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プロローグ-1
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俺には才能なんてなにもない。
スポーツは苦手だ。足が遅いし、動体視力も絶望的。おまけに体まで硬いので、柔軟体操の時点でもう限界。
手先が不器用で発想力もないから、家庭科・技術や美術の時間にできあがるものは全てそのままゴミ箱行き。
その上見た目まで冴えないときている。ひょろひょろ眼鏡のぼさぼさ黒髪。
人付き合いも苦手。話すのも苦手。お察しの通り、俺に友だちなんていない。高校に入学してもう二カ月も経っているのに、だ。別にいいけど。
そんな俺には、勉強くらいしかすることがなかった。
勉強は良い。ただ教科書にかじりつき、練習問題を解いていくだけで高得点が出るんだから。
体を動かす必要もない。想像力も必要ない。人と話す必要もない。ただ頭を使うだけでいい。
「はーい、みんな静かにー。中間テストの結果配るよー」
先生の一言で、教室が余計に騒がしくなった。
配られた結果を見て、生徒たちは一喜一憂している。
「はい次、鳥次 理玖(とりつぐ りく)くん~」
「……」
俺は返事もせずに紙片を受け取った。
「……」
結果はそこそこ。どれも百点は取れなかったが、全教科九十点台だった。
紙片にはクラス内と学年内の順位が記載されている。俺はどちらも二位だった。
二位なんて取ったの久しぶりだ。
放課後、生徒たちが各々友人たちに成績を見せ合っていた。
「げっ!? マジかよお前!!」
背後で聞こえたうるさい声に、俺は顔をしかめた。(あと聞こえないように舌打ちをした)
俺のうしろの席には、俺と正反対の存在のような男子が座っている。休み時間や放課後になると、そいつ目当てに騒がしくてチャラチャラした生徒たちが俺の背後に集まってくる。疎ましくてしょうがない。
「凪(なぎ)、お前……学年一位!?」
眉をひそめた。
凪とは俺の後ろの席に座っている生徒だ。サッカー部でイケメンだからかなんだか知らないが、入学早々女子にモテまくっている。コミュ力も高いので男子からも好かれている。
だが少しばかり素行が良くない。モテているのをいいことに、女子をとっかえひっかえして遊んでは、軽い気持ちでポイッと捨てやがるのだ。この前それが理由でちょっとしたトラブルになっていた。
そんなこともあり、顔と運動神経が良いだけのバカなのだろうと思っていた。
それが……なんだって? 学年一位? 最下位の聞き間違いか?
俺はそっと聞き耳を立てた。
凪は友人に言われてはじめて気がついたようだった。
「おお? あ、ほんとだ」
「あんま驚かねえのな」
「まあ……中学んときからずっと一位しかとったことないし」
「は!? 嘘だろ!?」
「そんなダサい嘘誰が吐くんだよ」
いや、嘘だろ。絶対嘘だ。嘘だと言え。
運動神経が良くて? コミュ力あって? 友だちが多くて? 頭まで良い? ふざけるな。
唯一こいつに勝てると思っていた勉強ですら、こいつに勝てないなんて。
「あ」
「……?」
ふと背後から視線を感じたが、気付かないふりをした。
「ねえ、君」
「!?」
肩を叩かれ、俺は体を強張らせる。肩越しにぬっと凪が顔を覗かせた。
「ひっ」
近距離でその顔面はきつい。劣等感で俺が死ぬ。
俺の気も知らず、凪はその顔面でにっこり笑った。
「ごめん、君の成績見えちゃった。学年二位じゃん。すごいな!」
「……」
なんだそれ。学年一位が二位に言う「すごい」は褒め言葉でもなんでもない。王者の風格を見せつけやがって。
俺は凪の手を振り払い、さっさと教室を出て行った。
むかつく。見てろよ。次の期末考査、絶対俺が一位を取ってやるからな。
スポーツは苦手だ。足が遅いし、動体視力も絶望的。おまけに体まで硬いので、柔軟体操の時点でもう限界。
手先が不器用で発想力もないから、家庭科・技術や美術の時間にできあがるものは全てそのままゴミ箱行き。
その上見た目まで冴えないときている。ひょろひょろ眼鏡のぼさぼさ黒髪。
人付き合いも苦手。話すのも苦手。お察しの通り、俺に友だちなんていない。高校に入学してもう二カ月も経っているのに、だ。別にいいけど。
そんな俺には、勉強くらいしかすることがなかった。
勉強は良い。ただ教科書にかじりつき、練習問題を解いていくだけで高得点が出るんだから。
体を動かす必要もない。想像力も必要ない。人と話す必要もない。ただ頭を使うだけでいい。
「はーい、みんな静かにー。中間テストの結果配るよー」
先生の一言で、教室が余計に騒がしくなった。
配られた結果を見て、生徒たちは一喜一憂している。
「はい次、鳥次 理玖(とりつぐ りく)くん~」
「……」
俺は返事もせずに紙片を受け取った。
「……」
結果はそこそこ。どれも百点は取れなかったが、全教科九十点台だった。
紙片にはクラス内と学年内の順位が記載されている。俺はどちらも二位だった。
二位なんて取ったの久しぶりだ。
放課後、生徒たちが各々友人たちに成績を見せ合っていた。
「げっ!? マジかよお前!!」
背後で聞こえたうるさい声に、俺は顔をしかめた。(あと聞こえないように舌打ちをした)
俺のうしろの席には、俺と正反対の存在のような男子が座っている。休み時間や放課後になると、そいつ目当てに騒がしくてチャラチャラした生徒たちが俺の背後に集まってくる。疎ましくてしょうがない。
「凪(なぎ)、お前……学年一位!?」
眉をひそめた。
凪とは俺の後ろの席に座っている生徒だ。サッカー部でイケメンだからかなんだか知らないが、入学早々女子にモテまくっている。コミュ力も高いので男子からも好かれている。
だが少しばかり素行が良くない。モテているのをいいことに、女子をとっかえひっかえして遊んでは、軽い気持ちでポイッと捨てやがるのだ。この前それが理由でちょっとしたトラブルになっていた。
そんなこともあり、顔と運動神経が良いだけのバカなのだろうと思っていた。
それが……なんだって? 学年一位? 最下位の聞き間違いか?
俺はそっと聞き耳を立てた。
凪は友人に言われてはじめて気がついたようだった。
「おお? あ、ほんとだ」
「あんま驚かねえのな」
「まあ……中学んときからずっと一位しかとったことないし」
「は!? 嘘だろ!?」
「そんなダサい嘘誰が吐くんだよ」
いや、嘘だろ。絶対嘘だ。嘘だと言え。
運動神経が良くて? コミュ力あって? 友だちが多くて? 頭まで良い? ふざけるな。
唯一こいつに勝てると思っていた勉強ですら、こいつに勝てないなんて。
「あ」
「……?」
ふと背後から視線を感じたが、気付かないふりをした。
「ねえ、君」
「!?」
肩を叩かれ、俺は体を強張らせる。肩越しにぬっと凪が顔を覗かせた。
「ひっ」
近距離でその顔面はきつい。劣等感で俺が死ぬ。
俺の気も知らず、凪はその顔面でにっこり笑った。
「ごめん、君の成績見えちゃった。学年二位じゃん。すごいな!」
「……」
なんだそれ。学年一位が二位に言う「すごい」は褒め言葉でもなんでもない。王者の風格を見せつけやがって。
俺は凪の手を振り払い、さっさと教室を出て行った。
むかつく。見てろよ。次の期末考査、絶対俺が一位を取ってやるからな。
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