お嬢様、流刑地に送られ婚約も破棄。でも最強になったら、ザマぁとかどうでも良くなってた

好きな言葉はタナボタ

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第1部

第73話 「パンピーとは」

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洞窟を出てまもなく、道の向こうに数人の人影が見えた。 警戒したミツキが微発光したが、人影はすぐに道を引き返し姿を消してしまった。

マリカはその出来事を気に留めなかったが、マリカの後ろを歩くコモノと共用女がざわつき始めた。 何やら動揺している。 ざわめきに耳を傾けると、「やばいよ」とか「もう進みたくない」といった声が聞こえる。

落ち着かなくなったマリカは立ち止まり、くるりと後ろを向いて尋ねた。

「さっきからどうしたの?」

するとコモノ代表が待ち構えていたように答える。 よくぞ尋ねてくれましたマリカさん。

「みんな怖がってるんです」

「何を?」

コモノ代表は皆が抱いている不安をマリカに訴え始めた。 いわく、さっきの人影はコモノ代表らと同じ派閥のパンピーだった。 パンピーは恐らく、ボスであるゲレニカに山狩りをやらされている。 パンピーの報告でコモノ代表らの位置をつかんだゲレニカは、山狩りの本隊を率いてコモノ代表らを捕まえに来るはずだ。 だから何とかしてくださいマリカさん。

代表の話を聞き終えたマリカはとりあえず、代表の話の中でいちばん気になったことを尋ねた。

「パンピーって何かしら?」

「流刑地で平均的な強さの男のことです。 流刑地で人数がいちばん多いのもパンピーです」

「パンピーとコモノはどう違うの?」

コモノ代表の顔が明らかに曇るのを見てりマリカは不味いことを尋ねたかとヒヤッとしたが、代表はすぐに表情を取りつくろって答え始めた。

「パンピーが平均的な存在なのに対して、われわれコモノは平均以下の弱い存在です。 体が小さかったり心が弱かったりするために、自分の取り分を確保できず、仕事を押し付けられます。

「流刑地の男の序列は学校のクラスのようなものでして...  ガキ大将に当たるのが顔役やボスで、その次に威張ってるのが強者ツワモノや幹部などと呼ばれる男たち。 その下がパンピーで、我々コモノは最下層、イジメられっ子のポジションです」

                   ◇❖◇

「それで、どうしてゲレニカさんは山狩りなんかを?」 山狩りするのも大変でしょうに。

「わ、私たちが仕事をサボって狩りに来たからです」

コモノ代表の言葉にマリカはまゆをひそめる。

「仕事を怠けるのは良くないわね」

頼みの綱のマリカに愛想をつかされては一大事。 周囲のコモノと共用女が一斉に弁解を始めた。

「違うんです、マリカさん!」

「そうじゃないんです!」

熱心に弁解した甲斐あってマリカは納得した。

「まあ! そういう訳だったのね。 それならあなたたちは悪くなんかない。 悪いのはあなたたちばかりに仕事を押し付ける人たちよ!」

納得しただけではない。 マリカは彼らに大いに共感した。 コモノと共用女の主張は流罪という刑罰の不公平さ ―すなわち、強い者には刑罰としてロクに機能せず、弱い者ばかりが苦しむ― を訴えるもので、その不公平さはマリカ自身も強く感じていたからだ。
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