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第2部
第24話 「絶望するマリカ」
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「ボス、とりあえず中に入りましょう」
マリカが呆然自失なのをこれ幸いと、護衛チームの一人がそっとマリカの肩を抱く。 マリカは肩を抱かれているのにも気づかず、促されるままに家の中へ戻った。
護衛チームの面々が「今こそチャンス」とばかりにマリカの部屋の中へまで入って来ようとするのを上の空で締め出し、マリカはベッドに腰掛けて思考に埋没する。
(ミツキを叩いちゃった... 鼻血が出てた)
ミツキの白く滑らかな肌を流れる鼻血を思い出し、マリカの中に罪悪感と怒りが沸き起こる。 完璧に美しいものを傷つけてしまった怒りは、まず自分に向かった。 傷つけたのが他ならぬ自分だから。
(くそっ、私め! ミツキを引っぱたいたりなんかして!)
悪態をつくマリカ。 流刑地に送られてから彼女は着実に、下品な言葉遣いを身に付けていた。
しばし怒って頭が冷え理屈っぽくなったマリカの思考はやがて、自分にビンタをさせた原因へと怒りの矛先を向ける。
(結局、あの2人が悪いの。 ミツキは自業自得。 私が自分に腹を立てる必要なんてない。 でもそうなると、オリエさんにも罰が必要だわ。 ミツキばかりが罰を受けたんじゃ不公平ですもの)
だが、その次の思考がマリカを不安に陥れる。
(でも... 果たして今の私にオリエさんを罰する力が残っているの?)
マリカの権力の源泉はミツキだが、そのミツキはオリエに連れ去られてしまった。 オリエは今この瞬間にも、ミツキにあることないこと吹き込んでミツキを完全に自分のものにしようとしているに違いない。
(騙されやすさに定評のあるミツキのことだから、オリエさんの嘘にコロっと引っかかるに決まってる。 ...私はオリエさんにミツキを奪われちゃったの? ミツキなしじゃ私は...)
マリカの脳裏に悪夢が甦る。 かつて思い描いた悪夢の予想図。 配下の男たちに嬲りものにされるか、ジュニアの女に堕すかという最低な未来。 その最悪のシナリオが実現し始めているのだ。 オリエを罰するどころの話ではない。
(あのとき感じた悪い予感は本物だった。 オリエさんはやっぱり危険だった...)
それからマリカが絶望するまで、そう時間はかからなかった。
マリカが呆然自失なのをこれ幸いと、護衛チームの一人がそっとマリカの肩を抱く。 マリカは肩を抱かれているのにも気づかず、促されるままに家の中へ戻った。
護衛チームの面々が「今こそチャンス」とばかりにマリカの部屋の中へまで入って来ようとするのを上の空で締め出し、マリカはベッドに腰掛けて思考に埋没する。
(ミツキを叩いちゃった... 鼻血が出てた)
ミツキの白く滑らかな肌を流れる鼻血を思い出し、マリカの中に罪悪感と怒りが沸き起こる。 完璧に美しいものを傷つけてしまった怒りは、まず自分に向かった。 傷つけたのが他ならぬ自分だから。
(くそっ、私め! ミツキを引っぱたいたりなんかして!)
悪態をつくマリカ。 流刑地に送られてから彼女は着実に、下品な言葉遣いを身に付けていた。
しばし怒って頭が冷え理屈っぽくなったマリカの思考はやがて、自分にビンタをさせた原因へと怒りの矛先を向ける。
(結局、あの2人が悪いの。 ミツキは自業自得。 私が自分に腹を立てる必要なんてない。 でもそうなると、オリエさんにも罰が必要だわ。 ミツキばかりが罰を受けたんじゃ不公平ですもの)
だが、その次の思考がマリカを不安に陥れる。
(でも... 果たして今の私にオリエさんを罰する力が残っているの?)
マリカの権力の源泉はミツキだが、そのミツキはオリエに連れ去られてしまった。 オリエは今この瞬間にも、ミツキにあることないこと吹き込んでミツキを完全に自分のものにしようとしているに違いない。
(騙されやすさに定評のあるミツキのことだから、オリエさんの嘘にコロっと引っかかるに決まってる。 ...私はオリエさんにミツキを奪われちゃったの? ミツキなしじゃ私は...)
マリカの脳裏に悪夢が甦る。 かつて思い描いた悪夢の予想図。 配下の男たちに嬲りものにされるか、ジュニアの女に堕すかという最低な未来。 その最悪のシナリオが実現し始めているのだ。 オリエを罰するどころの話ではない。
(あのとき感じた悪い予感は本物だった。 オリエさんはやっぱり危険だった...)
それからマリカが絶望するまで、そう時間はかからなかった。
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