30 / 52
フェイの足跡とミントの呪い編。
第30話 俺も、好きです。
しおりを挟む
翌朝。少し飲み過ぎてしまったフェイは頭痛に悩まされていた。中々起きない彼女を、起こしに来るリゼ。
「おはようフェイ。苦しそうだな」
「うん、シャルティアとの話が楽しくて。つい飲み過ぎちゃった。ねぇリゼ姉。白魔法で治せないかな。あ、ほら、あの寝癖直したやつ」
「形状回復か。あれは形状記憶をかけてから、十二時間までしか効果が無い。もう二十時間は経過しているから、元の状態には戻せないぞ」
「ええ~。じゃあ、他に治癒系の魔法ないの?」
「まぁ、あるにはあるが......後は単純に自然治癒力を高めたり、自浄作用を高めたりだ。白魔法があっても医者がいなくならないのは、そう言う訳だ。今、水と頭痛薬を持ってくるから飲め。それで少しは落ち着くだろう」
「ふぁーい」
リゼはそう言って一旦部屋を立ち去り、コップに汲んだ水と薬を持ってやって来た。
「ありがとう」
フェイがそれらを受け取ろうとすると、リゼは悪戯っぽく微笑み、コップの水を口に含んだ。そして驚くフェイの上にまたがる。フェイはまだ、ベッドに寝そべったままだ。
リゼは無言でフェイの口に頭痛薬を入れ、そのまま顔を近づけて来た。
「え!? リゼ姉、まさかこれって......」
フェイの問いに、リゼは微笑んだ。そしてゆっくりとフェイの唇に、自身の唇を重ねる。
「んっ......」
リゼの口から、フェイの口に水が流れ込んでくる。フェイは意識が朦朧としている訳ではないし、本来口移しの必要はない。
つまり、リゼのこの行動の理由は一つ。
「ぷあ......リゼ姉、口移しなんてしなくても......私、意識ははっきりしてるよ」
「ああ、知ってる」
クスクスと笑うリゼ。
「これは私にとって、初めてのキスなんだ。好きな人と、しようと思ってた」
フェイの心臓が、ドクン! と跳ねる。
「わ、私も、初めてだよ。好きな人と、しようと思ってた」
ドッドッドッドッドッドッ! フェイの頭の中で、心臓の音が響く。
「ねぇ、それって......」
二人同時に、同じ言葉が重なった。リゼとフェイはアハハと笑い、「せーの」と合図した。
「君が好きだ」
またしても、ハモる。だが、フェイには一つ疑問があった。
「リゼが好きなのはフェイ? それとも、フェレル?」
「ああ、それはやっぱり気になるだろうな」
リゼは悪戯っぽく笑う。
「どっちだと、思う?」
そう言いながら、フェイの頬にキスをするリゼ。
「フェレルだったらいいな、って思うけど」
少し不安そうに、フェイは答えた。
「じゃあ、フェレルに戻って。そしたら答えを教えてあげる」
「うん」
フェイは言われた通り、フェレルの姿へと戻った。緑色の髪と瞳をした、美しい青年の姿だ。
「素敵だよ、フェレル」
「フェレル君、じゃないんだね」
「ああ。君と距離を縮めたいんだ。だって私は、何年も前からずっと君が好きだった。君の家のパンを買う時、店の手伝いをする君を見るのが好きだった。ずっと、片思いだったんだ」
ほう、と切なそうに溜息を吐いて、リゼはフェレルと唇を重ねた。
「やっと言えた。君が好きだ。愛してる」
「嬉しいよリゼ。だけど、そんな前から俺を見ていてくれていたなんて、気づかなくて。でもね、俺も君が好きだよ。うまく言えないけど......君が俺を憲兵にスカウトに来たあの日。頭に雷が落ちたみたいに、君を好きになった。この仕事についたのも、正義感だけじゃない。半分は君を好きだからだ。君の力になりたいって、そう思ったからなんだ。この気持ちに嘘はない。一緒にいる時間が増えて、もっともっと好きになったよ。リゼ、俺も君を、愛してる」
「嬉しい......! フェレル!」
「リゼ!」
二人は抱き合い、ベッドの上で何度もキスをした。しばらくして、時計の時間にハッとする。
「いかん! そろそろ着替えて仕事に向かわねば」
リゼがガバッと起き上がる。
「待ってリゼ。俺、今日は休みをもらいたいんだ」
フェレルの申告に、リゼは真顔になる。
「そうか。もちろん構わないぞ。さてはシャルティアから、何か有益な情報を引き出したのだな」
「うん、そうなんだ」
フェレルは頷く。
「フェイが失踪した時の経緯や状況が分かった。もしかしたら、彼女を見つけられるかも知れない」
正直な所、フェイの生死は不明だ。だが、死んでいる可能性は高い。それでもフェレルは、彼女の生存を諦めてはいなかった。
その強い眼差しに、リゼも頷く。そしてフェレルの両手を、包むように握った。
「妹をよろしく頼む、フェレル」
「うん。必ず見つけ出して、リゼに会わせるよ」
見つめ合う二人。
「朝食はどうする?」
「いや、俺は大丈夫。もう出かけるよ。リゼも急いだ方がいいかも。いっぱいイチャイチャしちゃったからね」
「ふふっ、そうだな」
微笑むリゼ。フェレルはその唇にキスをし、彼女に手を振った。
「じゃあ、行って来ます」
「うん。行ってらっしゃい。気をつけて」
リゼはそう言って見送ったが、立ち去ろうとするフェレルの手を引き、もう一度キスをしたのだった。
「おはようフェイ。苦しそうだな」
「うん、シャルティアとの話が楽しくて。つい飲み過ぎちゃった。ねぇリゼ姉。白魔法で治せないかな。あ、ほら、あの寝癖直したやつ」
「形状回復か。あれは形状記憶をかけてから、十二時間までしか効果が無い。もう二十時間は経過しているから、元の状態には戻せないぞ」
「ええ~。じゃあ、他に治癒系の魔法ないの?」
「まぁ、あるにはあるが......後は単純に自然治癒力を高めたり、自浄作用を高めたりだ。白魔法があっても医者がいなくならないのは、そう言う訳だ。今、水と頭痛薬を持ってくるから飲め。それで少しは落ち着くだろう」
「ふぁーい」
リゼはそう言って一旦部屋を立ち去り、コップに汲んだ水と薬を持ってやって来た。
「ありがとう」
フェイがそれらを受け取ろうとすると、リゼは悪戯っぽく微笑み、コップの水を口に含んだ。そして驚くフェイの上にまたがる。フェイはまだ、ベッドに寝そべったままだ。
リゼは無言でフェイの口に頭痛薬を入れ、そのまま顔を近づけて来た。
「え!? リゼ姉、まさかこれって......」
フェイの問いに、リゼは微笑んだ。そしてゆっくりとフェイの唇に、自身の唇を重ねる。
「んっ......」
リゼの口から、フェイの口に水が流れ込んでくる。フェイは意識が朦朧としている訳ではないし、本来口移しの必要はない。
つまり、リゼのこの行動の理由は一つ。
「ぷあ......リゼ姉、口移しなんてしなくても......私、意識ははっきりしてるよ」
「ああ、知ってる」
クスクスと笑うリゼ。
「これは私にとって、初めてのキスなんだ。好きな人と、しようと思ってた」
フェイの心臓が、ドクン! と跳ねる。
「わ、私も、初めてだよ。好きな人と、しようと思ってた」
ドッドッドッドッドッドッ! フェイの頭の中で、心臓の音が響く。
「ねぇ、それって......」
二人同時に、同じ言葉が重なった。リゼとフェイはアハハと笑い、「せーの」と合図した。
「君が好きだ」
またしても、ハモる。だが、フェイには一つ疑問があった。
「リゼが好きなのはフェイ? それとも、フェレル?」
「ああ、それはやっぱり気になるだろうな」
リゼは悪戯っぽく笑う。
「どっちだと、思う?」
そう言いながら、フェイの頬にキスをするリゼ。
「フェレルだったらいいな、って思うけど」
少し不安そうに、フェイは答えた。
「じゃあ、フェレルに戻って。そしたら答えを教えてあげる」
「うん」
フェイは言われた通り、フェレルの姿へと戻った。緑色の髪と瞳をした、美しい青年の姿だ。
「素敵だよ、フェレル」
「フェレル君、じゃないんだね」
「ああ。君と距離を縮めたいんだ。だって私は、何年も前からずっと君が好きだった。君の家のパンを買う時、店の手伝いをする君を見るのが好きだった。ずっと、片思いだったんだ」
ほう、と切なそうに溜息を吐いて、リゼはフェレルと唇を重ねた。
「やっと言えた。君が好きだ。愛してる」
「嬉しいよリゼ。だけど、そんな前から俺を見ていてくれていたなんて、気づかなくて。でもね、俺も君が好きだよ。うまく言えないけど......君が俺を憲兵にスカウトに来たあの日。頭に雷が落ちたみたいに、君を好きになった。この仕事についたのも、正義感だけじゃない。半分は君を好きだからだ。君の力になりたいって、そう思ったからなんだ。この気持ちに嘘はない。一緒にいる時間が増えて、もっともっと好きになったよ。リゼ、俺も君を、愛してる」
「嬉しい......! フェレル!」
「リゼ!」
二人は抱き合い、ベッドの上で何度もキスをした。しばらくして、時計の時間にハッとする。
「いかん! そろそろ着替えて仕事に向かわねば」
リゼがガバッと起き上がる。
「待ってリゼ。俺、今日は休みをもらいたいんだ」
フェレルの申告に、リゼは真顔になる。
「そうか。もちろん構わないぞ。さてはシャルティアから、何か有益な情報を引き出したのだな」
「うん、そうなんだ」
フェレルは頷く。
「フェイが失踪した時の経緯や状況が分かった。もしかしたら、彼女を見つけられるかも知れない」
正直な所、フェイの生死は不明だ。だが、死んでいる可能性は高い。それでもフェレルは、彼女の生存を諦めてはいなかった。
その強い眼差しに、リゼも頷く。そしてフェレルの両手を、包むように握った。
「妹をよろしく頼む、フェレル」
「うん。必ず見つけ出して、リゼに会わせるよ」
見つめ合う二人。
「朝食はどうする?」
「いや、俺は大丈夫。もう出かけるよ。リゼも急いだ方がいいかも。いっぱいイチャイチャしちゃったからね」
「ふふっ、そうだな」
微笑むリゼ。フェレルはその唇にキスをし、彼女に手を振った。
「じゃあ、行って来ます」
「うん。行ってらっしゃい。気をつけて」
リゼはそう言って見送ったが、立ち去ろうとするフェレルの手を引き、もう一度キスをしたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる