【完結】TS聖女は因果を操る〜陰ながら「運命操作」で仲間を守ってきた僕。無能と罵られ、幼馴染を寝取られ追放されました。お前らなどもう知らん〜

アキ・スマイリー

文字の大きさ
6 / 14

第5話 王都へ向かう。

しおりを挟む
「本当にありがとうございました、聖女様!」

 リジーのご両親は目に涙をいっぱい溜めながら、何度も感謝の言葉をくれた。

「何かお礼を......」

「お礼なんて要りませんよ。私はこの国の人々を助けるのが使命ですから。困った時には、また呼んで下さいね。すぐに駆けつけます」

 僕はそう言ってリジーの両親を抱きしめた。二人は大粒の涙をこぼしながら頷く。

「リジーも、またね」

「うん! ありがとう、お姉ちゃん!」

 太陽みたいな笑顔で笑うリジー。本当にこの子を助けられて良かった。僕はリジーをハグして頭を撫で、頬にキスをした。

「それではまた!」

 リジー達の家を後にし、宿に戻る。来た時と違って急いでないけど、恥ずかしい服を着ているので聖術「神速歩」を使用。建物の壁を駆け上がり、屋根から屋根へと跳びながら移動した。ちなみにタラスクは再び姿を隠している。

 宿屋に到着。何食わぬ顔で受付前を通り過ぎ、僕達は宿泊している部屋へと戻った。

「よし、じゃあ人助けも済んだ事だし。俺たちのスローライフを始めようぜ」

 僕が荷物をまとめていると、タラスクが背後から抱きしめてくる。

「ちょっと待って。一応、聖王様に今回の事をご報告に行かなきゃ。休暇をもらおうと思っていたけど、あの怪物の事が気になる。街の中に怪物が出たって事は、勇者の仕事が不十分って事だからね」

 そう答えながら、勇者セレスティンの事を考える。

「国護り」の三人はそれぞれ、何から何を護るか、その担当が違う。そしてそれに伴った「加護」を女神から授かっているのだ。

 聖王が担当するのは国。国を病や災害、貧困、戦乱などから護る役目がある。そして加護は国全体を見渡す事が出来、国護り同士で念話する事も出来る「千里眼」。そして国に何が起こるかを予知出来る「王国予知」の二つだ。

 勇者が担当するのは怪物。怪物を退治し、人々を護る。そして加護はあらゆるものを切り裂き、不浄なるものを浄化する「聖剣」。そして怪物の動向を察知出来る「怪物予知」の二つだ。

 聖女が担当するのは国民そのもの。あらゆる災害、病気、事故などから人々をまもる。そして加護は聖女に変身する聖転換だけ。だけど僕は生まれつき、ユニークスキルの「未来予知」を持つ。これは見たい相手や物質の未来を見れるチートなスキルだ。ただし、僕が干渉していない未来に限られる。

 そして聖転換を行った後は、運命を変える「運命操作」と人々の声を聞く「精神感応」を使用出来る。

 僕は本来、人々の困りごとを手助けするのが使命。怪物と戦ったりする事は少ない筈なのだ。

 思い返せば、セレスティンと一緒のパーティーにいた時から度々こう言う事はあった。つまり街の中で怪物が出現すると言うことが。怪物の動向は勇者であるセレスティンにしかわからないから、僕を含む仲間達は彼の言う事を信じるしかない。

 だが、やはり見逃している。理由はわからないけど、セレスティンは敢えて倒していない怪物がいるのだ。

「聖王に報告? まさかまた王都に行くのか?」

「そのつもりだよ」

「マジかぁ。めんどくせぇな。なぁ、聖王は国護りと念話出来るんだろ? それで話せばいいじゃねぇか」

「いや、念話は聖王様の加護である千里眼の力。僕やセレスティンから念話で話しかける事は出来ない。あくまでも聖王様が僕らに話しかけて来た時に会話が出来るんだ。だから面倒でも王都に行くしかないよ」

「チッ、そうか。その服、着替えるのか?」

「当たり前だろ。こんなハレンチな格好で聖王様に面会したら、牢屋に入れられてしまうかも知れない」

「やっぱりかぁ。じゃあさ、着替える前に一回抱かせてくれ」

 タラスクはそう言って、僕の体をまさぐり始める。

「だめだよ。今はそんな気分じゃない。それにできれば早く出発したいんだ」

 だがタラスクの鼻息は荒い。簡単に諦めてはくれなさそうだ。めげずに僕を口説いてくる。

「わかった、すぐ済ませるから。先っぽだけでいいからさ。それがダメなら口でも胸の谷間でも、太ももでもいい」

「ちょっと何言ってるのかわからないんだけど......ふぅ、仕方ない。じゃあ十分だけだよ」

「よっしゃー! 任せろ! 十分有れば充分だ!」

 タラスクは嬉々として僕をベッドに押し倒し、敏感な部分を刺激し始めた。

「や、優しくだからね、優しく、や、ちょ、ふあああッ!」

 タラスクの思うがままに、肉体を蹂躙される僕。彼は約束通り十分で僕を解放した。だけど肝心の僕自身が、足腰の立たない状態だ。まるで産まれたての子鹿のように、脚がガクガクする。

「ううッ......く、ふぅ......。はぁ、はぁ、や、優しくって、言ったのに......まったくもう」

「わりい。時間がないと思ったらつい、な。だけど大丈夫だ。俺が龍の姿になって送ってやるからさ。半日も有れば着くだろ。だからもう少し休んで行こうぜ」

「ふぅ、ふぅ、そうだね、仕方ない。なら、そうさせてもらうよ」

 ああ......。本当に動けない。僕はぐったりした状態で、ぼんやりとタラスクを見つめたのだった。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...