある。
だから僕のボケにも反応したのはお兄さんだけだった。侍女さん達は大丈夫なのかな?と思ってたけど意外と平気みたい。流石だ。
「たぶん僕とお兄さんの魔力で育ったから僕たちを両親だと思い込んでるみたい」
「そうか…お前たちの…」
父ちゃんの言葉に、兄ちゃんずの表情が複雑になってる。言い方はあれだけど本当のことだからね。
「それでこの子はどうするのですか?」
鼻先?を突っついて遊んでいたローズさんが父ちゃんに問えば「飼うしかあるまい」と告げる。まぁ今は魔法で小さくしてるけど、元は大蛇だからなぁ…。
「あ、そうだ。殻はどうすればいいの?」
「ああ。あれはいい素材になる」
「そうなんだ」
「中身が入っていなきゃただのDクラス素材だからな」
「へぇー」
一応持ってきてよかったのかな? はい、と父ちゃんに殻を渡すと「いいガラス素材になる」と言っていた。
また何か作るのかな?
ミニ白蛇様が孵化して二週間。そろそろかなー?なんて思っていたらやっぱり来たよ。
「団長、ローレンスの隊が来ました」
ユリウス兄ちゃんの報告に、全員が「ようやくか」と言う表情を浮かべる。
こっちは待っていたのになかなか来ないから心配したよね…。
さぁ、ローレンスをお出迎えしようか。
僕たちは白蛇様のために作ったお社の前にいた。だってあれから卵を放置してるんだよ? 気にならない?
白蛇様の魔力…というかなんというかが今まではあったから気にもしなかったけど、今はお母さん?であるニコルさんがいなくなっちゃったからね…。ごめんよ。
ドキドキとしながらお社の扉を観音開きで開くと、そこにはふかふかの紫色の座布団の上に小さくなった卵が鎮座している。ヒノキの匂いしかしない。よかったー…。
あからさまに僕がほっとしていると、通りがかったサムさんが「ライルじゃないか!」と声をかけてくれた。
「こんにちわ。サムさん」
「ああ、ライルがここに来るなんて珍しいな」
「うん、ちょっと卵が気になって」
素直にそう言えば、サムさんが笑う。
サムさん曰く、このお社は村のみんなが大切にしてくれてるみたいで、気付いた誰かが掃除をしてくれてるらしい。ありがたい。それに取れた作物をお供えしておくと、次の作物はすごくいいものができるらしくそれを知ったみんながお供えをしていくそうだ。そうなんだ。だからここ一ヶ月くらいは畑に関して誰も来なかったのか。
サムさんに取れたてのりんごと栗を貰ってばいばいと手を振る。またもや魔法で籠を作るとそこに貰ったものを入れていく。するとまた通りかかった人に作物を貰う。いつかの帰り道と同じように籠にたくさん作物をもらって、時々交換しながら家に帰ると母ちゃんが「あらあら」と言いながら笑う。その声にローズさんとブリジットさんも顔を出す。
なんとこの二人畑仕事に興味を持ち、今、父ちゃんと兄ちゃんと一緒に土いじりをしている。貴族なのにいいの?ってお兄さんに聞いたら元々興味はあったらしい。特にブリジットさんは軟禁状態で部屋からも出られなかったらしく、身体を動かせるのが楽しいみたい。特にカリムさんは生き生きと首にタオルをかけて鍬を振り下ろしている。
僕よりも様になっている…。
僕はと言えば、未だに鍬さえ持たせてもらえない。なんで。
軍手とかは僕の魔法でぽぽぽんと出せるけど、ドレスしか着てなかったローズさんとかブリジットさんが作業着を着て、髪を纏めて土いじりしている姿を見てちょっと複雑な気持ちになる。けどまぁ、楽しそうならいっか。ちなみにブリジットさん付きの侍女さん達もきゃあきゃあと黄色い声をあげながらおっかなびっくりしながら土を弄ってる。こっちはバジル兄ちゃんが教えてるみたい。と、いうことは黄色い声はそれだけじゃないんだな。
「卵の様子はどうだったんだい?」
「うん、みんなに愛されてた」
キッチンまで籠を運んでからお兄さんに「ね?」と問えば「ああ」と返される。
「アップルパイにするか栗きんとんにするか…」と悩む母ちゃんに「クリキントン?」と首を傾げるお兄さんにくふくふと笑っていると、ばたばたと誰かが走ってきた音がする。
「ライ…! ライル! いるか?!」
「いるよー! どうしたの?」
返事をしながら僕がぱたぱたと玄関まで走っていくと、風魔法で飛んできたらしいランディさんが僕の姿を見ると「オヤシロ! 卵が!」と興奮気味に話す。
お社? 卵?
さっき見てきたばっかだよ?と首を傾げると「とにかく来てくれ!」と告げると再び風魔法で飛んでいく。後ろから付いてきたお兄さんと顔を見合わせてから「ちょっと出てくるー!」と言ってからお兄さんと僕に風魔法を使う。そして若干急ぎながらお社まで戻るとそこには人だかりができていた。
あ、もしかしてみんなお供えするために来てたのかな?
「ど、どうしたの?」
「あ! ライル!」
「これこれ!」
そう言われながら人だかりが割れると、お社の中から光が漏れている。なにこれ?!
慌てて扉を開くと、びかー!っと光が強くなる。
うおおおおお! 目が! 目がぁ!
その光にちょっとした悲鳴やうめき声が聞こえる。目を閉じてても瞼の裏まで焼いてくる光はもはや攻撃に近い。うわああああん! 目が痛いよー!
すると誰かにぎゅうと抱き締められた感覚がした。ふわりと香るそれがお兄さんだと気付いてしがみつき、ぎゅうっと目を閉じる。しばらくするとお兄さんがぽんぽんと背中を叩いてくれた。どうやら光は収まったようだ。
な、なんだったの? あの光…。
まだ目がちかちかしてるー。
ゆっくりと瞼を持ち上げていくとお兄さんの服が目に入った。それにほっとすると「大丈夫か?」と声をかけられた。
「だい…じょうぶ」
「よかった」
にこりと笑うお兄さんに、ふへっと力なく僕も笑うとざわざわとざわめきが戻ってきた。
恐る恐るお兄さんの身体からお社を見れば、光はなくなってはいたがまだちょびっと発光してる。
緑と青が混ざったパライバトルマリン色の光。
んんんんん?!
その光僕見たことあるぞ?!
「この色…」
「やっぱり…そうだよね?」
緑は僕の魔力、青色はお兄さんの魔力。それが混ざった色。
そう、あの治癒魔法をかけてて色が変わったやつ。ええー、どういうことー?
それより大丈夫なのかな?とそっと座布団を持ち上げ卵を太陽の下に出してみると、またもやびかー!と光り出す。
うあああああああ! やめて! 目があああぁぁぁぁっ!
けど今度は数秒。目をちかちかさせながら僕はその場にしゃがんで膝の上に座布団を置く。ヤバイ。あの光をまた発光させたら目が持たない!
と、言うわけでここにいる全員分のサングラスを用意いたしました。それを配ってつけてもらう。これなら多少の光は遮れる…はず!
ごくりと全員が息を飲みながら僕はそうっと卵を手にすると再び、びかー!びかー!と短く発光する卵。
だが今はサングラスでその光が遮られている為、先程よりも幾分か目に優しい。
「どうしたんだろう?」
「うーん…分からないな…何か言いたいのかな?」
お兄さんの言葉にそう返せば、びかー!びかー!と光る。あ、何か訴えてるのか。
すると通りかかった人がびくりと身体を震わせている。あ、今ここにいる全員がサングラスかけてるからね。ビックリするよね。
とりあえず僕はその場に座って卵を元の姿に戻す為、そこにいた人たちに少し離れてもらう。お兄さんは何があってもいいように僕の側にいてくれる。
スモールの魔法を解除して元に戻していくと。卵ががたがたと暴れだす。
「っと、うわ?!」
「ライル?!」
「な、何?! どうしたの?!」
「分からない。が、何か暴れまわっているようだ」
中の子が暴れまわってるってこと?! 何?! どうしたの?!
がたがたと卵が縦横無尽に動き出し、それを押さえている僕とお兄さん。けど中の子が暴れる力が強くて抑えきれない、と思った瞬間。
ピシリ。
卵から音が聞こえてひびが入る。
これって…!
それに気付いたお兄さんもこくりと頷くと、押さえていた力を支える力へと変えるとパキパキという音が大きくなる。
そして…。
「産まれたああぁっ!」
にょろーん!とまるでビックリ箱のように飛び出してきた子を全員の視線が追う。そして、びたんっ!と華麗に着地すると「フシュルルル」と舌をチロチロとさせながら僕を見ている。
じっと見つめてくる紅い瞳と白い身体はニコルさんそっくりで。でもその身体には所々金色が混ざっている不思議な色をしている。
「え…と?」
「ライル、大丈夫か?」
ぽかんと見つめている僕をお兄さんが手を貸してくれる。それを掴んで立ち上がると、ミニ白蛇様が突進してきた。
ひょわ?! 怖い!
ミニと言っても既に3Mくらいの蛇なんだよ! そんなのが向かってきたら怖いでしょ?
「ライル!」
「お兄さん!」
僕を背中にかばってくれたお兄さんにしがみつくと、べしょっとお兄さんの顔にダイブするミニ白蛇様。そしてそのままシュルルとお兄さんの腕に巻き付く。そして顔は僕へ。
あ、うん? どうしたの?
「えっと…?」
いまいちよく分らない行動に、僕もお兄さんも首を傾げる。顔にダイブされたお兄さんは鼻を擦っているのは強く打ったからなんだろうな…。後で治癒魔法かけておこう。
すると、僕とお兄さんを交互に見るミニ白蛇様。んん? もしかして。
「お父さんとお母さんってこと?」
指で僕とお兄さんを交互に差しながらそう言えば、ミニ白蛇様が僕に巻き付いてくる。うおおおお! 怖い! このままぐるぐる回転しないよね?!
「ライ! 小さくできないか?!」
はっ! このまま全身の骨を砕かれんじゃないかと言う恐怖でいっぱいだったけど、そうか! 小さくしちゃえばいいのか!
と言うわけで「スモール!」と叫ぶ。するとしゅるしゅると縮むミニ白蛇様。その姿は15cmくらいの小さな姿へと変わった。
ビックリした…流石に命の危機を感じた…。
はぅ、と息を吐きお兄さんに身体を起こされて土を払うと、ミニ白蛇様が僕の頭にちょこんと乗っている。
「あら! またずいぶんと可愛らしい」
「あ、サツマイモ食うか?」
えへんと頭を擡げているミニ白蛇様の可愛らしさにみんなめろめろになったようだ。でも僕の頭の上でもの食べさせるのはやめてね。
心行くまでたらふく食べたミニ白蛇様がお腹をぱんぱんにして転がっている。ニコルさんと一緒だ。それにくすくすと笑うと、とりあえず父ちゃんに報告をしようと家に帰ることにした。
そこにいた人たちに手を振って別れる。サングラスはみんなに持っててもらう。日差しが強いときにそれ使ってね!
「というわけである意味僕たちの子供が生まれた」
「…………」
「ライル、言い方」
ミニ白蛇様を連れて帰ってリビングのテーブルの上に乗せて皆にお披露目。ふんすふんすと頭を擡げて主張するミニ白蛇様にほぼ全員の視線がある。
だから僕のボケにも反応したのはお兄さんだけだった。侍女さん達は大丈夫なのかな?と思ってたけど意外と平気みたい。流石だ。
「たぶん僕とお兄さんの魔力で育ったから僕たちを両親だと思い込んでるみたい」
「そうか…お前たちの…」
父ちゃんの言葉に、兄ちゃんずの表情が複雑になってる。言い方はあれだけど本当のことだからね。
「それでこの子はどうするのですか?」
鼻先?を突っついて遊んでいたローズさんが父ちゃんに問えば「飼うしかあるまい」と告げる。まぁ今は魔法で小さくしてるけど、元は大蛇だからなぁ…。
「あ、そうだ。殻はどうすればいいの?」
「ああ。あれはいい素材になる」
「そうなんだ」
「中身が入っていなきゃただのDクラス素材だからな」
「へぇー」
一応持ってきてよかったのかな? はい、と父ちゃんに殻を渡すと「いいガラス素材になる」と言っていた。
また何か作るのかな?
ミニ白蛇様が孵化して二週間。そろそろかなー?なんて思っていたらやっぱり来たよ。
「団長、ローレンスの隊が来ました」
ユリウス兄ちゃんの報告に、全員が「ようやくか」と言う表情を浮かべる。
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古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
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