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第12話 お父さんとお母さん。
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ここ、どこだ......?
あたりは真っ白。何も見えない。
もしかして、また死んだのか、俺......。
ああ、やっちゃったなぁ。せっかく紅葉ちゃんが生き返らせてくれたのに、無駄にしちまった。
ラノベとかアニメなんかだと、チートな能力で無双するのが相場だから、甘く見てたんだ。きっと、なんとかなると思ってた。
世の中そんなに甘くないって事だな、うん。
しっかし、ほんと何もないなここは。また紅葉ちゃんが出てきてくれたりしないかな。
ん?遠くに誰かいる! 二人だ。よし、行ってみよう!
俺は全速力で走った。そんなに遠くには見えなかったはずなのに、全然距離が縮まらない。
どうしてなのかわかった。歩幅が狭くなって、背も縮んでる!
よ、ようやく着いたぞ!俺は二人を見上げた。男と女だ。
「あの、すいません」
俺の呼びかけに二人は振り返り、俺を見下ろす。
え!? この二人は......亜水と葉月!?
「どうしたんだい、来人。そんなに息を切らして」
「きっと走って来たのよ。ごめんね、来人。急にいなくなったから、びっくりしたわよね。お母さんもお父さんも、あなたを置いて行ったりしないわ」
そう言って俺の頭を撫でる葉月。亜水も優しく微笑んでいる。お母さんとお父さん? 一体どう言う事だろう。俺は夢を見ているんだろうか......。
「あのね、幼稚園のお友達がね、僕をいじめるの。叩いたり、髪の毛を引っ張ったりするんだよ」
俺の口が自然と開き、思いもよらぬ言葉を紡ぐ。
幼稚園? 確かに俺は幼稚園に通っていたけど......もう記憶なんて残ってない。父さんと母さんの顔も、覚えていない。写真も全部、施設長(クソやろう)に処分されてしまった。
「そうか、意地悪されたんだね。その時来人は、どうしたの?」
亜水はしゃがみこんで、俺に目線を合わせる。
「あのね、やめてって言ったんだけど、やめてくれなくて、僕、泣いちゃった」
「そうか。そのお友達は、来人のお願いを無視したんだね。きっとその子にとって、来人はお友達じゃなくて、おもちゃみたいなものなんだよ。だから、お願いしてもやめてくれなかったんだ」
亜水の言葉に俺が戸惑っていると、葉月もしゃがみこんで俺を抱きしめる。
「痛かったね、来人。あなたは優しいから、やりかえさなかったのね。でもね、時にはやり返さなきゃならない時もあるの。あなたの大事なものを、守らなきゃならないわ。この場合は、プライドね」
「プライド?」
「そうよ。あなたを軽々しく扱うような人には、負けちゃいけないわ。プライドって言うのは、自分を大事に思う心よ。それをなくしちゃいけない。そんな時はね、戦うの」
「戦うの? 僕、怖いよ。叩かれるの、痛いけど......叩いたら、相手も痛いでしょ?」
「そうね。だけど来人、それが戦うと言う事なの。お母さんのお腹には、今赤ちゃんがいるわ。この子に危険が迫ったなら、お母さんは戦う。もちろん、来人が危ない時もね。そうよね、あなた」
「そうとも。もちろんお父さんだって、そうするさ。来人にはね、戦う力がちゃんとあるんだよ。それは今眠ってるだけさ。それを起こしてあげるんだ」
「起こす?」
俺が聞き返すと、二人は立ち上がった。
「もう、大丈夫だね来人」
「頑張ってね」
そう言って歩き始める二人。
「待って! お父さん! お母さん! 行かないで!」
二人は立ち止まり、振り返る。
「私たちは、いつでもそばにいますよ、銀杏様。なぁ、葉月」
「ええ、そうですとも。もう離れたり、するものですか。この子も、一緒です」
葉月の腕に、いつのまにか赤ん坊が抱かれている。
「さぁ、目覚めるのです。銀杏様」
二人の声を合図にしたように、俺の意識が移り変わって行く。夢が覚めて行く。夢なのか、過去の記憶なのか、曖昧だけど......。
ただ、一つだけわかった事がある。俺は戦わなきゃならない。眠っている自分の力を目覚めさせなきゃ、ならない!
目がパチリと開く。俺は仰向けに倒れていた。遠くでドラザエモンの唸り声と、逃げ惑う物ノ怪たちの声が混ざりあっている。
俺は身を起こした。全身が痛い。頭もガンガンする。
なんとか立ち上がる。周囲を見渡すと、物ノ怪たちが囲んでいた大鍋が、少し先に見える。さらにその先にはいくつかの家。俺の背後は森だ。さっき戦っていた場所から、そんなに離れていないようだ。
家に逃げ込もうとする物ノ怪を、ひっつかんで投げ飛ばすドラザエモンが見える。
このままじゃ、あいつが木蓮たちのいる蔵に到達しちまうのも時間の問題だな。よし、やるか!
父さん、母さん!俺の勇姿を見ててくれ!今は狐娘になっちゃったけど、頑張るよ!
にしても、亜水と葉月にそっくりだったなぁ、あの二人。なんか関係あるのかな。
まぁいいや!それは後で考えればいい!今はとにかく覚醒だ!
誰のって? 俺だよ俺! 自分も覚醒出来るって言うの、全然思いつかなかったわ!夢のお陰で気づいたんだよね。
鏡でも見ない限りは自分の潜在能力を看破する事は出来ない。でもさ、多分結構すごいと思うんだよねー。なんせ神様だし!
よし、やるぞ!
あたりは真っ白。何も見えない。
もしかして、また死んだのか、俺......。
ああ、やっちゃったなぁ。せっかく紅葉ちゃんが生き返らせてくれたのに、無駄にしちまった。
ラノベとかアニメなんかだと、チートな能力で無双するのが相場だから、甘く見てたんだ。きっと、なんとかなると思ってた。
世の中そんなに甘くないって事だな、うん。
しっかし、ほんと何もないなここは。また紅葉ちゃんが出てきてくれたりしないかな。
ん?遠くに誰かいる! 二人だ。よし、行ってみよう!
俺は全速力で走った。そんなに遠くには見えなかったはずなのに、全然距離が縮まらない。
どうしてなのかわかった。歩幅が狭くなって、背も縮んでる!
よ、ようやく着いたぞ!俺は二人を見上げた。男と女だ。
「あの、すいません」
俺の呼びかけに二人は振り返り、俺を見下ろす。
え!? この二人は......亜水と葉月!?
「どうしたんだい、来人。そんなに息を切らして」
「きっと走って来たのよ。ごめんね、来人。急にいなくなったから、びっくりしたわよね。お母さんもお父さんも、あなたを置いて行ったりしないわ」
そう言って俺の頭を撫でる葉月。亜水も優しく微笑んでいる。お母さんとお父さん? 一体どう言う事だろう。俺は夢を見ているんだろうか......。
「あのね、幼稚園のお友達がね、僕をいじめるの。叩いたり、髪の毛を引っ張ったりするんだよ」
俺の口が自然と開き、思いもよらぬ言葉を紡ぐ。
幼稚園? 確かに俺は幼稚園に通っていたけど......もう記憶なんて残ってない。父さんと母さんの顔も、覚えていない。写真も全部、施設長(クソやろう)に処分されてしまった。
「そうか、意地悪されたんだね。その時来人は、どうしたの?」
亜水はしゃがみこんで、俺に目線を合わせる。
「あのね、やめてって言ったんだけど、やめてくれなくて、僕、泣いちゃった」
「そうか。そのお友達は、来人のお願いを無視したんだね。きっとその子にとって、来人はお友達じゃなくて、おもちゃみたいなものなんだよ。だから、お願いしてもやめてくれなかったんだ」
亜水の言葉に俺が戸惑っていると、葉月もしゃがみこんで俺を抱きしめる。
「痛かったね、来人。あなたは優しいから、やりかえさなかったのね。でもね、時にはやり返さなきゃならない時もあるの。あなたの大事なものを、守らなきゃならないわ。この場合は、プライドね」
「プライド?」
「そうよ。あなたを軽々しく扱うような人には、負けちゃいけないわ。プライドって言うのは、自分を大事に思う心よ。それをなくしちゃいけない。そんな時はね、戦うの」
「戦うの? 僕、怖いよ。叩かれるの、痛いけど......叩いたら、相手も痛いでしょ?」
「そうね。だけど来人、それが戦うと言う事なの。お母さんのお腹には、今赤ちゃんがいるわ。この子に危険が迫ったなら、お母さんは戦う。もちろん、来人が危ない時もね。そうよね、あなた」
「そうとも。もちろんお父さんだって、そうするさ。来人にはね、戦う力がちゃんとあるんだよ。それは今眠ってるだけさ。それを起こしてあげるんだ」
「起こす?」
俺が聞き返すと、二人は立ち上がった。
「もう、大丈夫だね来人」
「頑張ってね」
そう言って歩き始める二人。
「待って! お父さん! お母さん! 行かないで!」
二人は立ち止まり、振り返る。
「私たちは、いつでもそばにいますよ、銀杏様。なぁ、葉月」
「ええ、そうですとも。もう離れたり、するものですか。この子も、一緒です」
葉月の腕に、いつのまにか赤ん坊が抱かれている。
「さぁ、目覚めるのです。銀杏様」
二人の声を合図にしたように、俺の意識が移り変わって行く。夢が覚めて行く。夢なのか、過去の記憶なのか、曖昧だけど......。
ただ、一つだけわかった事がある。俺は戦わなきゃならない。眠っている自分の力を目覚めさせなきゃ、ならない!
目がパチリと開く。俺は仰向けに倒れていた。遠くでドラザエモンの唸り声と、逃げ惑う物ノ怪たちの声が混ざりあっている。
俺は身を起こした。全身が痛い。頭もガンガンする。
なんとか立ち上がる。周囲を見渡すと、物ノ怪たちが囲んでいた大鍋が、少し先に見える。さらにその先にはいくつかの家。俺の背後は森だ。さっき戦っていた場所から、そんなに離れていないようだ。
家に逃げ込もうとする物ノ怪を、ひっつかんで投げ飛ばすドラザエモンが見える。
このままじゃ、あいつが木蓮たちのいる蔵に到達しちまうのも時間の問題だな。よし、やるか!
父さん、母さん!俺の勇姿を見ててくれ!今は狐娘になっちゃったけど、頑張るよ!
にしても、亜水と葉月にそっくりだったなぁ、あの二人。なんか関係あるのかな。
まぁいいや!それは後で考えればいい!今はとにかく覚醒だ!
誰のって? 俺だよ俺! 自分も覚醒出来るって言うの、全然思いつかなかったわ!夢のお陰で気づいたんだよね。
鏡でも見ない限りは自分の潜在能力を看破する事は出来ない。でもさ、多分結構すごいと思うんだよねー。なんせ神様だし!
よし、やるぞ!
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