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スルトの結婚

【46話】やべぇ妻

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結婚式が終わり、スルトとエリザベスが寝室へ向かう。薄く透けた布を羽織り、恥じらいを浮かべてベッドへ座るエリザベスを見ても、スルトはなんの興奮も沸き立たなかった。

「スルト様…キスをして」

言われるがまま、唇を重ねる。甘ったるい香水の匂い。

(ちがう、俺が求めてるのはこの匂いではない)

豊満な胸に触れても、エリザベスの甘い吐息を聞いても、柔らかい肌を撫でても、濡れたところに指をさしこんでも、なにも感じない。

「あっ、あっ、スルト様ァ…」

「くそ…っ」

「スルト様…?」

とろんとした目でエリザベスがスルトを見上げる。息ひとつ上がっていない。下半身も、まったく反応していない。

(あら、スルト様がおっしゃっていたことは本当でしたのね。私の躰に触れて全く反応を示さないなんて…。仕方ないですわね)

エリザベスは指と唇をスルトのそれに寄せた。

「お、おいエリザベス。そんなことはしなくていい」

「いいえ。旦那様を悦ばせるのが妻の役目ですわ。元気にして差し上げます」

しかし、いくらたっても硬くならない。エリザベスは困ったように唸った。

「あらあら、本当にだめですわね…」

「すまないエリザベス…」

「いいんですのよ。でも、初夜は一大イベントですもの。成功させたいですわ」

(早くスルト様とひとつになりたいですわ!ちぢこまっているスルト様もかわいらしいけれど、やっぱり大きくなったものを是非拝ませていただきたいですわ。こうなったら最終手段…)

「スルト様、私、いいことを考えましたわ」

「なんだ?」

「スルト様は、お気に入りの子には反応するのでしょう?」

「そうだが…」

「その子にお手伝いしていただきましょう?」

「…何を言っているんだ君は」

「その子にスルト様を元気にしてもらって、そして私と体を重ねるのです。いい案でございましょう?」

「まったく良くない。それは君にとっても、ケーゴに対しても失礼な行為だ」

「私はかまいませんの。ケーゴ、と言いますの?彼に聞きに行きましょう?彼が嫌だと言えばあきらめますわ」

「エリザベス…君はショックを受けすぎておかしくなったのか…?」

「いいえ。私は初夜にスルト様とひとつになりたいだけですわ。それが叶うなら、なんだってします。スルト様。お願い…」

「ぐっ…」

ただでさえエリザベスに引け目を感じているスルトは、それ以上逆らえなかった。重い足取りで、エリザベスと一緒に圭吾の部屋をノックする。

◇◇◇

ノックの音が聞こえる。僕は気のない声で返事をした。

「ケーゴ…」

その声に、僕は布団から飛び出て起き上がる。スルト?!なんで?!

「こんばんは、ケーゴ。はじめまして。わたくし、スルトの妻となりましたエリザベスと申しますわ。よろしくお願いいたします」

…は?

固まっている僕の顔を、エリザベスが無遠慮にのぞきこむ。

「まあ!なんて美しい顔立ちをしておりますの?スルト様が夢中になってしまうのも無理はありませんね」

「スルト…?これどういう状況?説明によっては殺すよ?」

「ぐっ…」

「あらあらダメですわよケーゴ、ご主人様にそんな言葉遣いをしてはいけませんわ」

え?なにこの女の人。こわい。会話の内容からして僕とスルトの関係知ってる感じだったよね?なんで初夜に僕の部屋に来るの?2人で勝手にお楽しみください?

「ねえケーゴ。お願いがありますの」

「はあ…なんでしょうか…」

「あのね、私の旦那様ったら、私の躰では全く反応しませんのよ?私、体つきに自信がございましたのに…」

エリザベスはそう言って服をはだけさせた。大きな胸が丸見えになる。でか…え、でっか!!んで乳首きれいだなおい!!!外国人の女体やべえ!!

「おい!エリザベス、俺以外の男に裸を見せるなんてどういうつもりだ」

は?なにそれ。俺以外の男?僕のこと「俺以外の男」呼ばわりした?は?

「あら、どっちにしたって見られるじゃありませんか。ともにベッドで過ごすんですから」

「ちょ、ちょっと待ってください。え?なんて?」

「ふふ。ケーゴ。私、スルトさまとひとつになりたいんです。でも、私だけじゃ力不足ですの。だから、ケーゴも手伝っていただけません?」

「手伝うとは?」

「ケーゴには、スルト様を反応させていただきたのです」

「えーっと、つまり、僕がスルトを勃起させて、勃起させたちんこをエリザベス様に挿入する…ということでしょうか?」

「あらあら。はしたない言葉をたくさん。でも、そういうことですわ。あなた、この城に仕える男娼でございましょう?今日から私もあなたの主なのですわよ。逆らうなんて許しませんわ。さあ、おいでなさい」

「おい、エリザベス…話が違うではないか。先ほどはケーゴの気持ちを尊重すると…」

「いいよ。スルト。付き合う」

「な、ケーゴ。無理はするな…」

「別にかまわない。僕にしか反応しないんでしょ?それほど夢中にさせた僕が悪いんだから。このくらいお手伝いいたしますよ。ご主人様」

僕の言葉に一瞬エリザベスが顔をしかめた。
僕はわざとらしく敬礼し、スルトを見てにやりと笑う。もうヤケクソだ。どうにでもなれってんだ。
その時僕は、僕のことを「俺以外の男」呼ばわりしたスルトにも、「男娼」呼ばわりして無理矢理従わそうとするエリザベスにも腹が立っていた。

その一方で、美しくスタイルのいいエリザベスの体で反応しなかったスルトが、とてつもなく愛おしかった。嬉しいと感じてしまった。そしてエリザベスに、優越感を感じてしまった。

それがいけなかった。いけなかったんだなあ。
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