天国と地獄

蛭魔だるま

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天国…2

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閻魔は幕を行き来する。

幕に行くたびに装飾を着けていく。服は天国と書かれたTシャツ。


閻魔「楽しい、何ここ、天国じゃん!」

天人「天国ですけど」

閻魔「うおっ!急に現れんなよ。驚くだろ!気配を出せ、気配を!」

天人「察知してください」

閻魔「そんなことより、写真!写真撮って!」

天人「はぁ、ご愁傷様でーす」

閻魔「それはさぁ、天国の決まりなの?」



カメラを受け取り写真を撮る。



天人「個人的に気に入っているだけです」


カメラ返す。


閻魔「おお。あ、いいわーかっこいい」

天人「…そんなに楽しいですか?」

閻魔「楽しい!仕事しかしてこなかったから、こんなに遊んだのは初めて。もう幸せ」

天人「安い人間ですね。みんなが飽きた建物で、こんなに遊べるなんて」

閻魔「いやー天国嫌う奴なんていないしょ」

天人「たぶん、あなた以外みんな嫌いですよ」

閻魔「ええ!?なんで」

天人「みんなが嫌う理由は、たぶんギャンブルがないから」

閻魔「天国にはギャンブラーしかいないの?」

天人「そういう意味じゃないです」

閻魔「何が違うんだ?」

天人「例えば、人間が会社で働くのは給料を貰えるからであって、お金の概念もない天国では誰も働きません」

閻魔「うん?」

天人「つまり、人間は常に欲しいものを好きなだけ与えられてしまうと、行動しなくなってしまうんです」

閻魔「なるほどー」

天人「…わかりました?」

閻魔「おう。じゃあさ、現世でお金持ちだった人とかはどうなるんだ?」

天人「一番にダメになります。メンタルも弱いし」

閻魔「あーわかった、わかった。要は通貨がないと人間はダメってことだな」


どう見てもわかってない感じで閻魔は腕を組み、頷く。


天人「なんか違う気がしますけど」

閻魔「そういや、ギャンブルないっていったけど、競馬あったじゃん」

天人「やっぱり意味わかってないじゃないですか」

閻魔「そうか?」

天人「しかもあれは機械の馬が走っているだけですよ。お金貰ったってただの紙切れなんですから」

閻魔「なんで機械?」

天人「動物だって自由ですから。で、これだけ言えばわかりましたよね。みんなが天国を嫌う理由」

閻魔「いやー、まぁ俺は与えられるだけでも、幸せだと思うけどな」

天人「まだ言いますか」

閻魔「俺なんて1人部屋に閉じ込められて、休みなく働かされて、代わりはいないからやめることもできない。ずーっと単純作業をやり続けるだけ。でも、そんな地獄から、やっと抜け出せた。もう楽しいしかない」

天人「私はそっちの仕事している方が幸せです。今のあなたは休めているじゃないですか。ということは、仕事するも、休むのもあなたの自由なんですよね。仕事するって言っても、遅さも、早さも自由ですよね?天国の終わりのない自由の方が苦痛ですよ」


天人しゃがみ込む。


閻魔「社畜の鏡だなー。俺と立場を変えてもらいたい」

天人「同じ天国の住人ですよ、今はもう」

閻魔「あ、ああーそうだな」

天人「楽しんではいるのに、慣れないんですね」

閻魔「てか、そんなに嫌なら輪廻転生すればいいのに」

天人「いま輪廻転生は天国に飽きた高齢者ラッシュだから無理です。何万年と待たないと」


天人はゆっくり立ち上がる。あきれた感じで。


閻魔「ディズニーのファストパス欲しいな」

天人「真面目に仏教やっていたら良かった」

閻魔「なんで?」

天人「輪廻転生から解脱できるらしいですよ」

閻魔「へー生前どこの宗教だったんだ?」

天人「仏教ですけど」

閻魔「え?じゃあ解脱できるじゃん」

天人「家族が仏教だったから、一応ですよ。学生が真面目に仏教なんてそうそうないでしょ」

閻魔「へーそうなんだ」

天人「なんか、へーって言うこと多くないですか?ちなみに、あなたは何宗教ですか?」

閻魔「えっとー、ゾロアスター教?」

天人「日本でそれは、珍しいですね」

閻魔「確か地獄の悪魔たちはゾロアスター教が多かった、ような。…マイナーなのか?」


天人に聞こえないように少し小声で。


天人「地獄?」

閻魔「いやー地獄谷出身者は地元のこと地獄っていうからさー」

天人「へーそうなんですね。ゾロアスター教なら世界史で習った気がします」

閻魔「え、お前ってもしかして学生?」

天人「見えないって言いたいんですか?」

閻魔「いや、別に、そういうわけじゃ」

天人「まぁ生きているころから学生らしくないとは言われましたから。一人暮らしでしたし」

閻魔「だよな!一人で寂しく生きてそう」


閻魔は天人の肩を叩く。


天人「そこは、フォローするところですけどね」

閻魔「全然そんな風には見えないのにー」

天人「あーあ、こんなことなら、学生生活謳歌すればよかった」

閻魔「学生かー、学生だもんなー」

天人「…勉強なんて死んだら役に立たないんですね」

閻魔「勉強しかしてなかったのか」

天人「友達なんか作らなくても生きていけるとか思っていたんですけど、お葬式に親族以外来ないとへこみますね」

閻魔「友達作らなかったから死んだのか!」

天人「人の話聞かない人ですね」

閻魔「お前の死因は?」




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