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第9話 勇者パーティー。
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僕達はセレスティンが現在いる町「アイントレイア」を目指して旅をする事にした。
アイントレイアまでは、龍に変身したタラスクの背に乗っても三日はかかる距離。馬車なら十日だ。
セレスティンは、いついかなる場所に怪物が出現しても対応出来るように一瞬で転移出来る。聖王カインド様から授かった、「転移の扉」と言う特級魔術道具を持っているのだ。
今はアイントレイアに定住しているようだが、またいつ瞬間移動するかわからない。出来る限り急ぐ必要がある。
あ、そうだ。聖王様にお願いして、セレスティンに移動しないよう命令を出してもらえばいいんだ。
宿屋のチェックアウトを済ませた僕たちは、現在人目につかないような場所を探して移動している最中。タラスクの変身が人に見られてしまうと、パニックを引き起こす可能性があるからだ。
「マルコ、あそこなんてどうだ?」
「うん、いいね」
タラスクが指を差した先は大きな倉庫が並んでおり、建物の間は人が入れるくらいの隙間がある。僕達はそこへ入った。
「タラスク、変身はちょっと待って。先に聖王様に連絡を取る」
「おう、わかった」
腕組みをして微笑むタラスク。僕は周囲に誰もいない事を確認すると、魔通信を耳に当てた。そして聖王様に呼びかける。
「聖王様、聞こえますか? マルコです」
すると少しだけ間を置き、聖王様から返事があった。
「マルコか。聞こえているぞ。どうした?」
「はい。実は勇者セレスティンに対して新たな情報が入りまして」
僕は聖王様に現在の状況を伝えた。
「ふむ、なるほど。ではセレスティンに、町へ留まるよう伝える。それで良いのだな?」
「はい、よろしくお願いします」
カインド様はセレスティンを留める事を約束してくれた。よし、これで時間は出来た。
「行こう、タラスク」
「おう! 任せろ!」
タラスクはムクムクと巨大化していき、やがて龍になった。その姿は大きな蛇のようであり、前足と後ろ足が合わせて四本。頭から背にかけてタテガミがあり、頭には枝分かれしたツノが二本。口にはナマズのようなヒゲをたくわえている。
僕はすかさずその背に乗り、タテガミに掴まった。
「目指すはアイントレイア!」
タラスクは天空へと駆け上り、西へ向かって飛翔する。
時々付近の村などに立ち寄って宿を取りつつ、三日目の夜。僕達は目的地アイントレイアに到着した。
宿屋にチェックインすると、早速二人で飲みに行く事になった。でも別に憂さ晴らしに行くわけじゃ無い。現在セレスティンは、酒場にいるのだ。
僕はマルファに変身し、襲い掛かるタラスクを撃退しつつ酒場へと向かった。
「なんだよー。一回くらいいいだろ?」
「ダメだよ。僕らがのんびりしているうちにセレスティンが宿に戻ったら、接触するのが面倒になる。今がチャンスなんだ」
僕は興奮気味のタラスクを伴い、酒場へと入る。すかさず勇者パーティーを探すと、奥の方から言い争う声が聞こえた。
「だから、全部お前の責任だろうが! マルコを勝手に追放したんだからな! お陰でこのところ、失敗続きだ!」
叫んでいるのは、勇者パーティーの一人。渋いおじさん、鍛治士のアデルだ。勇者パーティーは丸い卓を四人で囲んでいる。アデルは隣に座るセレスティンの胸ぐらを掴み、首を締め上げていた。
「アデルの言う通りです。マルコは勝手に出て行った訳ではない。あなたが追放したのだ。あなたの嘘は、既に暴かれています。ユティファの魔薬による中毒症状は、天才医師である私の解毒薬で完全に消え去りました。彼女は正気に戻り、全て教えてくれましたよ。あなたの悪事もね」
冷静にそう告げるのは、美青年医師のルカ。椅子に座ったままで冷たい視線をセレスティンに向けている。
「本当にごめんなさい、みんな。私、セレスティンに寝込みを襲われて、薬を打たれて......セレスティンに抱かれる事以外、考えられなくなっていたの。言いなりになるしかなかった。マルコにも、酷いことを言ってしまった。きっと、私をうらんでる。一生許してくれないわ」
顔を覆って泣きじゃくるユティファ。隣の席に座るルカが、いたわるように彼女の背をさする。
そうだったのか。あのユティファの言葉は、魔薬のせいだった。セレスティンに言わされていた。本意ではなかったんだ。ルナさんやフィリアさんの様子がおかしかったから、ユティファも魔薬を打たれていたと言う可能性は考えていた。
ああ、胸が苦しい。ユティファの事は、きっぱりと忘れるつもりだったのに。また悩みが増えてしまった。
それはともかく、まだ声をかけるべきじゃ無いな。もう少し様子を見よう。
「うるせぇよ! あの雑魚の未来予知がそんなに重要か!? クソ弱えし、戦闘中にビクビク怯えてウゼェんだよ! だから追い出してやったんだ!」
セレスティンが逆ギレする。
「マルコはいつも、的確に敵の攻撃を読んで私達に指示してくれていたわ! 何故か自分の未来だけは見えないみたいだったけど、何度も私達の危機を救ってくれた! 怯えていたわけじゃ無い! ただ、私達の残酷な未来が見えたから、それを回避しようと必死だっただけ! いつだって、私達を守る事を考えてた! あなたなんかより、よっぽどリーダーみたいだった!」
ユティファの言葉に、セレスティンは顔を真っ赤にし、こめかみに血管を浮き上がらせる。
「てめぇ......この腐れビッチが......! 顔と体がちょっといいくらいで調子に乗りやがって! せっかくこの俺様の肉便器にしてやったのに裏切るんじゃねぇよ! お前なんか、俺の性欲を吐き捨てる便所だ!」
そこまで言った所で、アデルがセレスティンを殴り飛ばす。
セレスティンは隣のテーブルを薙ぎ倒し、壁に激突した。すかさずルカが、近隣の客達に謝罪して回る。
指をポキポキと鳴らしながら、うずくまるセレスティンに近づいて行くアデル。
「お前が魔薬欲しさに怪物共を見逃してるのも知ってんだぞ。勇者失格だな。この事は聖王様に報告する。そしてお前を解任してもらい、新しい勇者を派遣してもらう。俺としては、マルコが適任だと思うがな」
「へっ、俺がお前にそんな事させると思うかアデル。やらせねぇよ。もう、俺は決断した。お前ら全員殺す! ここにいる奴ら全員、俺の聖剣で跡形もなく消し去ってやるぜ!」
セレスティンは素早く立ち上がり、手のひらから聖剣を出現させた。まずい!
「マルファ!」
タラスクが叫ぶ。
「わかってる! モーティアス・ファストベルロ! 神速歩!」
僕は素早く聖術「神速歩」を唱え、セレスティンとアデルの前に躍り出た。
アイントレイアまでは、龍に変身したタラスクの背に乗っても三日はかかる距離。馬車なら十日だ。
セレスティンは、いついかなる場所に怪物が出現しても対応出来るように一瞬で転移出来る。聖王カインド様から授かった、「転移の扉」と言う特級魔術道具を持っているのだ。
今はアイントレイアに定住しているようだが、またいつ瞬間移動するかわからない。出来る限り急ぐ必要がある。
あ、そうだ。聖王様にお願いして、セレスティンに移動しないよう命令を出してもらえばいいんだ。
宿屋のチェックアウトを済ませた僕たちは、現在人目につかないような場所を探して移動している最中。タラスクの変身が人に見られてしまうと、パニックを引き起こす可能性があるからだ。
「マルコ、あそこなんてどうだ?」
「うん、いいね」
タラスクが指を差した先は大きな倉庫が並んでおり、建物の間は人が入れるくらいの隙間がある。僕達はそこへ入った。
「タラスク、変身はちょっと待って。先に聖王様に連絡を取る」
「おう、わかった」
腕組みをして微笑むタラスク。僕は周囲に誰もいない事を確認すると、魔通信を耳に当てた。そして聖王様に呼びかける。
「聖王様、聞こえますか? マルコです」
すると少しだけ間を置き、聖王様から返事があった。
「マルコか。聞こえているぞ。どうした?」
「はい。実は勇者セレスティンに対して新たな情報が入りまして」
僕は聖王様に現在の状況を伝えた。
「ふむ、なるほど。ではセレスティンに、町へ留まるよう伝える。それで良いのだな?」
「はい、よろしくお願いします」
カインド様はセレスティンを留める事を約束してくれた。よし、これで時間は出来た。
「行こう、タラスク」
「おう! 任せろ!」
タラスクはムクムクと巨大化していき、やがて龍になった。その姿は大きな蛇のようであり、前足と後ろ足が合わせて四本。頭から背にかけてタテガミがあり、頭には枝分かれしたツノが二本。口にはナマズのようなヒゲをたくわえている。
僕はすかさずその背に乗り、タテガミに掴まった。
「目指すはアイントレイア!」
タラスクは天空へと駆け上り、西へ向かって飛翔する。
時々付近の村などに立ち寄って宿を取りつつ、三日目の夜。僕達は目的地アイントレイアに到着した。
宿屋にチェックインすると、早速二人で飲みに行く事になった。でも別に憂さ晴らしに行くわけじゃ無い。現在セレスティンは、酒場にいるのだ。
僕はマルファに変身し、襲い掛かるタラスクを撃退しつつ酒場へと向かった。
「なんだよー。一回くらいいいだろ?」
「ダメだよ。僕らがのんびりしているうちにセレスティンが宿に戻ったら、接触するのが面倒になる。今がチャンスなんだ」
僕は興奮気味のタラスクを伴い、酒場へと入る。すかさず勇者パーティーを探すと、奥の方から言い争う声が聞こえた。
「だから、全部お前の責任だろうが! マルコを勝手に追放したんだからな! お陰でこのところ、失敗続きだ!」
叫んでいるのは、勇者パーティーの一人。渋いおじさん、鍛治士のアデルだ。勇者パーティーは丸い卓を四人で囲んでいる。アデルは隣に座るセレスティンの胸ぐらを掴み、首を締め上げていた。
「アデルの言う通りです。マルコは勝手に出て行った訳ではない。あなたが追放したのだ。あなたの嘘は、既に暴かれています。ユティファの魔薬による中毒症状は、天才医師である私の解毒薬で完全に消え去りました。彼女は正気に戻り、全て教えてくれましたよ。あなたの悪事もね」
冷静にそう告げるのは、美青年医師のルカ。椅子に座ったままで冷たい視線をセレスティンに向けている。
「本当にごめんなさい、みんな。私、セレスティンに寝込みを襲われて、薬を打たれて......セレスティンに抱かれる事以外、考えられなくなっていたの。言いなりになるしかなかった。マルコにも、酷いことを言ってしまった。きっと、私をうらんでる。一生許してくれないわ」
顔を覆って泣きじゃくるユティファ。隣の席に座るルカが、いたわるように彼女の背をさする。
そうだったのか。あのユティファの言葉は、魔薬のせいだった。セレスティンに言わされていた。本意ではなかったんだ。ルナさんやフィリアさんの様子がおかしかったから、ユティファも魔薬を打たれていたと言う可能性は考えていた。
ああ、胸が苦しい。ユティファの事は、きっぱりと忘れるつもりだったのに。また悩みが増えてしまった。
それはともかく、まだ声をかけるべきじゃ無いな。もう少し様子を見よう。
「うるせぇよ! あの雑魚の未来予知がそんなに重要か!? クソ弱えし、戦闘中にビクビク怯えてウゼェんだよ! だから追い出してやったんだ!」
セレスティンが逆ギレする。
「マルコはいつも、的確に敵の攻撃を読んで私達に指示してくれていたわ! 何故か自分の未来だけは見えないみたいだったけど、何度も私達の危機を救ってくれた! 怯えていたわけじゃ無い! ただ、私達の残酷な未来が見えたから、それを回避しようと必死だっただけ! いつだって、私達を守る事を考えてた! あなたなんかより、よっぽどリーダーみたいだった!」
ユティファの言葉に、セレスティンは顔を真っ赤にし、こめかみに血管を浮き上がらせる。
「てめぇ......この腐れビッチが......! 顔と体がちょっといいくらいで調子に乗りやがって! せっかくこの俺様の肉便器にしてやったのに裏切るんじゃねぇよ! お前なんか、俺の性欲を吐き捨てる便所だ!」
そこまで言った所で、アデルがセレスティンを殴り飛ばす。
セレスティンは隣のテーブルを薙ぎ倒し、壁に激突した。すかさずルカが、近隣の客達に謝罪して回る。
指をポキポキと鳴らしながら、うずくまるセレスティンに近づいて行くアデル。
「お前が魔薬欲しさに怪物共を見逃してるのも知ってんだぞ。勇者失格だな。この事は聖王様に報告する。そしてお前を解任してもらい、新しい勇者を派遣してもらう。俺としては、マルコが適任だと思うがな」
「へっ、俺がお前にそんな事させると思うかアデル。やらせねぇよ。もう、俺は決断した。お前ら全員殺す! ここにいる奴ら全員、俺の聖剣で跡形もなく消し去ってやるぜ!」
セレスティンは素早く立ち上がり、手のひらから聖剣を出現させた。まずい!
「マルファ!」
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