お嬢様、流刑地に送られ婚約も破棄。でも最強になったら、ザマぁとかどうでも良くなってた

好きな言葉はタナボタ

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第1部

第71話 「ドラゴンの卵」

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マリカとミツキがオレンジを食べ終えた頃、洞窟の入り口のほうからが聞こえてきた。

「何事かしら?」

どよめきの方へ近づいていくと、何かを喜んでいるらしいのは分かった。

マリカは近くにいたコモノ代表を捕まえて尋ねる。

「ねえ、何を騒いでいるの?」

「やあ、マリカさん」コモノ代表はマリカを見て顔を輝かせた。「食べ物を探しに出ていた者がドラゴンの卵を見つけて来たんです」

「ドラゴンの卵!?」

マリカは驚いた。 ドラゴンと聞いてマリカが思い浮かべたのはセレスティアル天空・ドラゴン。 あんな巨大な生き物の卵って、どれぐらい大きいのかしら?

マリカの大仰おおぎょうな驚き方を見て、コモノ代表が情報を追加する。

「ドラゴンといっても手乗りドラゴンです」

「あら、そうだったの」 つまんないの。

手乗りドラゴンならマリカも知っている。 手の平サイズの小さなドラゴンで、人によく懐くため卵の状態でペットとして市販されている。

「手乗りドラゴンの卵って、こういうとこで採ってるのね」

「アガマサラ市に高値で売れるそうですが、食べても美味しいらしいです」

「手乗りドラゴンの卵を食べちゃうの!?」 手乗りドラゴンはペットなのよ!

「流刑地じゃ高級食材ですよ。 とても滋味じみが豊かだそうです」

「それでみんな騒いでるのね」

コモノ代表がどことなく申し訳なさそうに言う。

「持って帰っても取り上げられるだけですし、ここで食べるしかないんです。 ペットにしても仕方ないですしね」

コモノも共用女もペットを飼うような余裕はない。

しかし、ペットとしての手乗りドラゴンに興味を示す者が1人この場にいた。 ミツキだ。

「卵を1つちょうだい」

「もらってどうするの?」

マリカは不満そうに尋ねた。 ミツキの返答には既に見当が付いている。

「卵をかえしてドラゴンをペットにするんだよ」

思った通りの返事だ。 ミツキはマリカの予想をあまり裏切らない。

「ダメよ、ミツキ。 貴重な卵なんだから」

ドラゴンなんて誰が世話をするの? 私はイヤよ。 爬虫類は苦手なの。 それに餌とかどうするの? トイレのしつけルビだってあるし。 あと、家具や壁で爪を研がれ

「まあまあマリカさん、ほかならぬミツキくんの頼みですから1つぐらいなら」

コモノ代表の口利くちききで、ミツキは手乗りドラゴンの卵を1つもらった。 幸いにも卵は30個ほどもあったので、ミツキが1つもらってもあまりさわりはなかった。

                   ◇

ちなみに、手乗りドラゴンの卵焼きは濃厚でかすかな甘みがあり美味しかった。 ミツキは無節操むせっそうにも、手乗りドラゴンの卵をふところに入れて温めつつ手乗りドラゴンの卵焼きを頬張ほおばっていた。
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