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第2部
第19話 「捕獲」
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「みんな配置について。 そろそろミツキちゃんがここを通るはず」
オリエが4人の仲間に指示を出した。
いまオリエは、ミツキの帰宅途中を狙って彼を捕獲しようとしている。 顔を会わせるたびミツキに逃げられ続けて来たオリエが、ミツキが自分を避ける理由を知ろうと、とうとう強引な手段に出たのだ。
ミツキの捕獲には彼の習性を利用する。ミツキから見て右手の道に仲間を伏せておくのだ。 これまでミツキはオリエが姿を現すたびに右折して逃げたから、今回も右折することだろう。
◇❖◇
オリエらが配置に付いてから10分もしないうちに、道の向こうからミツキが歩いて来た。 ダンゴムシ天国からの帰り道である。 道の先に災難が待ち構えているのも知らず、ヤマブキを肩に乗せて無邪気にテクテクと歩いて来る。
「来たわねミツキちゃん。 今日こそアナタを捕まえて、アタシを避ける理由を聞き出す!」
意気込むオリエは何気なさを装って、ミツキの進行方向にすっと姿を現した。
「こんにちわ、ミツキちゃん」
オリエはミツキに向けるともすれば強烈になりがちな視線を努めて和らげようと、大輪のバラのような美貌に礼儀正しい笑みを浮かべる。 溢れ出す自分の情熱がミツキを怯えさせるのかもしれないと考えたのだ。 ミツキを捕獲する手立てを用意してはいても、オリエはやはり自分の魅力でミツキを引き留めたかった。
しかしオリエの努力は報われない。 オリエの姿を認めたミツキはビクンと立ち止まり、何かに怯えるかのように方向転換してしまった。 転換の方向は、もちろん右。 オリエの仲間が待ち伏せする路地のほうである。
「仕方ないわね」
オリエは溜め息をついて、ミツキの後を追った。
◇❖◇
「このっ、放せ! 背がっ!」
わめきながらミツキはもがくが、4人の女に絡みつかれてしまっては逃げられない。 男相手なら急所を攻撃して逃げられたが、美しく着飾った女を傷つけるのは気が咎めた。
「俺の身長がっ! くそっ。 放せよ!」
女たちは遊び半分でミツキに絡みつく。
「ねえん、どうして逃げたいの?」「うふふ、私たちと遊びましょ?」「ほらっ、大人しくしなさい」
オリエは足早にミツキの前にやって来た。
「お久しぶり、ミツキちゃん」
「お前の差し金かオリエ! 俺を放させろ!」
「どうして私を避けるの? わたしミツキちゃんに嫌われちゃった?」
「とにかく俺を解放しろ。 話はそれからだ」
「放したら逃げちゃうじゃない」
「逃げないから放せ」
ミツキが逃げないかどうか心もとなかったが、ミツキに嫌われたくないオリエはミツキを解放することにした。 逃げられても、また捕まえればいいことだし。
オリエが4人の仲間に指示を出した。
いまオリエは、ミツキの帰宅途中を狙って彼を捕獲しようとしている。 顔を会わせるたびミツキに逃げられ続けて来たオリエが、ミツキが自分を避ける理由を知ろうと、とうとう強引な手段に出たのだ。
ミツキの捕獲には彼の習性を利用する。ミツキから見て右手の道に仲間を伏せておくのだ。 これまでミツキはオリエが姿を現すたびに右折して逃げたから、今回も右折することだろう。
◇❖◇
オリエらが配置に付いてから10分もしないうちに、道の向こうからミツキが歩いて来た。 ダンゴムシ天国からの帰り道である。 道の先に災難が待ち構えているのも知らず、ヤマブキを肩に乗せて無邪気にテクテクと歩いて来る。
「来たわねミツキちゃん。 今日こそアナタを捕まえて、アタシを避ける理由を聞き出す!」
意気込むオリエは何気なさを装って、ミツキの進行方向にすっと姿を現した。
「こんにちわ、ミツキちゃん」
オリエはミツキに向けるともすれば強烈になりがちな視線を努めて和らげようと、大輪のバラのような美貌に礼儀正しい笑みを浮かべる。 溢れ出す自分の情熱がミツキを怯えさせるのかもしれないと考えたのだ。 ミツキを捕獲する手立てを用意してはいても、オリエはやはり自分の魅力でミツキを引き留めたかった。
しかしオリエの努力は報われない。 オリエの姿を認めたミツキはビクンと立ち止まり、何かに怯えるかのように方向転換してしまった。 転換の方向は、もちろん右。 オリエの仲間が待ち伏せする路地のほうである。
「仕方ないわね」
オリエは溜め息をついて、ミツキの後を追った。
◇❖◇
「このっ、放せ! 背がっ!」
わめきながらミツキはもがくが、4人の女に絡みつかれてしまっては逃げられない。 男相手なら急所を攻撃して逃げられたが、美しく着飾った女を傷つけるのは気が咎めた。
「俺の身長がっ! くそっ。 放せよ!」
女たちは遊び半分でミツキに絡みつく。
「ねえん、どうして逃げたいの?」「うふふ、私たちと遊びましょ?」「ほらっ、大人しくしなさい」
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「お久しぶり、ミツキちゃん」
「お前の差し金かオリエ! 俺を放させろ!」
「どうして私を避けるの? わたしミツキちゃんに嫌われちゃった?」
「とにかく俺を解放しろ。 話はそれからだ」
「放したら逃げちゃうじゃない」
「逃げないから放せ」
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