27 / 33
第27話 技を思い出しました。
しおりを挟む
今僕がいるのは雲の上。伝説の邪竜ダラギオンの両翼と背中が見える位置だ。
後はこのまま落ちていって、奴を仕留めるだけ。
ダラギオンの伝説は僕も聞いた事がある。自分の所有していた宝を冒険者に盗まれた事で激怒し、王国二つを壊滅させたらしい。
確かに恐ろしい奴だ。だけど関係ない。敵が強ければ強いほど、僕は興奮する。
そして思い出した。僕の編み出した戦闘技術「魔武技」の一つを。
「魔破拳!」
僕は技の名を叫んだ。すると奴の背中に巨大な目玉がギョロリと出現した。なるほど、死角はないと言うわけか。技の名前を叫んだ事で気づいたようだが、後悔はない。
技名を叫ぶのは男のロマン! って昔誰かが言ってたような気がするし。まぁ、今の僕は女だけど。
とにかく、奴が気づいた所でもう遅い。僕の技は放たれた。大気中と体内、両方の魔素を魔力に変換して拳に乗せ、前方に突き出すと共に一気に放つ技。
相手に触れようが触れまいが、筋肉、骨、さらには体内のあらゆる内臓をも、破裂させて死に至らしめる。
「グオオオオオッ!」
ダラギオンは咆哮した。最後の足掻きで、僕に攻撃するつもりだ。相手が巨大である場合、死ぬまで多少時間がかかる場合がある。
『魔人のメスか! 俺に魔素爆発を起こさせる気だな! だがそうはいかんぞ! お前の力を奪ってやる!』
ダラギオンが怒りのこもった声でそう言った直後、ビュアアアッ! と無数の触手を僕を目掛けて伸ばして来た。
まだ距離はあるけど、数秒すれば僕を捕らえるかも知れない。
「おい、コレはまずいぞリオン! お前の処女が危ない!」
ベルが叫ぶ。
「え? 処女って何?」
初めて聞く言葉だ。
「ああもう! そこを説明してる暇はない! とにかく避けろ! 奴はあの触手でお前の精気と魔素を吸い取り、自己再生して生きながらえるつもりだ! ちなみに俺の魔法には期待するな! ここまでの移動で魔力切れだ!」
「でもボク、落ちて行くだけだから避けられないよ」
「ああそうか! じゃあ切り裂くとか破壊するとか、何かあるだろう!」
「今思い出した技は、さっきの魔破拳だけなんだ。だから打撃で弱らせるか、引きちぎるしかないね」
「打撃はおそらく効かん! 引きちぎれ!」
「わかった!」
触手達が僕のすぐそばまで伸びて来た。僕はそのうちの数本をワシッとつかみ取り、引きちぎろうと試みる。
「なんかヌルヌルしてて無理! うわ、何これ、ちょッ! ひゃああッ!」
大量の触手が一斉に僕の手足を絡めとる。そして服の中へと侵入し、ニュルニュルと全身を這い回った。
「ふにぃッ! くすぐった、あっ、何、だめ、それダメ、なんか変ッ、ダメ、らめぇッ!」
這いずり回る触手。気持ち悪いはずなのに、何くすぐったいような、それどころかすごく気持ちいいような、変な感じだ。それに、頭がボーッとして呂律が回らない。
気持ちいい......。
「くそ、触手のヌルヌルは媚薬を分泌しているんだ! しっかりしろリオン! 力を奪われるぞ! 奴が生き延びれば、お前は食われて死ぬ!」
「しょんな事、言ったってぇ......」
『クククッ! 所詮はメスよ』
僕の体は落下をやめ、今やダラギオンの触手に全身を絡め取られて宙に持ち上げられていた。そしてパンツの中に侵入していた触手達が、何やら怪し気な動きを取る。
『トドメだ』
「リオン!」
ベルの悲痛な声。僕は、死ぬのか......。せっかくジョアンと再会出来たのに......。
そうだ、ジョアン! ジョアンに会いたい! 抱きしめられたい! だから僕は、死ねない!
「うおおおッ!」
パンツの中の触手を強引に引き抜き、ブチブチと引きちぎる。
『何ィッ! 何故掴めた!』
驚愕するダラギオン。
「知るか! 気合いだ、こんなの!」
僕は絡みついていた触手を次々と引きちぎって行く。
「いいぞリオン!」
喜ぶベル。
「さぁ、ダラギオン。ボクの力を奪えなかった以上、お前の命も後わずかだな!」
『クッ! ふざけるな! 考えて見れば、俺に貴様の技ごときが通用する筈もない! 見ろ、俺はピンピンしている! このまま振り落として、空中でブレスをお見舞いしてやるわ!』
ダラギオンは背中を振り返り、威嚇する様に歯を見せる。歯の隙間から、炎が噴き出す。
「ああ、言い間違えたよ。お前はもう、死んでる」
そう捨て台詞を残し、僕はダラギオンの背中から跳んだ。
『バカめ! 格好の餌食だ! 死ねぇ!』
スゥッと息を吸い込むダラギオン。だが。
『バッ、ガッ、ナァァァァァッ!』
空中で爆散し、肉片や血を撒き散らした。この質量が落下したら、地上の建築物は跡形もなくなるだろう。
でも、心配はしていない。ジョアンがいるから、きっと大丈夫だ。
僕は愛すべき相棒の笑顔を思い浮かべながら、自由落下に身を任せた。
後はこのまま落ちていって、奴を仕留めるだけ。
ダラギオンの伝説は僕も聞いた事がある。自分の所有していた宝を冒険者に盗まれた事で激怒し、王国二つを壊滅させたらしい。
確かに恐ろしい奴だ。だけど関係ない。敵が強ければ強いほど、僕は興奮する。
そして思い出した。僕の編み出した戦闘技術「魔武技」の一つを。
「魔破拳!」
僕は技の名を叫んだ。すると奴の背中に巨大な目玉がギョロリと出現した。なるほど、死角はないと言うわけか。技の名前を叫んだ事で気づいたようだが、後悔はない。
技名を叫ぶのは男のロマン! って昔誰かが言ってたような気がするし。まぁ、今の僕は女だけど。
とにかく、奴が気づいた所でもう遅い。僕の技は放たれた。大気中と体内、両方の魔素を魔力に変換して拳に乗せ、前方に突き出すと共に一気に放つ技。
相手に触れようが触れまいが、筋肉、骨、さらには体内のあらゆる内臓をも、破裂させて死に至らしめる。
「グオオオオオッ!」
ダラギオンは咆哮した。最後の足掻きで、僕に攻撃するつもりだ。相手が巨大である場合、死ぬまで多少時間がかかる場合がある。
『魔人のメスか! 俺に魔素爆発を起こさせる気だな! だがそうはいかんぞ! お前の力を奪ってやる!』
ダラギオンが怒りのこもった声でそう言った直後、ビュアアアッ! と無数の触手を僕を目掛けて伸ばして来た。
まだ距離はあるけど、数秒すれば僕を捕らえるかも知れない。
「おい、コレはまずいぞリオン! お前の処女が危ない!」
ベルが叫ぶ。
「え? 処女って何?」
初めて聞く言葉だ。
「ああもう! そこを説明してる暇はない! とにかく避けろ! 奴はあの触手でお前の精気と魔素を吸い取り、自己再生して生きながらえるつもりだ! ちなみに俺の魔法には期待するな! ここまでの移動で魔力切れだ!」
「でもボク、落ちて行くだけだから避けられないよ」
「ああそうか! じゃあ切り裂くとか破壊するとか、何かあるだろう!」
「今思い出した技は、さっきの魔破拳だけなんだ。だから打撃で弱らせるか、引きちぎるしかないね」
「打撃はおそらく効かん! 引きちぎれ!」
「わかった!」
触手達が僕のすぐそばまで伸びて来た。僕はそのうちの数本をワシッとつかみ取り、引きちぎろうと試みる。
「なんかヌルヌルしてて無理! うわ、何これ、ちょッ! ひゃああッ!」
大量の触手が一斉に僕の手足を絡めとる。そして服の中へと侵入し、ニュルニュルと全身を這い回った。
「ふにぃッ! くすぐった、あっ、何、だめ、それダメ、なんか変ッ、ダメ、らめぇッ!」
這いずり回る触手。気持ち悪いはずなのに、何くすぐったいような、それどころかすごく気持ちいいような、変な感じだ。それに、頭がボーッとして呂律が回らない。
気持ちいい......。
「くそ、触手のヌルヌルは媚薬を分泌しているんだ! しっかりしろリオン! 力を奪われるぞ! 奴が生き延びれば、お前は食われて死ぬ!」
「しょんな事、言ったってぇ......」
『クククッ! 所詮はメスよ』
僕の体は落下をやめ、今やダラギオンの触手に全身を絡め取られて宙に持ち上げられていた。そしてパンツの中に侵入していた触手達が、何やら怪し気な動きを取る。
『トドメだ』
「リオン!」
ベルの悲痛な声。僕は、死ぬのか......。せっかくジョアンと再会出来たのに......。
そうだ、ジョアン! ジョアンに会いたい! 抱きしめられたい! だから僕は、死ねない!
「うおおおッ!」
パンツの中の触手を強引に引き抜き、ブチブチと引きちぎる。
『何ィッ! 何故掴めた!』
驚愕するダラギオン。
「知るか! 気合いだ、こんなの!」
僕は絡みついていた触手を次々と引きちぎって行く。
「いいぞリオン!」
喜ぶベル。
「さぁ、ダラギオン。ボクの力を奪えなかった以上、お前の命も後わずかだな!」
『クッ! ふざけるな! 考えて見れば、俺に貴様の技ごときが通用する筈もない! 見ろ、俺はピンピンしている! このまま振り落として、空中でブレスをお見舞いしてやるわ!』
ダラギオンは背中を振り返り、威嚇する様に歯を見せる。歯の隙間から、炎が噴き出す。
「ああ、言い間違えたよ。お前はもう、死んでる」
そう捨て台詞を残し、僕はダラギオンの背中から跳んだ。
『バカめ! 格好の餌食だ! 死ねぇ!』
スゥッと息を吸い込むダラギオン。だが。
『バッ、ガッ、ナァァァァァッ!』
空中で爆散し、肉片や血を撒き散らした。この質量が落下したら、地上の建築物は跡形もなくなるだろう。
でも、心配はしていない。ジョアンがいるから、きっと大丈夫だ。
僕は愛すべき相棒の笑顔を思い浮かべながら、自由落下に身を任せた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
「お前の代わりはいる」と追放された俺の【万物鑑定】は、実は世界の真実を見抜く【真理の瞳】でした。最高の仲間と辺境で理想郷を創ります
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の代わりはいくらでもいる。もう用済みだ」――勇者パーティーで【万物鑑定】のスキルを持つリアムは、戦闘に役立たないという理由で装備も金もすべて奪われ追放された。
しかし仲間たちは知らなかった。彼のスキルが、物の価値から人の秘めたる才能、土地の未来までも見通す超絶チート能力【真理の瞳】であったことを。
絶望の淵で己の力の真価に気づいたリアムは、辺境の寂れた街で再起を決意する。気弱なヒーラー、臆病な獣人の射手……世間から「無能」の烙印を押された者たちに眠る才能の原石を次々と見出し、最高の仲間たちと共にギルド「方舟(アーク)」を設立。彼らが輝ける理想郷をその手で創り上げていく。
一方、有能な鑑定士を失った元パーティーは急速に凋落の一途を辿り……。
これは不遇職と蔑まれた一人の男が最高の仲間と出会い、世界で一番幸福な場所を創り上げる、爽快な逆転成り上がりファンタジー!
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる