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第1部
第75話 「うべっ」
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微発光するミツキには周囲の全てがスローモーションに見える。 だからゲレニカが腰の後ろから何かの道具を持ち出して来るのも見えていた。
ところがミツキは拳銃を知らなかった。 あいつが手に持ってるのはなんだ? そうして警戒していたらパンッと大きな音がして右肩に途轍もない衝撃が生じた。
ゲレニカの拳銃の弾速は330m/秒。 微発光時のミツキは3~5倍速だから、弾丸が秒速66~110m ―時速に換算すると238~360km― で飛んで来ることになる。 おまけにゲレニカが手にする拳銃は護身用の22口径で、その弾丸は直径5.7mmと小さい。
釘のように小さなものが猛禽類の急降下と同じ速度で至近距離からぶっ飛んできたのだから、ミツキは自分が何をされたかすら分からなかった。
◇
ギャッ!と悲鳴を上げて倒れたミツキ。 彼の右肩はすでに赤く血に染まっている。 それを見てゲレニカはニヤリと笑う。 右肩に当たったか! 銃ならクイックリングも退治できる!
マリカはミツキに駆け寄った。
「ミツキっ!」
マリカは頭の中が真っ白だ。 まさか拳銃だなんて! ミツキが死んじゃう!? マリカは加速の光が消えたミツキの上半身を腕に抱きかかえる。
「イヤっ! ミツキっ!」
気が動転したマリカは《治癒》のことを忘れていたが、ゲレニカはマリカに《治癒》を使われるのではと気が気でなかった。 《治癒》でクイックリングが復活しようものなら自分が瞬殺されてしまう。
すぐに2発目を撃ちクイックリングにトドメを刺そうと焦るゲレニカ。 だがマリカが邪魔で急所を狙えない。
「邪魔だっ。 どけ!」
しかしマリカはどかない。 ミツキの体の上に覆いかぶさり悲鳴を上げ続けている。 業を煮やしたゲレニカはマリカの腹を軽く蹴った。 傷付けないように軽くだ。 ゲレニカはマリカを自分の女にするつもりだから。 しかし可憐な乙女たるマリカには、その蹴りは強烈だった。
「うべっ」
マリカはこれまでの人生で一度も出したことのない醜い音を口から漏らし、ミツキの傍らに尻餅を突いた。
ところがミツキは拳銃を知らなかった。 あいつが手に持ってるのはなんだ? そうして警戒していたらパンッと大きな音がして右肩に途轍もない衝撃が生じた。
ゲレニカの拳銃の弾速は330m/秒。 微発光時のミツキは3~5倍速だから、弾丸が秒速66~110m ―時速に換算すると238~360km― で飛んで来ることになる。 おまけにゲレニカが手にする拳銃は護身用の22口径で、その弾丸は直径5.7mmと小さい。
釘のように小さなものが猛禽類の急降下と同じ速度で至近距離からぶっ飛んできたのだから、ミツキは自分が何をされたかすら分からなかった。
◇
ギャッ!と悲鳴を上げて倒れたミツキ。 彼の右肩はすでに赤く血に染まっている。 それを見てゲレニカはニヤリと笑う。 右肩に当たったか! 銃ならクイックリングも退治できる!
マリカはミツキに駆け寄った。
「ミツキっ!」
マリカは頭の中が真っ白だ。 まさか拳銃だなんて! ミツキが死んじゃう!? マリカは加速の光が消えたミツキの上半身を腕に抱きかかえる。
「イヤっ! ミツキっ!」
気が動転したマリカは《治癒》のことを忘れていたが、ゲレニカはマリカに《治癒》を使われるのではと気が気でなかった。 《治癒》でクイックリングが復活しようものなら自分が瞬殺されてしまう。
すぐに2発目を撃ちクイックリングにトドメを刺そうと焦るゲレニカ。 だがマリカが邪魔で急所を狙えない。
「邪魔だっ。 どけ!」
しかしマリカはどかない。 ミツキの体の上に覆いかぶさり悲鳴を上げ続けている。 業を煮やしたゲレニカはマリカの腹を軽く蹴った。 傷付けないように軽くだ。 ゲレニカはマリカを自分の女にするつもりだから。 しかし可憐な乙女たるマリカには、その蹴りは強烈だった。
「うべっ」
マリカはこれまでの人生で一度も出したことのない醜い音を口から漏らし、ミツキの傍らに尻餅を突いた。
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