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番外編-3 発情期
7
(駿side)
帰り道、母さんに電話をかけた。
仕事中だし出ないだろうなーと思っていたのに、なぜかすぐに繋がった。
《珍しいな。どうした?》
「いや、その……。今大丈夫?」
《大丈夫だ》
「……うしろ騒がしいけど?」
《全く問題ない》
そうか……? 電話が鳴りまくっているし、大人たちのバタバタした声が聞こえているが……?
《で、どうした》
「……あのさ。この前、オメガと付き合ってるって言ったじゃん?」
《オメガって呼ぶな。名前で呼べ。ナオで変わりない?》
「うん。ナオ」
《ナオがどうした》
「俺……ナオの発情期に、一緒にいることにした」
《……ピルは――》
「飲んでもらってる」
《……そうか》
ちょっと沈黙してから、母さんが口を開く。
《駿が選んだんだな?》
「うん」
《そうか》
「……許してくれる?」
《許すもなにも。あんたが選んだことなんでしょ》
「怒らないんだ」
《大事にする覚悟があるなら》
「……」
俺は唾を呑み込み、声を絞り出す。
「……昨晩、発情期のナオに会いに行って、ラットになった」
《だろうな》
「記憶がなくて。気付いたら、ナオの全身が噛み痕だらけになってた」
《首は――》
「首輪付けてもらってたから、首は大丈夫なんだけど……」
《そうか。最低限のことはしているようで安心した》
「でもさ……ナオ、痛そうで……。どうにかできない?」
《というのは?》
「ラットにならない薬とか、少なくとも記憶を保つ薬とか、噛まないようにする方法とか……」
母さんが深いため息を吐いたのが聞こえた。
《あんた、一番強い薬飲んでソレなんだろ? じゃあそれ以上マシになる薬はない。噛まないようにする方法は……自分に口枷でもしとけ》
「そうか……! 口枷すればいいのか!!」
《想像しただけで面白すぎるが、まあ噛まずには済むだろうな》
「おぉぉ~……! これでいっこ解決できた……! ありがとな!」
《ん。他にはないか?》
「今んとこ大丈夫!」
《なにかあればいつでも電話してきたらいい》
「ありがと!」
《……再来週の土曜日は、家に帰れそうなんだ。駿の予定は?》
「ナオに会おうと思ってたけど……」
《そうか。じゃあ一度うちに連れてこい。ナオに会いたい》
「オッケー! 誘っとく!」
《楽しみだ》
母さんに話を聞いてもらったら、少し気持ちが楽になった。
そうかー! 口枷をすればいいのかー! なんで気付かなかったんだろ!
これでもう、ナオに痛そうな歯形を付けずに済むぞ!
……と思って、次の発情期のときに口枷をはめたら、ナオにドン引きされた。
絵面がヤバいからやめてくれ、それなら噛まれたほうがマシ、と非難囂々。
俺はまた、別の噛まない方法を探すハメになった。
【番外編-3 発情期 end】
帰り道、母さんに電話をかけた。
仕事中だし出ないだろうなーと思っていたのに、なぜかすぐに繋がった。
《珍しいな。どうした?》
「いや、その……。今大丈夫?」
《大丈夫だ》
「……うしろ騒がしいけど?」
《全く問題ない》
そうか……? 電話が鳴りまくっているし、大人たちのバタバタした声が聞こえているが……?
《で、どうした》
「……あのさ。この前、オメガと付き合ってるって言ったじゃん?」
《オメガって呼ぶな。名前で呼べ。ナオで変わりない?》
「うん。ナオ」
《ナオがどうした》
「俺……ナオの発情期に、一緒にいることにした」
《……ピルは――》
「飲んでもらってる」
《……そうか》
ちょっと沈黙してから、母さんが口を開く。
《駿が選んだんだな?》
「うん」
《そうか》
「……許してくれる?」
《許すもなにも。あんたが選んだことなんでしょ》
「怒らないんだ」
《大事にする覚悟があるなら》
「……」
俺は唾を呑み込み、声を絞り出す。
「……昨晩、発情期のナオに会いに行って、ラットになった」
《だろうな》
「記憶がなくて。気付いたら、ナオの全身が噛み痕だらけになってた」
《首は――》
「首輪付けてもらってたから、首は大丈夫なんだけど……」
《そうか。最低限のことはしているようで安心した》
「でもさ……ナオ、痛そうで……。どうにかできない?」
《というのは?》
「ラットにならない薬とか、少なくとも記憶を保つ薬とか、噛まないようにする方法とか……」
母さんが深いため息を吐いたのが聞こえた。
《あんた、一番強い薬飲んでソレなんだろ? じゃあそれ以上マシになる薬はない。噛まないようにする方法は……自分に口枷でもしとけ》
「そうか……! 口枷すればいいのか!!」
《想像しただけで面白すぎるが、まあ噛まずには済むだろうな》
「おぉぉ~……! これでいっこ解決できた……! ありがとな!」
《ん。他にはないか?》
「今んとこ大丈夫!」
《なにかあればいつでも電話してきたらいい》
「ありがと!」
《……再来週の土曜日は、家に帰れそうなんだ。駿の予定は?》
「ナオに会おうと思ってたけど……」
《そうか。じゃあ一度うちに連れてこい。ナオに会いたい》
「オッケー! 誘っとく!」
《楽しみだ》
母さんに話を聞いてもらったら、少し気持ちが楽になった。
そうかー! 口枷をすればいいのかー! なんで気付かなかったんだろ!
これでもう、ナオに痛そうな歯形を付けずに済むぞ!
……と思って、次の発情期のときに口枷をはめたら、ナオにドン引きされた。
絵面がヤバいからやめてくれ、それなら噛まれたほうがマシ、と非難囂々。
俺はまた、別の噛まない方法を探すハメになった。
【番外編-3 発情期 end】
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