【完結】生贄にされた第九皇子、邪神に見込まれて最強の使徒になる。

アキ・スマイリー

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第20話 戦闘狂。

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 ジョアンの魂をベルが保護していると言う話を聞いて、僕のテンションはマックスだった。

 ベルの魔法【空間旅行】でゴブリンの王国へ転移すると、僕は手当たり次第にゴブリン達を撲殺した。

 地面に叩きつけ、壁に蹴り飛ばし、頭を潰し、顔を弾き飛ばし、心臓を貫く。

「ハハッ! まだまだ暴れ足りない! どんどん来い! 何千匹でも何万匹でも、相手になってやる!」

 僕はスキル【戦闘狂】を使っていた。周囲の動きがゆっくりに見え、体が軽い。痛みも感じない。脳内麻薬がバンバン出て、最高に「ハイ」ッて奴だッ!

「オオオオラァッ!」

 僕はゴブリンの棲家らしい木造建築物を土台から引っこ抜いて持ち上げた。そしてブンッと前方に思いっきり投げた。

 ズドズドズドズドズトズドォォォンッ!

 木造建築物は前方の建物達を全て破壊しながら突き進んでいき、王城にぶち当たって砕け散る。

 僕の能力は、どんなモノも武器として扱え、その「性能」をアップさせる。つまり、そう言う事だ。

 僕は手当たり次第に家などを引っこ抜き、ブン投げて行く。響き渡るゴブリンの悲鳴。この体では【千里眼】が使えないので詳細はわからないが、かなりの数のゴブリンを始末出来た筈だ。

「うん、随分見晴らしが良くなった!」

 僕は腰に両手を当て、すっかり障害物がなくなったゴブリン王国を見回した。

 険しい岩山の中腹に位置するゴブリンの王国は、少し大きな人間の町程度の規模。遠くを見ると、大きな城が見える。

「あそこにゴブリンの王様、ゴブリンロードがいるんだね」

「ああ、おそらくな。この王国は、おそらく人間から奪ったものだろう。ゴブリンは武器を作るのは得意だが、それ以外は苦手だ。特に、美しいものは作れない。衣服などもボロいだろう?」

 僕の問いに、ベルはそう答えた。

「うん、確かに汚い身なりをしてるよね。そしてこの王国が生まれる際にも、沢山の人々を虐殺し、町を奪ったんだ。まったく、忌々しい連中だよ。一匹たりとも、逃しはしない。皆殺しだ」

 僕は言葉の重さとは裏腹に、笑みを浮かべていた。殺戮と戦闘を、心から楽しんでいる。それを異常だと思う自分もどこかには存在するが、基本的には正常だとかんじていた。これが【戦闘狂】の効果なのだろう。

「【戦闘狂】はあまり長くは持たない。少し急いだ方がいいだろう」

「そうだね。捕まっている女の子達も、早く解放してあげなきゃ」

 遠くに見える王城の二階に、誘拐された村の娘達が囚われている。それは「考察特化型」の時に、【千里眼】で調査済だ。

 彼女達は奇跡的に五体満足だった。ほとんどのゴブリンは、人間の女性を捕らえるとその肉体を痛めつける。そして逃げられないように四肢を切断してしまうのだ。

 だが、どうやらこの王国に捕らえられた女性達は、ゴブリンロードが独占しているらしい。奴は女性を痛めつけるのは趣味ではないようだ。

「待ってろよゴブリンロード! お前の兵隊を、全て虐殺してやる! そして最後はお前だ!」

 僕はゴブリンを見逃さないように目を光らせながら、王城に向かって猛然と走った。
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