君との恋の物語-mutual dependence-

日月香葉

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卒業2

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最終面接が決まってからの私は、用意していた資料をさらに詳しくわかりやすく作り直すことに集中していた。

最終面接の内容は公開されていないけれど、今回は一次の時と違って個人面接だし、一人当たり30分時間を取るって書いてあったので、多分、成果物についてたくさん聞かれるだろうと思っていた。

私は、面接の対策というよりはプレゼンのつもりで資料を作り直した。

ここまで準備して全然違うこと聞かれたらどうしようって思ったりもしたけど、迷ってる暇なんてないし、他のことは一次の時点で調べ尽くしたと思っていた。

だから、今できることは、逆に言えばこれしかないので、集中した。

私の学生生活の半分は、サークル活動だった。もう半分は、もちろん詩乃と過ごした時間。

決して褒められたような活動ではなかったと思う。

精神的に病んでしまって、皆にも、詩乃にも沢山迷惑をかけたし、一人で立ち直れたわけでもない。

それでも私は、自分達で掲げた「子供向けの歴史書を100ページ作る」という目標に向かって頑張ってきた。

去年の今頃は、もう100ページなんて到底間に合わないと思ってたし、だいぶ巻き返した今でも現時点であと30ページは残っている。

逆にここまで巻き返せたからこそ、卒業までには達成できる気がしてきた。

本当、皆のおかげ。私は一人ではなにもできないし、足りないことばっかり。

この話を、そのまま面接で伝えようと思ってる。

どういうことに躓いて、どうやって乗り越えたのか、そのためにどんなアイディアが出て、それをどうやってまとめてどう決断したのか。

これが、全て。サークル活動のっていうよりは、私の全て。

私にできることは、人より奇抜なアイディアを出すことでも、ひたすらリーダーシップを取り続けることでもない。

皆アイディアをまとめて、一つのものにすること。

これだけだから。

そして、これをどうやって学習塾という「仕事」に活かすつもりなのか。

ここまでをしっかり考えておこう。

例えば、なるべく交流広場に顔を出すようにして、授業へのアイディアを子供達と一緒に考えていきたいとか。

つまり、子供達が普段からどんなことに興味を持って、どんなふうに過ごしてるのかを、実際に子供達の言葉で聞いて、授業のやり方に取り入れていきたい。

これは、自習室しか持たない学習塾にはちょっと難しいと思う。

だって、自習室って静かにしなきゃいけないイメージがあるでしょう?

そんなところで、むしろ静かにさせなきゃいけない立場の大人が、ずっと喋ってるわけにも行かないじゃない。

それに、教室でだってゆっくりは喋れないから。

交流広場があるっていうのは、本当、すごくいいことだと思う。活かさない手はないわ。



毎日毎日こんなことばっかり考えて、授業に出て、サークルにも顔を出してたら、あっという間に最終面接の日はやってきた。


この数日間、私は私なりに一生懸命考えて、準備をしてきた。

でも、すっごく楽しかった!勉強も好きだけど、なんか勉強とは違った楽しさだった。

もし、入社できたら、どうやって授業するかとか、子供達にどんなことを聞いてみたいかとかそういう考えがずーっと浮かんできて、考えているだけで本当に幸せだった。

だからこそ、今改めて思う。

絶対この会社に入りたいって。



不思議なことに、緊張は全然しなかった。

多分、できる限りの準備ができた実感があったからだと思う。

さぁ、次は私の番。

文字通り、私の全てを出し切ろう。



結論から言うと、面接の内容は、半分は私の思った通りだった。

前半が、学生時代の成果物についてで、後半は、学習塾でどのように働きたいか。

後半全部を仕事の話というのが、ちょっと意外で、時間配分にちょっと困ったけど、でも、概ね上手く話せたと思う。

その後の仕事についても、思ったことはちゃんと言えたし、口調も固くなりすぎずに済んだと思う。

正直、「落ちたかも」と思うようなことはなかった。

つまり、力は出しきれた。

だから、落ちたらそれは、実力がなかったんだと思う。

私は、学生時代の最後になってやっと、悔しいという気持ちの本当の意味がわかった気がする。

いや、まだ落ちたわけじゃないけどw

学生時代の4年間で、1番待ち遠しい1週間が始まった。

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