20 / 27
卒業2
しおりを挟む
最終面接が決まってからの私は、用意していた資料をさらに詳しくわかりやすく作り直すことに集中していた。
最終面接の内容は公開されていないけれど、今回は一次の時と違って個人面接だし、一人当たり30分時間を取るって書いてあったので、多分、成果物についてたくさん聞かれるだろうと思っていた。
私は、面接の対策というよりはプレゼンのつもりで資料を作り直した。
ここまで準備して全然違うこと聞かれたらどうしようって思ったりもしたけど、迷ってる暇なんてないし、他のことは一次の時点で調べ尽くしたと思っていた。
だから、今できることは、逆に言えばこれしかないので、集中した。
私の学生生活の半分は、サークル活動だった。もう半分は、もちろん詩乃と過ごした時間。
決して褒められたような活動ではなかったと思う。
精神的に病んでしまって、皆にも、詩乃にも沢山迷惑をかけたし、一人で立ち直れたわけでもない。
それでも私は、自分達で掲げた「子供向けの歴史書を100ページ作る」という目標に向かって頑張ってきた。
去年の今頃は、もう100ページなんて到底間に合わないと思ってたし、だいぶ巻き返した今でも現時点であと30ページは残っている。
逆にここまで巻き返せたからこそ、卒業までには達成できる気がしてきた。
本当、皆のおかげ。私は一人ではなにもできないし、足りないことばっかり。
この話を、そのまま面接で伝えようと思ってる。
どういうことに躓いて、どうやって乗り越えたのか、そのためにどんなアイディアが出て、それをどうやってまとめてどう決断したのか。
これが、全て。サークル活動のっていうよりは、私の全て。
私にできることは、人より奇抜なアイディアを出すことでも、ひたすらリーダーシップを取り続けることでもない。
皆アイディアをまとめて、一つのものにすること。
これだけだから。
そして、これをどうやって学習塾という「仕事」に活かすつもりなのか。
ここまでをしっかり考えておこう。
例えば、なるべく交流広場に顔を出すようにして、授業へのアイディアを子供達と一緒に考えていきたいとか。
つまり、子供達が普段からどんなことに興味を持って、どんなふうに過ごしてるのかを、実際に子供達の言葉で聞いて、授業のやり方に取り入れていきたい。
これは、自習室しか持たない学習塾にはちょっと難しいと思う。
だって、自習室って静かにしなきゃいけないイメージがあるでしょう?
そんなところで、むしろ静かにさせなきゃいけない立場の大人が、ずっと喋ってるわけにも行かないじゃない。
それに、教室でだってゆっくりは喋れないから。
交流広場があるっていうのは、本当、すごくいいことだと思う。活かさない手はないわ。
毎日毎日こんなことばっかり考えて、授業に出て、サークルにも顔を出してたら、あっという間に最終面接の日はやってきた。
この数日間、私は私なりに一生懸命考えて、準備をしてきた。
でも、すっごく楽しかった!勉強も好きだけど、なんか勉強とは違った楽しさだった。
もし、入社できたら、どうやって授業するかとか、子供達にどんなことを聞いてみたいかとかそういう考えがずーっと浮かんできて、考えているだけで本当に幸せだった。
だからこそ、今改めて思う。
絶対この会社に入りたいって。
不思議なことに、緊張は全然しなかった。
多分、できる限りの準備ができた実感があったからだと思う。
さぁ、次は私の番。
文字通り、私の全てを出し切ろう。
結論から言うと、面接の内容は、半分は私の思った通りだった。
前半が、学生時代の成果物についてで、後半は、学習塾でどのように働きたいか。
後半全部を仕事の話というのが、ちょっと意外で、時間配分にちょっと困ったけど、でも、概ね上手く話せたと思う。
その後の仕事についても、思ったことはちゃんと言えたし、口調も固くなりすぎずに済んだと思う。
正直、「落ちたかも」と思うようなことはなかった。
つまり、力は出しきれた。
だから、落ちたらそれは、実力がなかったんだと思う。
私は、学生時代の最後になってやっと、悔しいという気持ちの本当の意味がわかった気がする。
いや、まだ落ちたわけじゃないけどw
学生時代の4年間で、1番待ち遠しい1週間が始まった。
最終面接の内容は公開されていないけれど、今回は一次の時と違って個人面接だし、一人当たり30分時間を取るって書いてあったので、多分、成果物についてたくさん聞かれるだろうと思っていた。
私は、面接の対策というよりはプレゼンのつもりで資料を作り直した。
ここまで準備して全然違うこと聞かれたらどうしようって思ったりもしたけど、迷ってる暇なんてないし、他のことは一次の時点で調べ尽くしたと思っていた。
だから、今できることは、逆に言えばこれしかないので、集中した。
私の学生生活の半分は、サークル活動だった。もう半分は、もちろん詩乃と過ごした時間。
決して褒められたような活動ではなかったと思う。
精神的に病んでしまって、皆にも、詩乃にも沢山迷惑をかけたし、一人で立ち直れたわけでもない。
それでも私は、自分達で掲げた「子供向けの歴史書を100ページ作る」という目標に向かって頑張ってきた。
去年の今頃は、もう100ページなんて到底間に合わないと思ってたし、だいぶ巻き返した今でも現時点であと30ページは残っている。
逆にここまで巻き返せたからこそ、卒業までには達成できる気がしてきた。
本当、皆のおかげ。私は一人ではなにもできないし、足りないことばっかり。
この話を、そのまま面接で伝えようと思ってる。
どういうことに躓いて、どうやって乗り越えたのか、そのためにどんなアイディアが出て、それをどうやってまとめてどう決断したのか。
これが、全て。サークル活動のっていうよりは、私の全て。
私にできることは、人より奇抜なアイディアを出すことでも、ひたすらリーダーシップを取り続けることでもない。
皆アイディアをまとめて、一つのものにすること。
これだけだから。
そして、これをどうやって学習塾という「仕事」に活かすつもりなのか。
ここまでをしっかり考えておこう。
例えば、なるべく交流広場に顔を出すようにして、授業へのアイディアを子供達と一緒に考えていきたいとか。
つまり、子供達が普段からどんなことに興味を持って、どんなふうに過ごしてるのかを、実際に子供達の言葉で聞いて、授業のやり方に取り入れていきたい。
これは、自習室しか持たない学習塾にはちょっと難しいと思う。
だって、自習室って静かにしなきゃいけないイメージがあるでしょう?
そんなところで、むしろ静かにさせなきゃいけない立場の大人が、ずっと喋ってるわけにも行かないじゃない。
それに、教室でだってゆっくりは喋れないから。
交流広場があるっていうのは、本当、すごくいいことだと思う。活かさない手はないわ。
毎日毎日こんなことばっかり考えて、授業に出て、サークルにも顔を出してたら、あっという間に最終面接の日はやってきた。
この数日間、私は私なりに一生懸命考えて、準備をしてきた。
でも、すっごく楽しかった!勉強も好きだけど、なんか勉強とは違った楽しさだった。
もし、入社できたら、どうやって授業するかとか、子供達にどんなことを聞いてみたいかとかそういう考えがずーっと浮かんできて、考えているだけで本当に幸せだった。
だからこそ、今改めて思う。
絶対この会社に入りたいって。
不思議なことに、緊張は全然しなかった。
多分、できる限りの準備ができた実感があったからだと思う。
さぁ、次は私の番。
文字通り、私の全てを出し切ろう。
結論から言うと、面接の内容は、半分は私の思った通りだった。
前半が、学生時代の成果物についてで、後半は、学習塾でどのように働きたいか。
後半全部を仕事の話というのが、ちょっと意外で、時間配分にちょっと困ったけど、でも、概ね上手く話せたと思う。
その後の仕事についても、思ったことはちゃんと言えたし、口調も固くなりすぎずに済んだと思う。
正直、「落ちたかも」と思うようなことはなかった。
つまり、力は出しきれた。
だから、落ちたらそれは、実力がなかったんだと思う。
私は、学生時代の最後になってやっと、悔しいという気持ちの本当の意味がわかった気がする。
いや、まだ落ちたわけじゃないけどw
学生時代の4年間で、1番待ち遠しい1週間が始まった。
0
あなたにおすすめの小説
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
すべてはあなたの為だった~狂愛~
矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。
愛しているのは君だけ…。
大切なのも君だけ…。
『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』
※設定はゆるいです。
※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。
実在しないのかもしれない
真朱
恋愛
実家の小さい商会を仕切っているロゼリエに、お見合いの話が舞い込んだ。相手は大きな商会を営む伯爵家のご嫡男。が、お見合いの席に相手はいなかった。「極度の人見知りのため、直接顔を見せることが難しい」なんて無茶な理由でいつまでも逃げ回る伯爵家。お見合い相手とやら、もしかして実在しない・・・?
※異世界か不明ですが、中世ヨーロッパ風の架空の国のお話です。
※細かく設定しておりませんので、何でもあり・ご都合主義をご容赦ください。
※内輪でドタバタしてるだけの、高い山も深い谷もない平和なお話です。何かすみません。
王妃は涙を流さない〜ただあなたを守りたかっただけでした〜
矢野りと
恋愛
理不尽な理由を掲げて大国に攻め入った母国は、数カ月後には敗戦国となった。
王政を廃するか、それとも王妃を人質として差し出すかと大国は選択を迫ってくる。
『…本当にすまない、ジュンリヤ』
『謝らないで、覚悟はできています』
敗戦後、王位を継いだばかりの夫には私を守るだけの力はなかった。
――たった三年間の別れ…。
三年後に帰国した私を待っていたのは国王である夫の変わらない眼差し。……とその隣で微笑む側妃だった。
『王妃様、シャンナアンナと申します』
もう私の居場所はなくなっていた…。
※設定はゆるいです。
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
二度目の初恋は、穏やかな伯爵と
柴田はつみ
恋愛
交通事故に遭い、気がつけば18歳のアランと出会う前の自分に戻っていた伯爵令嬢リーシャン。
冷酷で傲慢な伯爵アランとの不和な結婚生活を経験した彼女は、今度こそ彼とは関わらないと固く誓う。しかし運命のいたずらか、リーシャンは再びアランと出会ってしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる