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第2部
第13話 「セイヤクショ」
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マリカが思い付いたのは、ミツキに誓約書を書かせることだった。
マリカは「読み書きなんて出来ない」と威張るミツキに代わって手早く誓約書を書き上げると、隙を見てミツキの腕をつかみ力づくで誓約書に拇印を押させた。
マリカは誓約書をヒラヒラさせてミツキの拇印を乾かしながら、満足そうにミツキに語り掛ける。
「これで安心ね」 ミツキの拇印が乾いたら、きれいに折りたたんで肌身離さず持ち歩きましょう。
ミツキはインクで真っ黒に汚れた右手の親指を布で拭いながら、恨めしげにマリカに尋ねる。
「そのセイヤクショには、なんて書いてあるのさ?」
不憫なことにミツキは、今に至るまで誓約書の内容を知らされていなかった。
「私ことミツキは決してマリカさん以外の女性と親しくお付き合いしません、って書かれてるのよ」
「そんなの知るもんか」ミツキは吐き捨てるように言った。「マリカが勝手に書いたんだから」
「残念だけど、この誓約書にはミツキ自身が書いたのと同じ効果があるの」
「どうして!」
「あなたの拇印が押されてるからよ」
ミツキがさっきの屈辱を思い出し、涙ぐみながら抗議する。
「マリカが無理やり押させたんだろ!」
「それについては謝るわ。 ごめんなさい。 でも仕方なかったの」
そこでマリカの口調が恐ろしげなものに切り替わる。
「そしてミツキ、あなたに警告しておくわ。 今後は魅力的な女性の3メートル以内に近づかないことね。 あなたが魅力的だと感じる女性の3メートル以内に入ると、あなたの身長が1秒につき1ミリのペースで縮んじゃうの。 この誓約書に記された魔法陣と拇印の効果によってね」
それを聞いたミツキは恐怖の表情を浮かべてマリカから飛び退り、部屋の外へ逃げ出した。
部屋の入り口からミツキがマリカに向かって叫ぶ。
「嘘だ!」
マリカは冷静に答える。
「本当よ」
嘘である。 マリカが適当に手書きしたミミズが這ったような魔法陣に何らかの作用があるはずもない。
ミツキは部屋の入り口に立ち、泣きそうな声でオロオロと狼狽える。
「お、俺はもうマリカにも近づけないの?」
ミツキの慌てっぷりを見て、マリカの顔に優しい笑みが浮かぶ。 うふふ、いい感じでオロオロしてるじゃない。 これなら誓約書の効果をじゅうぶん期待できるわね。
「安心なさいなミツキ。 私は例外。 私にだけは近づけるの。 さあ、こっちにいらっしゃい」
ミツキが部屋の入り口からマリカのほうへおずおずと寄って来るのを、マリカは立ち上がって出迎える。 そしてミツキの顔を胸の谷間に収納。
「ね? いつもと同じ高さに顔が来るでしょ? 私なら大丈夫なの。 ほら、思うぞんぶん抱き着きなさい。
「でも私以外の女には気を付けて。 1秒ごとに1ミリ縮んじゃうから。 それ以上ちっちゃくなりたくないでしょ?」
ミツキはマリカがいなければ呼吸もままならぬとばかりに、マリカにしがみつく。
「マリカっ、俺にはお前だけだ!」
マリカはミツキの頭の後ろを優しく撫でながら、ミツキの言葉を全面的に肯定する。
「そうよ、あなたには私しかいないの」
ミツキを大切にすると誓いつつ、ちっとも大切にできていないマリカであった。
マリカは「読み書きなんて出来ない」と威張るミツキに代わって手早く誓約書を書き上げると、隙を見てミツキの腕をつかみ力づくで誓約書に拇印を押させた。
マリカは誓約書をヒラヒラさせてミツキの拇印を乾かしながら、満足そうにミツキに語り掛ける。
「これで安心ね」 ミツキの拇印が乾いたら、きれいに折りたたんで肌身離さず持ち歩きましょう。
ミツキはインクで真っ黒に汚れた右手の親指を布で拭いながら、恨めしげにマリカに尋ねる。
「そのセイヤクショには、なんて書いてあるのさ?」
不憫なことにミツキは、今に至るまで誓約書の内容を知らされていなかった。
「私ことミツキは決してマリカさん以外の女性と親しくお付き合いしません、って書かれてるのよ」
「そんなの知るもんか」ミツキは吐き捨てるように言った。「マリカが勝手に書いたんだから」
「残念だけど、この誓約書にはミツキ自身が書いたのと同じ効果があるの」
「どうして!」
「あなたの拇印が押されてるからよ」
ミツキがさっきの屈辱を思い出し、涙ぐみながら抗議する。
「マリカが無理やり押させたんだろ!」
「それについては謝るわ。 ごめんなさい。 でも仕方なかったの」
そこでマリカの口調が恐ろしげなものに切り替わる。
「そしてミツキ、あなたに警告しておくわ。 今後は魅力的な女性の3メートル以内に近づかないことね。 あなたが魅力的だと感じる女性の3メートル以内に入ると、あなたの身長が1秒につき1ミリのペースで縮んじゃうの。 この誓約書に記された魔法陣と拇印の効果によってね」
それを聞いたミツキは恐怖の表情を浮かべてマリカから飛び退り、部屋の外へ逃げ出した。
部屋の入り口からミツキがマリカに向かって叫ぶ。
「嘘だ!」
マリカは冷静に答える。
「本当よ」
嘘である。 マリカが適当に手書きしたミミズが這ったような魔法陣に何らかの作用があるはずもない。
ミツキは部屋の入り口に立ち、泣きそうな声でオロオロと狼狽える。
「お、俺はもうマリカにも近づけないの?」
ミツキの慌てっぷりを見て、マリカの顔に優しい笑みが浮かぶ。 うふふ、いい感じでオロオロしてるじゃない。 これなら誓約書の効果をじゅうぶん期待できるわね。
「安心なさいなミツキ。 私は例外。 私にだけは近づけるの。 さあ、こっちにいらっしゃい」
ミツキが部屋の入り口からマリカのほうへおずおずと寄って来るのを、マリカは立ち上がって出迎える。 そしてミツキの顔を胸の谷間に収納。
「ね? いつもと同じ高さに顔が来るでしょ? 私なら大丈夫なの。 ほら、思うぞんぶん抱き着きなさい。
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ミツキはマリカがいなければ呼吸もままならぬとばかりに、マリカにしがみつく。
「マリカっ、俺にはお前だけだ!」
マリカはミツキの頭の後ろを優しく撫でながら、ミツキの言葉を全面的に肯定する。
「そうよ、あなたには私しかいないの」
ミツキを大切にすると誓いつつ、ちっとも大切にできていないマリカであった。
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